182.技術者はどうあるべきか
初回:2021/10/6
1.【小説】ブラ転 休刊のお知らせ
P子:「いきなり、何言ってるの?」(※1)
秋の番組改編で視聴率が取れないから終了しました。
P子:「ハルコの乱で、少しは盛り上がり...しなさそうね」
もう少しテンポよく話が盛り上がるかと思ってたんですが、アイデアレベルで成功しました...というのでは嘘くさいですし、実際の事業に関わるのは機密事項ですし...その程度の内容しかなかったんです。( ノД`)シクシク...
P子:「まあ、元々やめるつもりだったんでしょうから、いい機会でしょう」
2.ブラ転 の生い立ち
元々、ブラ転の『専属エージェント契約』というのは、加藤浩次さんが吉本興業と交わしていた契約が、一方的に会社有利に思えたところから来ています。
この件、今に始まったことではなく『古典的な脱法手法』として、有名企業でも採用されています。
《参考資料》
https://www.bengo4.com/c_5/n_9998/
2019年08月12日 09時55分
タニタの働き方改革「社員の個人事業主化」を労働弁護士が批判「古典的な脱法手法」
https://www.bengo4.com/c_5/n_11991/
2020年11月13日 10時03分
「正社員の個人事業主化」が波紋、弁護士からは懸念の声も...電通は困惑気味
P子:「脱法って言っても訴えられてないわよ」
もちろん、会社が強制すれば裁判だたになるかもしれないけど、本人が納得して契約するのであれば、問題ないでしょう。ただし、それで本当に幸せになっているのかどうかは、本人次第という事でしょう。
ところが、会社と個人との力関係というと、どう考えても会社が強いわけで、本人は対等と思っていても、会社が強いに決まっています。
P子:「会社と対等に戦える個人って、一握りよね」
3.個人で戦うべきか
上司や会社の不正や問題点を指摘することは、個人にとってリスクがあります。
《参考資料》
https://www.jprime.jp/articles/-/20316
加藤浩次が吉本と契約終了、上層部に吠えてできた「しこり」と忍びよる「Xデー」
2021/3/9
https://news.yahoo.co.jp/byline/maeyatsuyoshi/20210821-00254224
松井市長に提言書を送った久保校長を処分、「見せしめ」なのか
前屋毅 フリージャーナリスト
8/21(土) 7:30
ほとんどの人は、見て見ぬふりとか、他人事を装っているとか、そういう被害に巻き込まれないように距離を置くようにするとかしていると思います。
P子:「ちゃんとしてる人もいるわよ」
でも、正当な評価がされるか、疑問です。
ここでも、力関係が影響してきます。少なくとも、力関係が対等でない限り、正しい意見でも握りつぶされますし、後々報復処置を受ける可能性が高くなります。
少し前のことになりますが、日産でのカルロス・ゴーン氏の『やりたい放題』に、当時の社員は誰も反論しなかったんでしょうか?そんなことはありません。でも、反論しても辞めさせられるか、出世の道を断たれるだけの事だったのでしょう。そもそも社員の声を聴いていれば、あんなあこぎなふるまいは出来なかったと思います。
お金儲けの為なら、何をしてもよいのか?という倫理的な判断基準だけで、この問題を片づけることはできないと思います。
《参考資料》
https://webronza.asahi.com/national/articles/2018111600001.html
ゴーン氏の行為は犯罪的、検察は正義感を重視か
「多くの社員を切り捨てた社長が年収何十億円」は許されるか
河合幹雄 桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)
2018年12月12日
4.資本主義の終着点
何度か取り上げられているが、資本主義は資本を増やすことが使命です。
『世界のトップ62人の大富豪が、全人類の下位半分、すなわち36億人と同額の資産を持っている』2016年
『2016年、「1%」の最富裕層が世界の半分以上の資産を握る(調査結果)』
P子:「資本主義が悪で、社会主義、共産主義が正義だというの?」
残念ながら、そちらの方が悪い例が目につきますね。
少し前に、メンタリストDaiGo氏の差別発言が大炎上しましたが、その根幹部分である資本主義について言及されている意見を見ることはできませんでした。まあ、見逃しただけかもしれませんけど。
P子:「googleに引っ掛からないと、存在しないことと同じだもんね」
ざっくりいうと『生活保護や路上生活者』は、資本を増やしません。例えば、努力して勉強してお金持ちになった人と、健康で何の障害も持たないが、努力もせずグータラに生活して、貧乏暮らしをしている人がいたとしても、どちらも幸せになる権利まで放棄していませんが、事実としてお金があるのとないのとでは、幸せを感じる機会も異なると思います。
これを差別というのか、当然の結果でしょとなるのか...
