飛田ショウマの憂鬱 (終)
今日も寒い一日になりそうだ。飛田は窓から差し込む弱々しい陽射しを見ながら思った。空一面に灰色の雲が広がっている。神奈川県の平野部は降水確率40% となっていた。微妙な確率だ。もうすぐ東雲工業へ外出の予定だが、傘を持っていくべきだろうか。今日は持参すべき資料が多いし、デモ用にノートPC も必要だ。
天気予報の確認を終えブラウザを閉じようとした飛田は、見覚えのある固有名詞を見た気がして、改めてモニタに視線を戻した。ニュースサイトだ。芸能人の不倫疑惑、介護施設の人手不足問題、住宅地価が下げ止まり、iPad の新型モデル発表、女子フィギュア、ノロウィルス流行......文字列を目で追っていくうち、スクロールしていた手が止まった。
個人情報流出の可能性 - 青山フラワー
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青山フラワーアレンジメント広報室によれば、18 日午前3 時頃、同社が運営するサイトのパンフレット送付希望受付フォームが、何者かに侵入され、データベースに格納されていた送付希望者の個人情報が流出した形跡が発見された。OS とWeb サーバの脆弱性が放置されたままになっており、侵入者はこの脆弱性を利用して、管理者権限でデータベースにアクセスしたという。
流出した個人情報の件数など、被害の正確な規模は現在調査中であるが、同社では可能性のある顧客全てに連絡を取るとともに、今後の対応策を協議している。また、青山フラワーでは、サイト運用を委託していたシステム会社に原因究明と対応策を要求しており、場合によっては損害賠償請求を行うことも検討中だという。
飛田の脳裏に、長谷部とカナの顔が浮かんだ。飛田がシグマファクトリーを退職し、長谷部が独立して会社を興してから2 年以上になる。いつかこんな事象が発生するのではないかと思っていた。
退職直後は、長谷部から定期的にメールが届いていた。まるで飛田に対しては、状況を報告する義務があると考えてでもいるかのようだった。社名をロングキャニオンシステム株式会社とした新会社は、シグマファクトリーから予定通り出資を受け、八十田建設のシステム開発業務や、AFA のサイト運用などを引き継ぎ、順調なスタートを切っていた。長谷部は「飛田の代わりにはとてもならないが」という但し書き付きで、2 名のプログラマを中途採用し、それらの業務をこなしていったらしい。石黒もシグマファクトリーを退職し、ロングキャニオンシステムに転職している。
シグマファクトリーに残った野見山からも何度かメールが届いていた。飛田と長谷部が退職し、野見山が梅田支店金融証券部に異動した後、全社的な部門の統廃合が繰り返され、ソリューション事業部はバラバラに解体された。システム開発課はあっさり消滅し、その他の開発業務を行っていた部門も同じ運命を辿った。多くのプログラマが会社を去り、代わりにシステムエンジニアと自称する技術者が入社した。
年が明けた1 月、野見山からのメールを読んだ飛田は、思わず声を上げそうになった。首藤が本社総務部付きとして本社に戻った、と書かれていたのだ。飛田が会社からいなくなったことで、首藤を福岡支店に留めておく理由が消えたことと、ある程度の時間が経って「禊ぎ」が終わったと役員が考えたためだろう。結局のところ、MITSUHIDE プランは失敗に終わったと言わざるを得ない。長谷部やカナは、首藤に回復不能なダメージを与えたつもりだったが、その経歴に小さな傷を負わせたに過ぎなかった。長谷部の新会社の出資に意志を反映させた件からも明らかになったように、これまで長い年月を費やして張り巡らせてきた人脈は健在だったのだ。
『闇の森から追い出されたサウロンがモルドールに身を潜めて機を窺っていたように』と野見山は書いていた。『じきに復活するんじゃないかと考えています』
野見山の予想は的中した。4月、首藤は新たに設立されたセールスマネジメント部セールスプロダクト企画課課長を拝命し、再び出世コースを歩き始めたのだ。さらに、どのような錬金術を駆使したのか、協力会社の管理・運用をセールスプロダクト企画課で一手に引き受ける体制を作ってしまった。もちろん、管理すべき協力会社には、ロングキャニオンシステムも含まれる。
