「20年後も現役プログラマでいたい」、まつもと氏がRuby20周年で語る
2013年2月23日に東京・品川でRuby20周年記念パーティーが開催されました。Rubyアソシエーションと日本Rubyの会が合同で企画したものです。祝辞(というよりも、むしろ講演)が7本ほど続き、会場はずっと拍手と笑いに包まれ、和やかなムードでした。
私は、Rubyの生みの親、まつもとゆきひろ氏のインタビュワーを務めさせて頂きましたので動画を公開します。
インタビューは20分の予定でしたが、会場からたくさん質問が出て盛り上がったので延長していたようです。動画は38分ほどあります。
以下、いくつかまつもと氏の発言を箇条書きでご紹介します。
- 20年前のRuby登場時、「ふつうのプログラマはオブジェクト指向は知らなかった。縁のないものだったと思う」。C++でCADを作るような人とか、アカデミックな世界以外ではオブジェクト指向は普及していなかった。
- Rubyの仕様について検討する「Rubyコミッティー」を作れという提案に対して。「未来をどうするかという話をコミッティーでやってうまく行ったことなんてないので、ちょっとは学習しろよと思います(笑)」
- 2004年に登場したRuby on Railsも、たくさん出てきたWebアプリケーションフレームワークの中の1つで、広く普及するとは正直予想が付かなかった。
- RubyはWeb言語と言われる/見られることもありますが? 「そんなことを言う人はRubyに関心がないので、いいんですよ。Web言語じゃないと気が付かない人は別にいいんです」。
- CとRubyは9対1の割合でプログラミングしている。Rubyのほうが楽しい。ただ、「プログラマは怠惰なので、手を抜くためには努力を惜しまない。1の部分で気分良く書くために、私はCでゴソゴソ書いている」。
- いまから20年後のご自身の姿は? 「私の生涯のテーマは、いまと同じ状態をずっと続けること。20年後も現役プログラマでいたいなと思います」。
- いま全力で潰しておかないといけない言語は? 「Luaとは戦っているかもしれませんけど、私はあまりに言語ラブなので、(言語を)潰すというのは考えづらい」。
- (上記の発言の直後に)「人類のためにJavaScriptは何とかしたほうがいい」
- RubyはWeb分野は制覇した。mrubyで組み込み制覇できる? 「いや、わかんないですよね、そんなの(笑) ただ、その目的で使いたいときに、そのテクノロジーがあるかどうかは大切。Rubyが使いたいというとき、ふつうの人はRuby作らないですよね。そこに選択肢を提供できればとは思います」
- 国産言語、日本発のプログラミング言語と言われることに違和感は? 「方便で、日本産と言ったほうがウケがいいときには「日本産だ」と、しれっと言うんですけどね。特にスーツを着た人の前だと、日本から来たんですよーみたいなことをいうと嬉しそうな顔をされるので(笑)。ただ、プログラマとしての私のアイデンティティは、Unixプログラマとか言語好き。その辺でアイデンティファイされたい。そういう側面でいうと、私はたまたま日本に生まれてたまたま日本語が得意なだけ。所属はプログラマ、国籍はプログラマという意識のほうが強い」
コメント
他の検索をしていてたまたま拝見しました。
動画は未見なので後ほど拝見したいと思います。
「20年後も現役プログラマでいたい」
私も常々そう思い、そう願って仕事をし、勉強していますが、
実際には年齢を重ねると共に現実と向きあわなければならない事が多く
この業界を辞めてホリデープログラマにでもなったほうが
ましなんじゃないかと思っていたりします。
地方の1プログラマの戯言とは次元が違うかも知れませんが。
一人でも多くのプログラマがそういう未来を願って
一人でも多くの人がプログラマのまま定年を迎えるような日が
来てくれると嬉しいです。(もちろん、日本国内で)
Ruby おっしゃる通りの勘違いをしていました。
脱却できるように興味を持って勉強してみたいです。
面白いコラムをありがとうございました。
西村賢
liszt26さん、
ご感想ありがとうございます。国産と言ったほうがいいときには言っちゃうというバランスもいいですよね。
江木町の牛さん、
コメントありごうとございます。ご感慨、分かるような気がします。
まさに言うは易く行うは難しですね。世界的スタープログラマのまつもとさんのように誰もがなれるわけではないでしょうし。。。
Rubyのまつもとさんは、やりたいことをやるのが一番で、「やりたい」というモチベーションこそが最も重要なのではないかということをおっしゃってもいます。
●「なんでRubyなんか作った!? 迷惑だ!」に対するMatzの答え
http://el.jibun.atmarkit.co.jp/rails/2012/10/ruby-matz-7080.html
なんだかちょっと勇気づけられる(?)話です。