ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。

魔女の刻 (18) 夜の訪問者

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 「クビ......」田嶋社長は頭を抱えた。「マジかよ」
 東海林さんと私がクビを宣告された日の夕方、直帰予定だった田嶋社長と営業の黒野が、急遽会社に戻ってきた。東海林さんがメールで簡単な事情を説明したからだ。もちろん二人が簡単な説明などで納得するはずもなく、私たちは応接室に呼ばれ、詳細な事情を話し終えたところだった。
 「全く」黒野が東海林さんに恨みがましい視線を投げた。「もう少し我慢できなかったんですか」
 「言っておくが、俺は別にケンカをしたわけでも、暴言を吐いたわけでもないぞ。わかってない奴に、わかってないことを親切に説明しただけだ。前の車が信号が青になっても動き出さなかったら、軽くクラクション鳴らすだろ。あれと同じだ。相手が勝手にキレたんだ」
 「相手がベンツ乗ってるヤクザだったら、クラクション鳴らしたりしないでしょう。黙って言わせておけばよかったじゃないですか」
 「そういう選択肢は思い浮かばなかったな」
 黒野は一声唸ると、私に視線を向けた。
 「川嶋、お前もお前だ。東海林さんが暴走しそうになったら制止するのはお前の役目だろうが」
 「そんな役目は初耳よ」私は言い返した。「あたしだって最善は尽くしたわよ」
 「そうか?」東海林さんが面白そうに言った。「こんな人、とか呼んで事態を悪化させたのは誰だっけ。よっぽど直接的に侮辱してるじゃないか」
 「あれは、その......」
 「まあ、ともかく」田嶋社長が顔を上げた。「やってしまったことは仕方がない。対策を考えよう。契約的にはどうなんだ」
 黒野は持っていた契約書をめくった。
 「2 ヵ月毎の更新になるので、契約期間中は一方的に解除できないことになってます。ただ、例外もあります。意図的にプロジェクトに対して著しい損害を与えたとマネージャが判断した場合、契約を無条件に解除できるようです」
 「著しい損害か」田嶋社長は東海林さんに訊いた。「与えたのか?」
 「著しい損害って、たとえばサーバを破壊したとか、データベースを消去したとか、そういうレベルの話ですよね。今枝という人間との間に意見の相違が生まれた、それだけです」
 「だとしてもですよ」黒野が渋い顔で指摘した。「問題は、その判断をするのがエースシステム側だってことです。向こうが損害があった、と言い張れば、こちらは抗弁できません」
 「判断をするのは、オーダーテイカーとかいう意味不明な奴ではなくて、マネージャレベルの人間なんだろう」東海林さんは反論した。「この場合、高杉さんだな」
 「高杉さんはその場にいなかったんですよね。とすれば、高杉さんに報告するのは、今枝さんという人になるじゃないですか。わざわざ自分の不利になるようなことを報告するはずがないでしょう。エースの人間ですよ。東海林さんを極悪非道なプログラマだと報告するに決まってるじゃないですか」
 東海林さんはイヤそうな顔で頷いた。
 「そんなことは俺も考えたよ。だからといって、どうしようもない」
 「それを何とかするのが課題になりそうだな」田嶋社長は私たちの顔を見回した。「よし、明日の朝、一番でエースシステムに行って、高杉さんに......」
 甲高い電子音が田嶋社長の言葉を遮った。黒野が慌てたようにスマートフォンを取り出した。
 「すいません、ちょっと」
 黒野はそう言うと、立ち上がって応接室を出ながら、電話の相手と話し始めた。
 「どうも、お世話になります。黒野です。ええ......」
 私たちは押し黙ったまま待った。黒野はすぐに通話を終えて戻ってきた。
 「今、南條さんから電話があったんですが」
 南條さんというのは、東風エンジニアリングの営業部の人で、私も面識がある。うちの会社は、東風エンジニアリングの仲介で仕事を受注することが多い。今回のくぬぎ市案件も、うちの直接の元請けは東風エンジニアリングになる。
 「なんだって?」田嶋社長が顔をしかめて訊いた。「この件か?」
 「わかりません。今から、うちに来たいそうですが」
 「今?」
 「はい。近くまで来ているそうです。どうしましょう?」
 「どうするも何も」田嶋社長は肩をすくめた。「来るなとは言えんだろう。話の続きは、また後だ。二人とも、まだいてくれよ」
 東海林さんと私は、それぞれ自分の席に戻った。
 社内は閑散としていた。社員のほとんどは、どこかに常駐している。社内で作業ができる受託開発の数が減っているためだ。いつもいるのは、派遣で来てもらっている庶務の女性ぐらいだ。
