@IT編集部の西村賢がRuby/Rails関連を中心に書いています。

RailsがRubyistたちに与えた影響

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 日本Rubyの会とRubyコミュニティで作るオンラインのウェブ雑誌「Rubyist Magazine」(通称るびま)の最新号である第33号が4月5日火曜日に公開されました。技術解説やRuby関連イベントのレポートなど、非常に読み応えがあります。先日、晴れてRubyコミッタの仲間入りをした「リアル厨2」(4月に中学3年生に!)ことShota FukumoriさんによるCRubyのテスト並列化の記事も、タイムリーな感じです。

Chad

 Rubyistはもちろん、それ以外のプログラマの方々にも一読をお勧めしたいと思ったのが、チャド・ファウラー氏のインタビュー記事です。チャドさんはRails登場以前にふとしたきっかけでRubyを発見して取り組み、以来、著者、コンサルタント、スピーカーという立場で啓蒙してきたパイオニア的存在です。

 私が軽い衝撃を受けたのは、次のくだりです。

Rails以前を思い返してみると、Rubyistに広く受け入れられる決定版のコーディング規約なんて、とても作れるとは思えなかったね。ほんとうに色んな流派があったんだ。メソッド名をキャメルケースで定義する人たちもいれば、ライブラリのコードは単一のファイルにまとめる流儀の人たちもいた。パッケージ作成に至ってはinstall.rb派とsetup.rb派とRubyGems派がいたよ。

Railsは実際のコードで示すことでコーディングスタイルをうまく根づかせた。例えば「キーをシンボルとしたハッシュを追加オプションとして渡すメソッド」というのは一般的になったと思う。

 メソッド名の付け方に流儀! まるでJavaScriptのような感じでしょうか。Pythonから来た人と、Javaから来た人とでメソッド名の付け方が違いますよね。「RubyがRailsと一緒に作法や思想込みで広まった」と高橋征義さんは指摘されていますが、それがどういう意味なのか、その一端が具体的なコード例とともに分かります。

 ちなみにチャドさんは元々はプロのジャズサックス奏者だったのに、今では世界的に知られたRubyistという、ちょっと変わった経歴の持ち主です。「情熱プログラマー――ソフトウェア開発者の幸せな生き方」という著書で、こんなことを指摘しています。ミュージシャンの世界では、何度も何度もヘタな音を出して練習を重ね、膨大な時間を費やして技術を習得する。それからステージに立つのが当たり前。一方、今のソフトウェア開発の世界では、実務の中で練習することが多い。開発者は限界ギリギリのところで頑張ることもあるかもしれないが、それは本来は練習でやるべきことじゃないのか、と。

 プログラマという枠を通り越した地点で、現代社会における仕事のあり方、生き方について、模範を示しながらガツンと言ってくれる感じが素敵です。

 で、るびまのほうですが、チャドさんのインタビューのほかにも、(はてブを見たところで)目を引いているのは、「RubyConf 2010のレポート」のようです。Railsを使う上で、今後ますます重要になってきそうな「Rackの仕様解説記事」も、個人的には注目しています。

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