319.野良アプリの禁止は必然である
初回:2023/7/5
野良アプリについて、なぜ禁止されているのか、何が問題で、これからどうするのが良いのかを考えてみたいと思います。
P子「誰かに喧嘩売ってるの?」※1
そんなことはありません。
という考えには、賛同しています。
なので、その『可能性』を探ってみようというのが、今回の試みです。
≪参考資料1≫
https://el.jibun.atmarkit.co.jp/ahf/2023/06/post_98.html
野良アプリを禁止するのはこれからの時代も有効なのか
2023/06/30
1.野良アプリが禁止される理由
まずは、現場で必要とされる野良アプリがなぜ禁止されるのか、その理由を考えてみたいと思います。
P子「情報システム部が自分たちの仕事が奪われると思ってるんじゃないの?」
それはありません。むしろ細かい所を現場で対応してもらえれば助かります。
例えば、野良アプリを黙認したり対策をしていないときに、企業トラブル...例えば情報漏洩や現場作業が止まることで社外に迷惑をかけるなどの事態が発生した場合、現場の責任ではなく情報システム部の責任になります。
P子「責任を負わされるのが嫌で禁止しているの?」
その通りです。
では、現場で作ったシステムが起こした事故に対して、情報システム部は一切責任を取りませんと宣言したとしましょう。その場合、社外に対して問題を起こした場合の責任は社長以下の取締役という事になります。社長も責任は取りたくないので、誰かに管理・監視させるのか、禁止することになるでしょう。
P子「社長じゃなくって、現場管理者に責任を取らせれば?」
当然、現場管理者は、責任を取りたくないので禁止するでしょう。
P子「現場管理者じゃなくって、開発者に責任を取らせれば?」
会社が禁止している中で、会社の業務改善や効率化のために作ったアプリのせいで、自身が責任を取らされるなら、積極的な改善は行わないでしょう。
2.野良アプリを禁止しない場合
どちらにしろ社外に影響が起こるとすれば、誰かが管理せざるを得ないという事です。現場に自由に作らすわけにはいきません。
手っ取り早いのは禁止ですが、実際、情報システム部は現場の小規模改善まで手が回りません。そこで禁止はしないが管理はしなければいけないので、複雑な申請手続きを設けるとか、各種制限事項で手軽に作れないような規則で固めるとか、『頑張って管理してます』感を出すことで、問題が発生したとしても不可抗力を主張できるようにするでしょう。
P子「思いっきり自己保身ね」
当然でしょう。
逆に言えば、『問題が発生したとしても不可抗力を主張できる』仕組みを用意すれば、複雑な申請手続きは不要にできるでしょうし、各種制限事項を目視やレビューで判定するのではなく先の仕組みの中で解決できればよいと思います。
P子「すでに野良アプリじゃないわね」
その通りです。どこまで行っても、野良は野良なので、会社で使う事は出来ないのですが、現場で素早く構築して業務効率を上げるシステムを作ることは可能だという事です。
3.現場アプリを推奨するには
野良アプリに対して、飼いアプリとは言わないので、現場アプリと命名します。
現場アプリを積極的に活用するには、条件が2つあると思います。
一つ目は先の『問題が発生したとしても不可抗力を主張できる』仕組みを導入することです。最近はソースチェックなどのプログラムの精度も向上していますし、ノーコード・ローコード系に色々な制限を課すことも可能でしょう。そのような『安心・安全』な仕組みを通して許可を出すことができれば、素早い対応が可能ではないかと思います。
P子「『安心・安全』って聞くと逆に不安になるわね」
もう一つは、現場アプリを個人持ちにさせないという事です。
実際、野良アプリによって業務効率が上がるのは、大抵そのアプリを作った本人のみです。しかも、その人の業務のやり方に準拠しているので、担当が変わればその野良アプリを使わないのか、改修できないまま使い続けることになります。長い目で見れば、これは非効率です。
なので、現場アプリを作る場合、業務自体の見直しも含めて行う必要があり、後々メンテナンスできるように作る必要があります。
P子「手間暇がかかって、誰も作りたがらなくなるんじゃない?」
やはり、個人の自分勝手な業務手順をシステム化するのではなく、会社として必要な業務の効率化を進めるというのを現場でもできるようになるという方向でないと『最終的には全体がより活発に活動できていく』ことにはならないと思います。
4.まとめ
どこまで行っても『野良アプリ』は禁止すべきでしょう。それより『現場アプリ』を如何に推進していけるかが、会社全体の効率化につながるんじゃないかと思っています。
そのためには、申請、認可などの手順を自動化するなどして、現場の責任者レベルで導入できる仕組みを情報システム部が構築するというのが、『最終的には全体がより活発に活動できていく』ことに繋がると思っています。
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「誰かに喧嘩売ってるの?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
コメント
白栁隆司@エンジニアカウンセラー
野良アプリというか、野良マニュアルと戦ったことがあります。
納品された業務アプリのドキュメントが貧弱手で、ユーザー側で独自の運用マニュアル作ってたってお話です。
ちゃとらん
白栁さん、コメントありがとうございます。
野良マニュアルですか。
他にも探せば、野良〇〇って、ありそうですね。
ちなみに、ユーザー側でマニュアルに『追記』されることはよくあります。
その部署独自の設定(例えば、自部門のコードNoとか)を手書きされるのですが、本来なら、部門選択後、各自の設定情報として保存できれば、そんな手書きの『追記』なんて不要なんでしょうけど。
# そもそも、マニュアル自体も本体の使い勝手が良ければ、必要最小限で済むんですけど。