 私がお茶でも淹れようと給湯室に入ると、その女性、市田サクラちゃんが驚いたように振り向いた。手には台ふきんを持っている。そろそろ勤務時間の終わりなので、水回りを掃除してくれていたらしい。
 「あれえ、川嶋さんじゃないですか。久しぶりですね」
 サクラちゃんは23 才。茶髪で、彫りの深い顔立ちの女性だ。いつも左右の耳に異なるイヤリングをつけている。その組み合わせには何らかの法則があるようだが、誰もそのパターンを見出すことに成功していない。以前、何かの拍子に、右の二の腕にハートを射貫いている矢のタトゥーがあるのを発見したことがある。
 「うん、久しぶりね」
 「どうしたんですか。クビになったんすか」サクラちゃんは偶然にも私が会社にいる理由を的中させて笑った。「あ、お茶ですか。やりますよ」
 サクラちゃんは私の手からティーポットを奪い取ると、ヤカンに水を入れて火にかけた。給湯室には電気ケトルもあるが、サクラちゃんはヤカンでお湯を沸かすのが好きだ。
 「でも、もう帰るところだったんでしょ」
 「そうですけど、お茶淹れるぐらいいいですよ。どうせならおいしいのがいいですからねえ。あ、細川さんのハワイ土産もありますよ。食べます?」
 「へえ、何?」
 「マカダミアナッツです」
 「やっぱり」
 「でも」サクラちゃんは棚からスチール缶を取り出した。「何とわさび味」
 「え、そんなのあるんだ」
 そのとき、来客を知らせるチャイムが鳴った。東風エンジニアリングの南條さんだろう。すぐに黒野が応対に出たようだ。話し声が聞こえる。
 私とサクラちゃんが無駄話をしながらお湯が沸くのを待っていると、黒野が給湯室に駆け込んできた。
 「あ、市田さん、まだいたか、よかった」黒野は緊張した顔で言った。「お茶、お願い」
 「はーい」サクラちゃんは頷いて、来客用のお茶のペットボトルが入れてあるダンボール箱に向き直った。「いくつですか」
 「いや、ペットのじゃなくて、ちゃんと淹れてもらえるかな。いいお茶っ葉で。1 つでいいから。あ、それから何かお茶菓子とかあったら出して。安っぽいのはダメだよ」
 「大統領でも来たんですか?」
 「似たようなもんだね」黒野は私を見た。「川嶋、来てくれ」
 「え、あたしも?」
 「そうだ」
 「わかった」私は頷いた。「お茶飲んだら行く」
 「アホ、すぐだ」
 黒野はそう言って、私の手を引っ張った。お茶を飲みそこねた。まあ、少なくともヤカンのお湯はムダにならないだろう。
 応接室の前に立つと、黒野は私に中に入るように促した。
 「あんたは?」
 私は訊いたが、黒野は無言のまま、戻っていった。私は首を傾げながらドアを開けたが、中に座っていた人物を目にした途端、思わず声を上げてしまった。
 「え!」
 「川嶋さん、こんばんは」エースシステムの上級SE、高杉さんが言った。
 「川嶋」東海林さんが苦笑した。「ぼーっと立ってないで座れよ」
 「え、ええ」
 私は戸惑いながら、高杉さんの隣の椅子に座った。南條さんの姿は見えない。おそらく、高杉さんを案内してきただけだったのだろう。
 「えー、高杉さん」田嶋社長が少し上ずった声で言った。「わざわざお運びいただいて恐縮です。それで、一体、どのような......」
 「東海林さん、川嶋さん」高杉さんは私たちの名前を呼んだ。「今日の午後のことを今枝から報告されました。お二人をクビだと言ったそうですね」
 「ええ」東海林さんが頷いた。「確かに言われました。だから、私と川嶋がこんな時間に、自社にいるんですよ」
 「その事情を確認に参りました」高杉さんは手帳とペンを取り出した。「経緯を教えていただけますか。事実を正確に、過不足なくお願いします」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 東海林さんと私が、この日の午後の出来事を再現するのに10 分ほどかかった。途中で、黒野が予備の椅子を持って来て参加し、同時にサクラちゃんがお茶を運んできた。どこからか引っ張り出してきた湯飲みと、小皿に載せた落雁だった。確か、何ヶ月か前に、誰かが三渓園のお土産として買ってきたものだ。干からびてないか心配だったが、幸い、高杉さんは茶菓子などには目もくれなかった。
 「よくわかりました」高杉さんは手帳を閉じて、冷めた茶を一口すすった。「今枝から聞いた話とは、少し違うようですが」
 東海林さんは、どちらを信じるかはそちらのご自由、と言わんばかりに肩をすくめただけだった。
 「他のプログラマの人たちも会話を聞いていました」私は申告した。「念のために聞いてみてはいかがでしょうか」
 「すでに聞いています」高杉さんは答えた。「大筋で、サードアイさんの話と一致していました」
 「あの、それで」田嶋社長が慎重に訊いた。「その、クビの件ですが......」
 「私がここに来た2 つ目の理由はその件です」
