草食系妙齢プログラマが見てきた現場の不思議な話をお送りします。

それは不思議な数字なの?

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 こんにちは。草食系妙齢プログラマ 野口おおすけです。先日、Genesis Lightning Talks(GLT)keccon2010に参加しました。GLTは毎月開催のLightningTalkのイベントで、わたしもよく参加しています。

 毎回テーマが設定されますが、トーカーの皆さんそれぞれ独特の解釈があり、さまざまな切り口でお話を聞けるイベントです。今回もさまざまなトーカーの方のお話を聞けて、非常に楽しいイベントでした。

 keccon2010は、結婚カンファレンスということでさまざまなコミュニティから参加者が集まり、なかなかお会いできない方ともお話をする機会に恵まれたイベントでした。このたび結婚したお二方のお祝いをするためのLightningTalkイベントだったので、通常では聞けないテーマのお話が多く大変貴重な体験ができました。

■「勉強会夏祭り2010」に登壇します

 7月17日に開催される「勉強会夏祭り2010」に、「マジカル仕様書」についてのセッションで登壇することになりました。LightningTalksでは何度かお話ししたことがありますが、今回はたっぷり50分間あるということで、「マジカル仕様書」を通して「ITエンジニアがユーザーに提供しているバリューとは何か」ということを考えてみようかと思います。わたし以外にも学生からエンジニアまでさまざまなコミュニティから登壇されます。詳細・参加申し込みはこちらのサイトをご覧ください。

 お知らせ事項が続いてしまいましたが、今回と次回は不思議なマネジメント「エキセントリックマネジメント」についてお送りします。マネジメントといえば主にスーツな方々が数字をごちゃごちゃと操作しているようなイメージを持つ方が多いかとおもいます。わたし自身が経験した現場でも、マネージャという方々は日々報告されるさまざまな指標値を見て、進捗管理やリスクマネジメントを行うことをメインの仕事としている方がほとんどでした。

■スーツな方々が好きな数字の世界

 「進捗率」や「生産性」や「ステップ数」など、スーツな方々が好きな数字は、ギークと呼ばれる方々にはとても不評です。例えば、ステップ数が多いほどスーツな方々にとっては良いソース、つまり、高価なソースだと考えられていた時代が過去にはありました。古き良き日本のシステム業界といわれていたころです。

 残念ながらそのような風潮は、現在も一部では残っていると聞きます。一方、ギークな世界では無駄に冗長なソースコードは嫌われる対象です。冗長に書くより適切に書いたソースコードは品質も良く、メンテナンス性も高いため扱いやすいとされるからです。

 しかし、仕事上システムを構築する場合、時間が無限にあるわけでもないし、何人でもメンバーを投入できるわけではありません。何かしらの制約がある状態で、プロジェクトは運営されています。そのような状態で、マネージャがプロジェクトの状態を簡単に知るためには、数字に頼るしかないのです。

 数字でプロジェクトの状態を知るのは、悪いことではありません。客観的にプロジェクトの状態を知るには一定の指標をもって状態を把握することが必要です。規定値から外れたところでプロジェクトの状態を是正する処置を行えば、プロジェクトをあるべき姿に近づけることが可能なのです。

■それでもやっぱり怖い数字の世界

 果たして「進捗率」や「生産性」などの数字がプロジェクトのすべてを示しているのでしょうか。プロジェクトの中で数字が1人歩きしだすと、あまり良い状態とはいえません。行き着く先は「○○の機能を作るには○○枚以上の仕様書が必要です」や「この機能にはあと○○ステップのソースコードが必要」という不思議な指標が出てきます。

 プロジェクトにいるもの以上の成果物を求めることが必要でしょうか。必要以上の成果物は無駄になります。プロジェクトを最適に運用するのであれば、できる限りプロジェクトから無駄な物を排除するのがベストでしょう。どのような開発スタイルをとる場合であっても、リーンな開発(無駄の少ない開発)はプロジェクトの運用コストを下げることに繋がります。つまりは、最小のコストで最大の収益を上げることになります。

 プロジェクトメンバーも人間である以上、常に一定の生産性で作業ができるわけではありません。作業時間が長くなれば、徐々に生産性は落ちてきます。無駄な成果物を作成しないことで、全体の成果物を減らす。そうすることで、全体の作業時間を短くすることが可能です。

 直接的に見える数字だけに捕われたマネジメントでは、プロジェクトに潜む本当の問題点を見落とす恐れもあります。数字が表す事象は、すでに問題が発生した後なのです。数字ばかりを追いかけていると、後追いで対処を行わなければなりません。先に手を打つことで回避できる問題も数多くあります。傷口が広がる前に手を打つ取り組みを忘れてはなりません。

 今回は数字を追い求める不思議なマネジメントについてお送りしました。数字を見ることはマネジメントを行う中で必要な場面もあります。ただし、それに異常に固執することはプロジェクトをあらぬ方向へ導いてしまう可能性があります。マネージャはプロジェクトにおけるナビゲータなのです。そのナビゲータが道を失ってしまえばプロジェクトは方向性を見失ってしまいます。そうならないためにもマネジメントする際には、本当に求められるゴールを見失わないように進めなくてはなりません。

 さて、次回はケーススタディをとおして「エキセントリックマネジメント」についてご紹介し、真に必要なマネジメントについてご紹介します。

 それではまた次回。

Comment(1)

コメント

あまりる

数字が示す結果に捕われると、ご指摘の通りおかしな事になる場合があると思います。
しかし私が教わった数字の見方は、「数字の傾向から潜在している問題を探り当てる」ものでした。
数字にはただ結果を見るだけではなくて、問題の芽を取り除くために分析する、といった使い方もあることは、忘れないでいたいと思います。

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