資本主義の世界では、身体障害者も働かないグータラな人も『邪魔者』であり、DaiGo氏の価値観は、理論的には間違いではありません。
残念ながら、反論している人たちは、優生思想が悪いとか、人を差別するなとか、倫理的な反論ばかりで、理論的反論が出来ていません。
高速道路でみんなが全速力で走っている中、のろのろと前方を走られるわ、ガソリンは恵んでもらうわでは、不満も言いたくなるでしょう。
P子:「じゃあ、DaiGoさんの意見に賛成なの?」
私は、理論的思考を大切にしています。
今回の炎上騒ぎで、おかしいと『騒いでいる人』が人として正しい判断だとすれば、それは資本主義が間違っている事を意味します。といっても、正解の〇〇主義があるのかというと、過去に存在した〇〇主義の中で、最も成功しているのが資本主義なわけで、すぐに差し替えられる〇〇主義がないのであれば、妥協点を模索する必要があるという事です。
5.技術者はどうあるべきか
先ほど、高速道路でみんなが全速力で走っているたとえ話を出しましたが、それは全速力で走ることに価値があるからです。でも、風光明媚な道路を、ゆっくりのんびり走る事にも価値があると思いますし、速度も景色も関係なく、単にある地点に到着することに価値があるのかもしれません。
そういう色々な価値を認めるような仕組みを資本主義に取り込めれば、生活保護者や身体障害者、グータラな生活をしている人も価値が認められる訳で、そういう人たちを差別したり優劣をつける思想が、理論的に間違っていることが証明できるようになります。
資本主義に、資本を無尽蔵に増やすことに対するブレーキを付ける事、そして、そのブレーキで得た資本は、広くみんなでシェアすることを、きちんと組み入れることができれば、人よりお金持ちになりたい人の価値も、人生の時間をお金儲けではない別の事に使いたい人の価値も、認められるのではないのかと思っています。
技術者として生きるうえで、会社と対等に戦えるだけの技術力を持つのは至難の業でしょう。かといって『良い人』は資本主義では使い捨てされるだけです。
P子:「ちょっと極論と陰謀論が混ざってるけどね」
会社と戦う必要はないにしても、いい様に利用されるだけというのも勘弁です。それなりに意見が言える程度の関係性を持ちつつ、会社を利用する位が良い関係ではないかと思います。
P子:「持ちつ持たれつね」
おぬしも悪よのう...
ほな、さいなら。
======= <<注釈>>=======
※1 P子「いきなり、何言ってるの?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
スピンオフ:CIA京都支店『妖精の杜』
ここはCIA京都支店のデバイス開発室。安らぎを求めて傷ついた戦士が立ち寄る憩いの場所、通称『妖精の杜』と呼ばれていた。
P子:CIA京都支店の優秀なスパイ。早坂さんにはなぜか毒を吐く。
早坂:デバイス開発室室長代理。みんなから『妖精さん』と呼ばれている。
P子:「資本主義をアップデートするんじゃなかったの?」
早坂:「あきらめたようだね」
P子:「当然でしょうね」
早坂:「で、自分だけでも助かろうと、方針転換したようだよ」
P子:「卑怯者ね」
作者:「あきらめてないし、自分だけ助かろうとも思ってないですけど」
P子:「でも、現実の壁にぶつかって、挫けそうになってるんでしょ」
作者:「そうだけど...」
早坂:「一応、考えはあるみたいだし、長い目で見てあげれば」
P子:「じゃあ、期待しないで見てあげるわ」