 「と言いますと」
 「私の権限で取り消します、と言いたいところなのですが」高杉さんの言葉で、田嶋社長の顔色が変化した。「今枝は正式な社内手続きで、お二人の契約解除を申請してしまいました。私がそれを一方的に取り消すことはできません」
 「......」
 「ただ、今回の契約解除は、通常の契約期間終了にともなう解除ではないため、法務部を交えた社内会議で検討されることになります。そこで、必ず撤回されるように根回ししておきます。それまで待っていてください」
 田嶋社長はひとまず安堵の表情を浮かべたが、私は気になることを質問した。
 「その結果が出るのはいつになるんでしょうか?」
 「まだ未定ですが、来週以降、おそらく来月中旬になる予定です」
 「そうですか......」
 くぬぎ市案件のために他の仕事は全く入れていないから、東海林さんと私はそれまでヒマになるわけだ。田嶋社長も同じことを考えたらしく、懇願するように言った。
 「もう少し早く決めていただくわけには......」
 田嶋社長の言葉は、不意に鳴ったチャイムで中断された。田嶋社長と黒野は怪訝な顔になっている。元々、田嶋社長も黒野も直帰の予定だったから、来客の予定が入っているはずがない。
 「......すみません」田嶋社長は小さく頭を下げて続けた。「ご存じの通り、うちは小さな会社なので、プログラマを二人も遊ばせておく余裕がないんです。もう少し早めに決定していただけないでしょうか」
 高杉さんが何か答えようとしたとき、応接室のドアが小さくノックされ、サクラちゃんが顔を覗かせた。
 「あの」サクラちゃんは、なぜか私に言った。「お客様です」
 「え、あたし?」私は驚いた。
 「はい」
 私は4 人に断ってから応接室を出ると、サクラちゃんに訊いた。
 「誰?」
 「エースシステムの人だそうですよ。名前は名乗らなかったんですが、男性と女性と一人ずつ」
 エースの人か。新美さんあたりだろうか。まさか、今枝さんということはないだろうが......
 あれこれ考えながらエントランスに出た私は、驚きのあまり絶句して立ち止まった。
 「川嶋さん、こんばんは」
 「し、白川さん!」私は悲鳴のような声を上げてしまった。
 車椅子に乗った白川さんは、私の反応を面白がるようにクスクス笑った。その後ろに、新美さんが困ったような顔で立っている。
 「だ、大丈夫なんですか」
 白川さんはパジャマのような病衣の上に、ピンクのカーディガンを羽織っていた。顔の3 ヵ所に外傷保護フィルムが貼られていて、右脚はギブスで固められている。肋骨を骨折したとのことだから、病衣の中は包帯が巻かれているのだろう。左腕から点滴のチューブが伸びていて、新美さんがボトルを持っていた。その他、手の甲や、首などにも包帯が巻かれている。アクセサリーの類いは何も身に着けていなかったが、いつもの時計だけは右手首にはめていた。
 「まあ、ちょっと痛みますけど、大丈夫ですよ」
 「絶対安静ですよね。何やってるんですか、こんなとこで」
 「川嶋さん」後ろからサクラちゃんが囁いた。「とりあえず、中にご案内した方がよくないですか?」
 「あ、そう、そうね。すいません。中へどうぞ」
 問題はうちの会社のエントランスがバリアフリーになっていないことだ。車椅子が段差を乗り越えるには持ち上げるしかないが、私の力では不可能に決まっている。私はサクラちゃんに、男性連中を呼んでくるように頼んだ。
 すぐに応接室から出てきた3 人は、痛々しい姿の白川さんを目にすると、私と同じように固まった。さすがの東海林さんも茫然としている。後から出てきた高杉さんは、部下の姿を一目見ると、やはり絶句して立ち尽くした。
 「白川」最初に立ち直った高杉さんは、混乱した顔で言った。「ここで何をしているのです。病院にいたはずでは......」
 「ほら、そこの男の人たち」サクラちゃんが東海林さんと黒野に命令した。「こっちに来て、両側から車椅子を持ち上げてください。ほら、早く」
 我に返った二人の男性は、慌てて白川さんに近付くと、両側から車椅子を掴んだ。サクラちゃんの合図で車椅子を持ち上げ、数10 センチを移動して、床の上にそっと下ろす。接地したときの振動が傷に障ったのか、白川さんは歯を食いしばったが、呻き声ひとつ洩らさなかった。
 応接室に車椅子を入れるスペースはないので、白川さんは会議用テーブルに案内された。その短い移動でも身体へのダメージがあったらしく、テーブルの前で車椅子が固定されると、さすがにホッとしたような表情になった。
 タイミングよくサクラちゃんがティーポットを運んできた。白川さんはカップに注がれた暖かい紅茶を一口すすると、大きくため息をついた。
 「お騒がせしてすみません」白川さんはテーブルを囲む私たちに謝った。「新美から話を聞いて、病院を抜け出してきました」