『要するに』野見山はメールに書いていた。『長谷部さんをチクチク苛めるためと、飛田さんがこっそり入社してないか目を光らせるためでしょう』
長谷部が親会社からどのような重圧を受けたのかは定かではないが、4 月以降、会社の状況を知らせるメールは激減した。たまに届くメールには、あからさまな泣き言こそ書かれていないものの、『あのままシグマファクトリーにいたら、と考えることがある』『二人とも激務が続いていてカナが体調を崩した』『飛田がいてくれれば』などと、ネガティブな文章が目立つようになっていた。
やがて長谷部からのメールは途絶え、飛田が気になり始めた7 月の終わり、カナから連絡が入った。
待ち合わせに指定されたのは、武蔵小杉駅北口近くのスターバックスだった。飛田は約束の10 分前に店に着いたが、カナはすでに来ていた。
土曜日の午後という時間帯のせいか、店内は混雑していて、オーダーも長蛇の列だった。飛田は順番を待ちながら、10 ヵ月ぶりに会うカナの様子を観察した。少し痩せたように見える。以前の健康的な笑顔を知っている飛田には、メイクでも隠しきれない隈と、目尻のしわが目立った。
ようやくティーラテを受け取った飛田は、急いでカナの前に座った。
「すまん。待たせた」
「いえ」カナは小さく首を横に振った。「いいの。なんか、前にもこんなことあったよね」
「ああ」飛田は頷いた。「確か八十田建設の件で、俺が長谷部に仕事を押しつけてるんじゃないかと、お前が怒り狂ってたんだったな」
「別に怒ってはいなかったけどね」
「あのときも笑ってなかった。今も笑ってない。お前は1 日のうち22 時間ぐらいは笑ってると思ってたんだが」
「あたしだってたまには深刻な顔をするのよ」カナはそう言って話題を変えた。「飛田ちゃん、新しい会社の方はどう? 納得いく仕事をさせてもらえてる?」
「それなりにな」飛田は頷いた。「会社自体は、オフコンで食いつないできたところなんだが、俺がいる部署はWeb 関係の開発をやってる」
「忙しい?」
「ヒマではないな。10 月本番稼働のシステムの主担当だから」
「ふーん。充実してるみたいでよかったわ」
「そっちは? 石黒は元気にやってるか?」
そう訊いた途端、少し明るくなりかけていたカナの表情が曇った。
「石黒ちゃんは、しっかり戦力になってくれてるから安心して」カナはカップをもてあそびながら、呟くように言った。「でも、会社の方は順調とは言えないわね」
「今日、呼んだのはそのことか」
「もっと楽しい報告だったら良かったんだけどね」
「何が問題なんだ」
「首藤よ。4 月から、首藤の部署が協力会社を管理することになったのは知ってるよね」
「野見山から聞いた。単価を下げられたとかか?」
「いえ、発注金額は経理と法務を通るから、不当な価格にはならないんだけど、業務の内容がね」
「どういうことだ」
「飛田ちゃん、憶えてるかな」カナは遠い目を向けた。「八十田建設の件で、協力会社を探していたとき、首藤とケンタくんが候補先に出した条件表」
「ああ、なんかバカげたのを作ってたな。あ、すまん」
「いいのよ」カナは乾いた笑いを洩らした。「あたしも後から見て、バカげてるって思ったもの」
「それがどうした」
「うちに突きつけられた条件表が、それだったの。ほとんど同じ文面で」カナはバッグからiPad を取り出すと、文書ファイルを表示して飛田に見せた。「もちろん社外秘なんだけど、飛田ちゃんは一度見てるしね」
そこには見覚えのある文章が並んでいた。
・本件の実装担当者は専任とすること。
・実装担当者が何らかの事情によって専任から外れる場合に備えて、同人数の代替実装者を確保しておくこと。
・代替実装者を含めた全実装担当者の名簿を、契約締結時から3日以内に甲に提出すること。その際、実在証明となる公的書類(免許証、パスポートなど顔写真入りのもの)を添えること。
・実装とテストは別の担当者が実施すること。
・テスト担当者からのフィードバック、および、実装担当者の修正部分は、全て詳細な記録を残し、エビデンスと一緒に成果物に含めること。
・実装とテストは、互いに隔絶した環境で実施すること。
「これを提示されたのか」
「いえ、口頭で言われただけ」
「首藤から?」
「首藤は出てこないわよ」カナは吐き捨てるように言った。「うちの担当は、田中って言う3 年目の男。何か頼んでも『持ち帰って検討します』で逃げて、後からメールで断ってくるの」
