078.パワハラの本質と対処法
初回:2020/06/10
1.パワハラの本質とは?
まず、パワハラの例を挙げておきます。
https://fumumu.net/105107/
入社して1ヶ月...職場でどうしても納得いかない出来事
ライフスタイル 2019/04/24 05:00
要約すると、
①無給で事務所掃除を強要
②上司が帰るまでは帰れない空気
③お茶出しは女性社員の義務
④SNSの開示を求められる(休暇中の連絡先を聞き出す)
⑤自分の価値観を押し付けてくる(飲み会のお誘い)
パワハラとまでは断定できるかどうかわかりませんが、理不尽だと感じたのでしょう。
簡単な話で、全て『嫌です』『お断りします』と言えば済む話です。
P子「それで済まないから、悩んでるんじゃないの?」(※1)
では、なぜ済まないかと言うと、その後のお仕置きがあるからです。それは姑息な手段かも知れませんし、本物のパワハラに発展するかもしれません。そもそも上司の査定なんて、ものすごくあいまいなのでご機嫌を損ねると何をされるか判ったもんじゃありません。
なので、多少の嫌な事(ハラスメント)なら我慢した方が得策という判断なのです。
つまり、パワハラの本質とは、上司と(まともに)争っても仕返しに対抗できないから、我慢してしまうと言う『損得勘定』から来ているといえます。
P子「じゃあ、上司のパワーが及ばないように、人事権を廃除すればどう?」
例えば、AIによる人事評価のみで査定することにすれば、上司の感情を害したとしても不利にはならない...と。所が、上司は仕事の配分も決められます。あなたに誰でも出来そうな仕事しか与えなかった場合、AIで査定したとしても高評価は得られなくなるでしょう。上司と言う存在そのものを無くさない限り、パワハラは無くなりません。
2.パワハラの対処法
P子「じゃあ、パワハラは無くならないって事」
無くならないと思います。つまり、パワハラを無くすという事より、自分がパワハラに合わないためにどうするかと言う対処法を考えた方が良いと思います。なお、ここでは裁判沙汰になるほどの熾烈なパワハラではなく、日常のちょっとした嫌な事レベル(世間ではパワハラと認定されないレベル)への対処法とします。
まずは、パワハラの定義を見てみましょう。
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf
パワーハラスメントの定義について
平成30年10月17日
雇用環境・均等局
1.優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
2.業務の適正な範囲を超えて行われること
3.身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
優越的な関係=つまりパワーバランスが崩れている場合に、起こりうるという事です。逆に言えば、上司のパワーに対抗できる『力』があれば、パワハラに合わなくなるはずです。
P子「上司のパワーに対抗できる『力』って?」
技術者なら専門知識とか、匠の技とか、上司から一目置かれる存在になれば、パワーバランスを保てるんじゃないでしょうか?
でも、上司の通常の業務命令に従わないとか、有りもしないパワハラやセクハラの罪を着せるとか、逆パワハラで対抗するというのは、やはりだめでしょう。
普通に技術力を磨いて上司に信頼される人物になれば、パワハラの嫌がらせは受けないと思います。
P子「じゃあ、そういうパワーを持たない場合は?」
もう一つの方法は、『いやがらせ』と感じない事、つまり自ら進んで行えばよいのです。
例えば、『①無給で事務所掃除を強要』されるより、自ら進んで清掃する道を選ぶ...とか。
https://studyhacker.net/clean-3merit
松下幸之助が「掃除」を愛した深い理由。「掃除ひとつできない人間は何もできない」の真意とは?
2019-08-13
問題があるとすれば、そういう行為を『当然としか見ない上司』と『ゴマすり野郎』と仲間内から嫌われるかもしれないということでしょう。
『③お茶出しは女性社員の義務』なんてことは時代遅れでもあり法律違反に問われます。そこに、積極的にお茶出しをする女性がいたとして、どう思われるんでしょうか?
そういう行為をやめて欲しいと思う同僚も多いと思います。しかし、来客が男性の場合(未だに多くのケースで来客者は男性である!)優しそうな女性が笑顔でお茶出しすると、嬉しくなります。
P子「パワハラの話? それともセクハラの話?」
男女平等、どちらがお茶出ししても同じですが、受け取る方の効果は異なります。どちらを出しても良いなら、効果的な方を使うのが、経営判断というものです。
お茶出しが『誰でもできる簡単な作業』として下に見られているなら、女性のみがお茶出しさせられるなんてナンセンスですが、究極まで昇華して『非常に重要な営業活動』であり、それが出来るのは一部の優秀な女性だけだとすれば、技術力の高い社員と同じように営業力のある社員として、パワーバランスが取れるのではないかと思います。
そのうえで、上司に『貸し』を作れるなら、お茶出しを否定する必要もないと思います。
P子「やりたくなかったら?例えば、別の業務で手いっぱいだとか...」
パワーバランスが取れているなら、お断りできるはずです。
P子「結局、マウンティングを勧めているって事?」
少し違うのは、力関係が明確でない相手に対して、自分の優位性を示すのがマウンティングだとすれば、パワハラ対処法は、元々力関係が上位の人に対して、簡単に手出しできないようにする防衛力(バリア)みたいなものと考えるのが妥当と思います。
くれぐれも、防衛力を攻撃力に転嫁して、逆パワハラにならないように注意しましょう。
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「それで済まないから、悩んでるんじゃないの?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
コメント
たいき
パワハラされた経験者です。学校のいじめと一緒で上位の権威にある人間がきつく注意しても、こんどは見えないところでやるようになって、以前にも増して陰湿さが加わってきました。非常に参考になりましたのでコメントさせていただきました。突然失礼しました。
ちゃとらん
コメント、ありがとうございます。
体験記、いつも楽しく(?)読ませていただいています。
あくまで、ゆるーい場合の対処法なので、参考になったかどうか判りませんが、いじめと同じで、する方とされる方の温度差が大きい(する方は軽い気持ちと言いますが、される方は切実な問題です)ので、ちょっとやそっとではなくならないでしょうね。
おたみ
>温度差が大きい
パワハラを行う側はパワーバランスにおいて強者であるがゆえに理不尽な行為であることを指摘されることが少なく、それ故に気づきにくい(=軽い考えるようになる)といったところでしょうか?
>上位の権威にある人間がきつく注意しても
その注意自体が当事者にとってはパワハラで、従うべき理由のない理不尽なものに思えるのでしょう。
ちゃとらん
コメント、ありがとうございます。
強者は指摘されない → 助長する → さらなるパワハラ という悪循環ですね。
やはり、そう簡単にはいかない問題ですね。
# 教育や指導との線引きも難しい・・・