 「今枝さんのことですか?」
 私が訊くと、白川さんはかろうじてわかるぐらいに頷いた。あまり大きく首を動かすのはつらいのだろう。
 「何かやるだろうとは予想していましたが」白川さんは悔しそうに言った。「まさか初日に、東海林さんと川嶋さんをクビにするまでやるとは思っていませんでした」
 「予想をしていたんですか?」
 「白川」高杉さんが割り込んだ。「その件は社内の話で......」
 「高杉さん」白川さんはしっかりした声で遮った。「失敗は失敗として認めるべきではないでしょうか。別に恥にはなりません」
 高杉さんは少し考えていたが、すぐに白川さんに同意して頷いた。
 「わかりました。私から話します。身内の恥をさらすようですが、弊社内には上級SE 間での派閥争いのようなものがあります。オーダーテイカー制度は、別の上級SE が提唱したものです。私は賛成しませんでしたが、役員の何人かが賛同し、くぬぎ市再生プロジェクト案件での適用を指示してきました。プロジェクトへの投入は下期から試験的に行われる予定でしたが、白川がこのような事態になったため早まりました」
 「そうでしたか」東海林さんが口を開いた。「てっきり、高杉さんが推奨しているのかと思っていました」
 「会社が推奨した制度であれば、私はそれを支持します」高杉さんは迷いのない声で言った。「自分の意見を介在させる余地はありません」
 「新美から話を聞いて」白川さんが続けた。「すぐに今枝のアクセスログを調査させたんです。着任して最初にやったのは、これまでの詳細設計の成果統計を出すことでした。その後、東海林さん他、何人かの処理履歴を調べていたようです。おそらく、最も成果を出しているプログラマをピックアップしていたんでしょう」
 「何のために?」
 「私にはわかります」高杉さんが言った。「自分のリーダーシップを見せつけるためでしょう。同時に、白川の成果を否定するために」
 「どうして......」
 「どうしてわかるのか?」私の質問を高杉さんが先取りした。「私も今枝の立場にいたら、同じことをしただろうからです。ライバルと目される相手がいれば、その足を引っ張る。弊社内では日常茶飯事です。非難されるようなことではありません」
 私には理解できない思考だった。
 「プロジェクトに悪影響を与えますよね。そんなことをして、何のメリットがあるんですか?」
 「白川が復帰しても、自分のポジションを確保するためです。このプロジェクトは、エース社内でも最重要プロジェクトの一つに位置づけられています。そこでリーダーとして成果を出せれば、いえ、出したとアピールできれば、上級SE への道が開かれますから」
 「つまり」東海林さんが苦笑した。「私たちは、御社内の権力闘争に巻き込まれたということですか。いい迷惑ですね」
 「おい、東海林」田嶋社長がたしなめた。「失礼だぞ」
 「いえ、全くその通りです」白川さんも笑った。「お恥ずかしい限りです」
 「先ほどの話に戻りますが」田嶋社長が深刻な顔を高杉さんに向けた。「二人のクビの撤回を、もう少し早めに決定していただくことはできないでしょうか」
 「ご期待に沿えず申しわけないのですが......」
 「すみません」高杉さんの否定的な言葉を、白川さんが遮った。「プロジェクトの完遂に東海林さんと川嶋さんの力は重要です。プロジェクトリーダーとして、1 日でも早く戻っていただかなくては。ゆっくり治療に専念することもできません」
 「気持ちはわかりますが」高杉さんは白川さんに無表情な目を向けた。「うちの社内政治の複雑さは、あなたも知っている通りです。検討委員会のメンバー選出、スケジュールの調整、事前の根回しなどやることが......」
 「わかっていますが、それでもお二人を遊ばせておくことはできません」
 「私の言葉を遮るのは止めなさい」高杉さんは白川さんを睨んだ。「それで、あなたは何をどうしたいのですか」
 「ケガのせいで、いつもより少しだけ気が短くなっているようです。大目に見てください。私が言いたいのは、検討委員会そのものを中止させればいい、ということです」
 「どうやってそんなことを」高杉さんは哀れむような目を向けた。「今枝が出した申請は、正式なルートで回り始めています。私でも取り消しはできません。あなたの権限なら、なおさら無理です」
 「申請者自身が撤回すれば別です」
 「今枝が撤回するとは思えません」
 「そうでしょうか」白川さんは時計を見た。「本人の意見も聞いてみてはどうでしょう」
 高杉さんが問い返そうとしたとき、三度、チャイムが鳴った。サクラちゃんが応対に出て、すぐに戻ってきた。
 「あの、また、お客様です」サクラちゃんは全員を見回した。「エースシステムの今枝様です。お通ししてよろしいでしょうか」