「従っているフリをして好きにやったらいいだろ」
「その田中が、うちの会社に時間を決めずに日参してくるのよ。誰が何の仕事やってるのか確認するためだけにね」
「ヒマな奴だな」
「仕事できない奴なのよ。でも首藤に忠誠を誓ってるらしくてね。きっとひざまずいて靴嘗めろって首藤に命令されたら、嬉々としてやるのよ。上に媚びへつらって、下に威張り散らす、いわば小首藤ってとこね」
「で、俺にどうしろと?」飛田は訊いた。「その田中って奴をぶん殴ればいいのか」
「それは、いつかあたしがやる。あたしかケンタくんが」
「やるなら新月の夜にしろよ。で?」
「うちの会社を手伝ってくれないかな」カナは躊躇いがちに言った。「アルバイトでいいから」
「人手が足りないのか」
「全然足りない。1 つの業務に1 人を専任させないといけないから、人をいくら雇っても足りないのよ。なるべく開発期間は並行させないようにしてるけど、シグマファクトリーからは、どんどん降りてくるから」
「断ればいいじゃないか」
「断ったら、次がないかもしれない」
「もうすぐ1 年になるのに、まだ独自の営業ルートを開拓できてないのか」
「営業の人間を増員する余裕がないのよ」カナはため息をついた。「開発要員を揃えておかないといけなくなるから」
「業務委託契約なんだろ。やり方に命令はできないはずだ」
「命令はしてないのよ。あくまでも『うちの希望ですけど』って言い方をしてるから。でも、断ったらどうなるか、ってさりげなく匂わされてるから」
「俺がそっちの会社で仕事をするわけにはいかんのじゃないのか。その田中って奴にバレるだろう」
「リモートで何とかできないかって思ってるんだけど」
飛田は少し考えたが、すぐに首を横に振った。
「悪いが力にはなれない。前に長谷部にも言ったが、もうお前たちに振り回されたくない。結局のところ、お前たちも首藤も、俺から見れば、技術者を自分たちの都合でもてあそんでいるだけだ。それは俺がやりたい仕事じゃない」
「......」
「仮に俺が力を貸して、今をしのいだとしても、根本的な解決策を見つけない限り、また同じことになるんじゃないのか。消耗戦になったら、体力のない方が負ける」
「そう言われるんじゃないかと思ってたけど」カナは諦めたように頷いた。「一応、話してみずにはいられなかったから。ごめん。参考までに聞かせて。飛田ちゃんの言う根本的な解決策って、たとえば何?」
「シグマファクトリーと手を切るしかないだろう」
「仕事がなくなっても?」
「それは営業マンが死ぬ気で頑張るしかないんじゃないのか。楽して仕事をもらうだけなんて、そんな状況がそもそもおかしい。俺には営業のことはわからんが、営業ってのは足で稼ぐのが本分だろう」
「飛田ちゃんの言う通りね。あーあ、本当に飛田ちゃんがいなくて残念。ケンタくんと2人で遠慮なく意見をぶつけ合うのを見るのが楽しみだったのに」
「今日、長谷部は?」
「仕事してる。最近は土日関係なし」
「八十田建設の開発とAFA のサイト運用は続いてるのか」
「それが大きな負担なのよ」カナはまたため息をついた。「八十田は開発だから、まだいいとして、AFA は24 時間対応が求められてるからね。一次対応連絡先がケンタくんの携帯になってて、ちょっとサイトが重くなっただけでも、夜中でもお構いなしにかかってくる。細かい修正はしょっちゅうあるのに、お金取れない場合もある。正直、手放したいんだけどね」
「手放せばいいだろう」
「保守料がバカにできないのよ。固定収入だから」
「損切りするのも決断だと思うが」
「考えてはいるんだけどね」カナはスマートフォンに目を走らせると、カーディガンを羽織った。「ごめん、もう行くわ。落ち着いたら、また3 人で飲みに行こうね」
「ああ、長谷部によろしくな。式はまだなんだろう?」
「この分じゃ、当分、先になりそう。いつになるかわからないけど、式には絶対来てね。こぢんまりとやるつもりだから」
「考えとく」
カナは以前のような快活な笑みを見せると、手を振って帰っていった。
今でも飛田は、あのときのカナの笑顔を鮮明に思い浮かべることができる。飛田がカナに会ったのはあのときが最後であり、長谷部たちの結婚式に出席する機会は、ついに訪れなかったのだ。
