375.『葬送のフリーレン』から学ぶビジネススキル(15)
初回:2024/07/31
『葬送のフリーレン』を、1話づつ振り返りながら、ビジネス的な考え方を伝えていこうという企画です。
今回は、第15話 『厄介事の匂い』に基づいて話そうと思っています。
P子「寝起き5秒の攻撃と、伝説の両手ドーナツの回ね」※1
#15 厄介事の匂い
あらすじ
https://frieren-anime.jp/story/ep15/
1.原理が判らないと面白くない
新しく 僧侶ザインが仲間に加わったフリーレン一行が、ラオブ丘陵の村に着くと、村人たちが何らかの『呪い』によって眠らされていた。フリーレンが言うには、『呪い』というのは、魔物や魔族が使う魔法の中でも、人類がいまだに解明できていない魔法の呼び名であって、人類の魔法技術じゃ原理も解除方法も分からないものだった。
「じゃあ、この村はもう手遅れなのか」とシュタルクが問うと、フリーレンは「あくまで人類の魔法ではの話だよ。僧侶が使う女神様の魔法なら話は別だ。呪いへの対処は昔から僧侶の生業だからね」と答えた。
P子「早速、僧侶を仲間に加えた効果が発揮できるのね」
この女神様の魔法は聖典に記されていて、聖典の所持者しか使えなく、そのほとんどは魔族の魔法と同じで原理が判らなく、しかも生まれながらの資質がないと扱うのは難しいものだった。さらにこの資質は呪いを効きにくくする効果もあって基本的に僧侶は呪い強いらしい。逆に魔法使いでは呪いは感知できないから何となく攻撃されている感じがするくらいではっきりわからないらしい。
「だから、あまり面白みがないんだよね」とフリーレンが説明した。
P子「面白みがないというのが面白いわね」
ここ、エンジニアライフの読者なら、この気持ちに共感できるのではないかと思います。
なんかよくわからないまま便利に使っていたとしても、その動作原理がよくわかっていないと応用が利きません。応用が利かないという事は、そのまま使うしかなく、自分なりの使い方をしたいと思っても、元ネタの機能アップで対応されるのを待つだけになってしまいます。
P子「『7つの習慣』でいう所の影響の輪と関心の輪の『関心の輪』に入っちゃうのね」
自分の力ではどうすることもできないので、フリーレンとしては『面白みがない』と感じてしまうのでしょう。
あくまで私個人の趣味ですが、出来合いのきっちりしたソフトより、粗削りなオープンソースが好きです。さらに言うと、他人が作ったオープンソースよりも、自分で作るほうが好みです。
P子「でも、時代はローコード、ノーコードよ」
業務としてシステム開発する人たちにとっては、出来合いのパッケージソフトを買ってきてそのまま使ったりローコード、ノーコードで素早く開発できる方が良いかもしれませんが、面白みがありません。また、最近は社内SEが、ソフト開発するより、外注して受入検査だけするとか、クラウド系のパッケージソフトの選定や利用者に対するマニュアルを作るだけというケースも見られるため、こちらも面白みが無くなってきました。
P子「ビジネス的な考え方って、面白いかどうかなの?」
いや、ビジネス的には今の流れは変えようがありませんし、ソフト開発が好き・嫌いで仕事するのもなんですが、ソフト開発が面白いと思っている人たちにとっては、やりづらい時代になってきたなと感じています。
2.言葉を信じる
呪いによって眠らされた村人を助けるためには、儀式が必要でそのための道具も必要だった。「これなら、呪いをかけた発信源を叩いた方が早い。発信源は魔物だ。位置も割り出した。行くぞ」とザインは言った。その時、シュタルクはすでに呪いの影響で眠りについていた。
「寝ているね。一時的にでも目覚めさせられない?」とフリーレンが問うと、「今使える魔法だけじゃ5秒間目覚めさせるのが限界だ」とザインが答えた。途中、フェルンも寝てしまい、2人に結界を張って置いていくことにした。もうすぐ魔物に近い所まで来たとき、フリーレンが立ち止まった。
「じゃあザイン、魔物が出たら起こしてね。1人で戦っちゃダメだよ。私が必ず倒すから」と言い残し、フリーレンは寝てしまった。
ザインにも戦闘用の魔法はあったが、魔物はその攻撃魔法を反射させることで、弱点の核を守った。
(正確に核を撃ち抜かねぇと葉同士の乱反射で、どこに魔法が跳ぶか分からねぇ。下手すればフリーレンに)(クソ、このままじゃジリ貧だ。いっそのことフリーレンを起こすか?)(でもあいつは勇者一行の魔法使いだ。強力な魔法が反射したら、この森どころか村が消し飛ぶかもしれねぇ)(たった5秒だ。 説明の時間なんてねぇぞ)(それに俺はまだ、フリーレンと意思疎通できるほどの時間も信頼関係も築けていない。そもそもフリーレンが何を考えているかも分からねぇ)などとザインは思考を巡らせていた。
その時、ザインが幼かったころ、ハイターとの会話を思い出していた。
「そう。何を考えているのか分からないんですよ」「私は冒険者には意思疎通も信頼関係も必要ないと思っています」「特に私の仲間であったフリーレンは、その点が拙(つたな)かった。だから私は、彼女の言葉を信じることにしました」「彼女は「魔王を必ず倒す」と言いました。私は、その言葉を信じたんですよ」
ザインはフリーレンが言った『1人で戦っちゃダメだよ。私が必ず倒すから』という言葉を信じて、5秒間の目覚めに賭けることにした。
P子「この目覚めて何の説明もなしのゾルトラークに感動したわ」
前回『思いは言葉にしないと伝わらない』では、言葉にすることの重要性を述べましたが、その言葉を発する限り責任が伴うという事です。
無条件で言葉を信じてもらうためには、当然、言葉と行動が一致している必要があります。しかも、信頼を得るには何度も相手の期待に応える必要があり、信頼をなくすのは1回の過ちで十分です。
実際、何を考えているのか判らない...というか何を考えているのか判る必要もありません。その代わり、言葉を信用する...信用してもらえるようにふるまう必要があるという事です。
P子「初見の人の言う事は信用できないもんね」
3.まとめ
今回は、伝説の『両手ドーナツ』の話題まで持っていくことができませんでした。
フリーレンが「報酬は?」と聞くと、オルデン卿は「シュトラール金貨10枚」と答えた。フェルンがすかさず「1年は三食おやつ付きで生活できますよ」と耳打ちするとフリーレンは「魔導書も付けて」と交渉します。
この辺りの交渉術も、ビジネススキルとしては必要だったのですが、3か月後の社交会が終わってから魔導書を選び出すあたりは、やはりエルフの時間感覚のずれを感じさせます。
P子「最初は両手ドーナツだったフェルンも教育中は気安くドーナツも食べられなかったもんね」
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「寝起き5秒の攻撃と、伝説の両手ドーナツの回ね」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。