(続)

 この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。また、特定の技術や製品の優位性などを主張するものではありません。本文中に登場する技術や製品は実在しないことがあります。

Comment(19)

コメント

キアワイ

すっごーい!役者が勢揃い!
来週が楽しみだw

匿名

今枝氏は、上流SEに着くことができるくらいなんだから、ボンクラではないんですね。
んで、エースの人間だから、政治的な動機を優先する、と。


材料が並べられたばかりだから、予想は控えて、
展開を楽しみに待つことにします。


それにしても。
高杉さんてば、本当に会社人間でしかないんですね。
いや、かくいう私なんか(ry


二流の人間にとって権力とは、それを獲得して維持することが目的。つまり権力そのものが目的。
一流の人間にとって権力とは、それを使って目的を成し遂げること。


高杉さんは、一流に離れない人ですね。

せいろ

〉東海林さんと川嶋さんにクビをする
~をクビにする、でしょうか

mori

面白い!来週詫びを入れるのか、油に火をそそぐのか楽しみにしてます

今枝氏は「上級SE への道が開かれますから」とあるように現在は上級SEではないですよね。

aoix

白川さんすごい。惚れる。

2018/01/15 11:23

>現在は上級SEではない


細かいことはどうでもいいです。
私は、誤字指摘とか編集者気取りとかがキライ。

SQL

役者が揃った!!
 
ところで、エースって某大手SEがモデルになっていると聞いたことがありますが、
本当にこんな感じなんでしょうか?
 
> 「私も今枝の立場にいたら、同じことをしただろうからです。
> ライバルと目される相手がいれば、その足を引っ張る。
> 弊社内では日常茶飯事です。非難されるようなことではありません」

匿名

コメント欄に今枝のなりきりが来た。

せいろ

〉東海林さんと川嶋さんにクビをする
~をクビにする、でしょうか

ウヒヒ

いつも楽しみにしています。
またまた面白くなってきましたね。

リーベルG

せいろさん、ご指摘ありがとうございました。

匿名

オーダーテイカーであってSEではないので、せいぜい上級SEならぬ低級SEでしょうな

えいひ

白川さん怖ええ。。。魔女だ、魔女がおる。。。

3STR

最重要プロジェクトを遅滞させれば自己評価になるって、エリートさんの集う会社は魔窟だなあと凡百なわたしゃ思うです
そんなベンダーに任せるのやだなぁ

phecda

しかし、これだけ権力志向を通り越して、権力欲の奴隷としか言いようのない人間ばっかりで、
エースシステムが会社としての体を保てているのは不思議でしょうがない。
それとも、エースシステムは会社の成長の結果、権力闘争に明け暮れられるほどのリソースを手にできたからこそ、
権力志向の人間が集まってきたと考えるべきなのか。

p

社長が著しい損害を与えたのか東海林さんにわざわざ聞くとこすき

SK

サクラたんの二の腕にタトゥー!?何かの伏線!?

匿名

> 私は、誤字指摘とか編集者気取りとかがキライ。

上記のような感想はどうでもいいです。

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