夏が終わりかけた頃、飛田は野見山からのメールに飛び上がった。
『長谷部さんが、うちの田中に暴力をふるったそうです。詳細は不明ですが、首藤課長は怒り狂っているとのことです』
飛田はすぐに長谷部に電話をかけたが、留守番電話サービスが応答しただけだった。カナも同様だ。野見山に詳細が判明したら知らせてくれるように返信し、気を揉みながら待った。
カナからの短いメールが届いたのは、18 時間後だった。長谷部は田中の横柄な態度に長い間耐えてきたが、とうとう忍耐心が底をついた。はっきりとはわからないが、田中がカナを侮辱するような言葉を吐いたのがキッカケだったらしい。田中は軽傷だったが、大げさに事を荒立て、警察が駆けつける騒ぎになってしまった。
続いて、野見山からの経過を知らせるメールが入った。長谷部は警察に連行されたが、田中が被害届けを取り下げたたため、すぐに帰宅することができた。だが、この件で精神的な負荷が限界を超えたのか、そのまま過労と心労で倒れて入院となった。
飛田は何度かカナにメールを打ったが、しばらくは音沙汰がなかった。ようやく連絡があったのは9 月半ばだった。メールではなく、普通郵便による手紙だった。
長谷部はすぐに退院したが、朝、ベッドから起き上がることができなくなった。会社に行かなければ、ともがくものの、どうしても身体が動かない。しかし、休みにすることを決めると、なぜか普通にベッドから出ることができるらしい。何の支障もなく日常生活を送ることができ、普段通りにカナと会話することもできる。笑顔でベッドに入り、明日はたぶん大丈夫だよ、と言いながら眠りにつく。そして次の日の朝、またベッドから出られずに涙を流すことになる。
仕事は石黒たち社員に分散してあったが、どうしても長谷部でないとわからないことについてはメールが入る。途端に長谷部の顔から笑顔が消失し、途方に暮れたような表情が浮かぶのだった。カナは長谷部の手からスマートフォンを取り上げ、自分で返信することでしのいだ。
一週間、同じ状態が続いた後、長谷部とカナは心療内科を受診した。複数の検査と、数度のカウンセリングの後、担当医師は「軽度の鬱病」との診断を下した。治療は通院と投薬だが、仕事のことを考えさせないことが大切です、と言われた。帰宅したカナは、まず長谷部のスマートフォンの設定画面を開き、Gmail の同期を解除し、LINE も通知をオフにした。そして、社員全員に仕事関係のメールは自分に送るよう厳命した。
カナは長谷部を家に残して出社し、可能な限り、業務を回せるように奮闘していた。石黒を技術部の責任者に任命し、いくつかの仕事は思い切って断り、減らした仕事の専任だったアルバイトと派遣社員には、事情を説明して辞めてもらった。
長谷部が復帰するまで、一時休業という手もあったが、そんなことをしたらシグマファクトリーからの業務は完全に途絶えてしまうだろうし、出資の引き上げという事態になってしまうかもしれない。シグマファクトリーからの資本金は、運転資金につぎ込んでいるので返却する余裕はない。現金化できる資産もないので、残る手段は倒産しかなくなってしまう。長谷部のためにも、ついてきてくれた石黒のためにも、それは絶対に避けたかった。
今こそ、力を貸してやるべきか、と飛田は真剣に考えたが、ここで飛田が登場すれば、首藤課長の悪意がさらに濃さを増すだけだろう、と思って断念した。カナもそれをわかっているのか、助力を求める言葉を一語も書いていなかった。
カナは長谷部に連絡をするのを控え、見舞いに来るのも遠慮してくれるとありがたい、と結んでいた。会社や仕事に関係する事柄を見聞きすると、小康状態にある長谷部の状態が悪化する可能性があるからだった。自分に連絡をしてもらうのは構わないが、多忙なのでなかなか返信ができないかもしれない。
2 週間後、再びカナから短い連絡が、今度はメールで届いた。長谷部の状態はまだ変わらないが、皮肉にも田中が日参するのをやめたおかげで、1 人が1 業務を専任する体制を解くことができ、何とか事業を継続していけそうなので心配しないでほしい、また落ち着いたら連絡する、という内容だった。
それっきり、カナからの連絡はなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
飛田は小さくため息をつくとブラウザを閉じた。「サイト運用を委託していたシステム会社」が、ロングキャニオンシステム株式会社であることは明らかだ。少人数で複数業務を回していたため、脆弱性対策などの緊急性が低いと思われた項目は後回しにされたに違いない。長谷部が復帰したとしても、ロングキャニオンシステム株式会社が進むのは茨の道になる。たとえ飛田が何らかの方法で力を貸したとしても、状況はたいして好転しないだろう。親会社であるシグマファクトリーが救いの手を差し伸べるか、いっそすっぱりと見放せば話は別だろうが、協力会社管理の実権を首藤が握っている限り、どちらもありそうにない。首藤は、自分を裏切った長谷部を、生かさず殺さず、でじわじわと追い詰め、頭を下げてくるのを何年でも楽しみに待つだろう。
自分は幸運だったのかもしれない、と飛田は、ノートPC にソースとクラス一式をコピーしながら周囲を見回した。篠崎さんの紹介で、イニシアティブという団体に巡り会え、H&Gコンピューティング株式会社に再就職することができた。最初は、スキルの低い奴ばかりの集まりだ、と思っていたが、少なくとも技術力を軽視するような人間は、この部には1 人もいない。現在、一緒に東雲工業を担当している木下は、プログラミングに妙なこだわりを持っているわりには、スキルに足りない部分がたくさんあるが、自分にはない長所をいくつも持っていることは認めざるを得ない。こいつと組ませた直属の上司の指示が的確だった、ということだろう。首藤のように技術者の屍を築いて出世の階段を昇るのではなく、しっかりと技術ファーストの理念を理解して部門を運用し、成果を出すとともに、メンバーの信頼も得ている。口に出して言ったことはないが、得がたい上司であることは間違いない。首藤のような奴は誰かを犠牲にして自分は生き残り、多くの権力と金を手に入れるだろうが、彼女の場合は技術者にとっての幸福を追求し、力を発揮できる環境を作ることで、自らと部下と顧客の全員に分相応な幸せと笑顔をもたらすに違いない。
ノートPC を丁寧にカバンにしまった飛田は、箕輪課長に声をかけた。
「課長、東雲工業、行ってきます」
「よろしくね」第1 開発課の村瀬課長代理と打ち合わせ中だった箕輪課長は、笑顔で頷いた。
「はい」飛田は振り向いた。「おい、木下。行くぞ。早くしろ」
「とっくに準備できてるよ」木下が毒づいた。「お前を待ってたんだよ」
「紙とソース、全部持ったんだろうな。抜けなんかあったら取りに帰らせるからな」
「心配ならてめえで確認しろよ」
「オレは忙しいんだよ。そういうどうでもいいことは、ヒマなお前に任せてあるんだ」
「俺だって忙しいんだよ。モテないお前と違ってな」
「ああ?」
「おい」箕輪課長が顔を上げて睨んできた。「さっさと行きなさい。そういう漫才を電車の中でやって他人様に迷惑かけるんじゃないわよ」
「「はい」」
飛田は木下と返事が重なったことに気付き、内心苦笑しながらも、しかめ面を作った。木下も負けじと眉を寄せている。2 人は黙ってオフィスから出た。
駅までの道を歩き始めたとき、珍しく木下が声をかけてきた。
「おい」
「なんだ」
「先週の打ち合わせで、夜間バッチの件が出ただろう。全工場のスキル、雇用年数別の勤怠ポイント集計。あれ、スピードアップのための案をいくつか考えたんだがな」
「ほう。お前がね。聞いてやるから言ってみろ」
飛田の傍若無人な物言いに慣れた木下は、フンと鼻を鳴らしただけで続けた。
「ステップ2 で、各スキルの名称を子階層までまとめて取得してるんだが、8 割ぐらいは子階層がないものばかりだ。確かに1 つのストアドで両方のパターンが取れて便利なんだが、逆に言えば8 割はムダな処理をしてるわけだ。最初に作ったのは、画面で使うことが前提だったからタイムラグは問題じゃなかったが、バッチで大量のデータを回すときに使うと、ミリ秒の差でも影響が出てくる。機能別にストアドを分けるべきじゃないか、と思うんだが」
飛田は歩きながら、木下の提案を考え、一理ある、と認めた。
「そうだな。効果はあるかもしれんな。だが、子階層ありなしをどうやって判断するのか、そこんとこは考えたのか?」
「あたりまえだろ。元のマスタに......」
2 人は議論を続けながら歩き続ける。いつの間にか雲は薄くなり、切れ間から柔らかい陽射しが降り注いでいた。
(終)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「レッドビーシュリンプの憂鬱」のプロモーション用に、と書き始めたこのお話は、当初、3章で終わる予定でした。2月の発売前に、また別の話でプロモーションしようかと思っていたのですが、書き始めてみると、飛田という人物がなかなか興味深いキャラクターであることに気付き、3章の予定が5章になり、7章になり、とうとう20章になってしまいました。お付き合いいただいた方、ありがとうございました。
「レッドビーシュリンプの憂鬱」をお買い上げいただいた方々、書評を書いていただいた方々に、改めてお礼を申し上げます。
次回作の予定は未定ですが、その前に、過去の「高慢と偏見」「人形つかい」「鼠と竜のゲーム」を「サードアイ・ストーリーズ」として、KDP にしようかなと考えています。いつになるかわかりませんが。
コメント
STR
完結おめでとうございます。最後まで楽しく読ませていただきました。
人を呪えば穴二つ・・・結果的に手を汚さずにリストラ済ませて返り咲いた首藤が一枚上手だったんですなあ。
戦国に限らず敵にかける情なぞ身を滅ぼす毒なのね
匿名
どこかでみたセリフだなと思ったら、
時間軸がここでレッドビーシューリンプと交差するんですね。
箕輪課長と飛田が、あのタイミングでそれぞれの過去を思い出していたとなると興味深いです。
しかし、結局は一番泣きを見たのは長谷部とカナでしたか。
首藤は復権。飛田も飛躍。
でも、首藤課長も飛田も良くも悪くも職務に忠実だったのでしょう。
長谷部とカナには自分の身の丈に合わない野心しかなかった。
MITSUHIDEどころかMITSUHIDEすらならなかった。後から見るとNAGAMASAプランだったと野見山から言われてしまうのでしょうね。信長を裏切ってみたものの、結局は信長から返り討ちにあった浅井長政のようだったと。
かなた
お疲れ様でした
月曜朝の楽しみがなくなってしまった‥
スピンオフ作品として考えると先週ので終わってた方が良かったかなあと思いますね‥
しかし子会社になること前提の企業は‥こんな結果になることが多いんだろうなあ‥
匿名
膠原病の弟とうつ病の兄か。先行きが暗いな。
宴会で、はぶられた3人がそれぞれよい方向に進んだのはよかった。
ここで終わっちゃうけど、最後まで石黒を気にする飛田はやっぱりいい奴だと思う。
匿名
ロングキャニオンか。
創業者の名前から、付ける会社も多いけどね。
この先、長い谷間から這い上がれるのかな・・・。
匿名
今度こそ、お疲れ様です。
出資元を切れって、飛田がなんか偉そうですが。
逆に言えば、飛田は愚直に自分の分際を守ってきただけですしね。
こういう人間は、周囲がイケイケの状態になったときなど、愚鈍呼ばわりされたりします。
飛田は、とっとと転職すればよいってのは、当初から指摘があったことですし。
首藤は、まったくタフですね。会社人の、模範ではあるのでしょう。
今回も出てきた条件表は、会社が上流工程専門に移行するための設計図だったはずですが、
それがそのまま、子会社への嫌がらせに使えてしまうこと、本人はどう思っているのでしょう。
職権を振りかざして嫌がらせをするような人間じゃ、省みることもしないのかな。
さて、今回の連載の勝者は首藤だと確定したわけですが。
連載当初から首藤を有能だと主張していた方の、喜びの舞は見られるのかな。
匿名
連載おつかれさまでした。
結局、信長、光秀の共倒れではなく謀反の失敗、前回で野見山が指摘してたように首藤を会社を辞めるまで攻めきれない優しさが仇となりましたか。
ハッピーエンドにはならないと思ってましたが、カナは病弱の長谷部兄弟を二人も養うことに…
シグマファクトリーも前課長がシステムの理解があっただけに、転職先のH&Gコンピューティングも『罪と罰』最終回の会議内容と五十嵐がかなりきついやりかたでレガシーを追い出したことを鑑みると、ミノワマnもとい箕輪さんが将来異動するようなことがあれば同じ道を辿っちゃうかもしれませんね
飛田とすべてのエンジニアの将来に幸多からんことを
最後に細かいですが…「オレは忙しいだよ」→「オレは忙しいんだよ」
へなちょこ
月曜朝の楽しみもとうとう結末を迎えてしまいました。お疲れ様でした。
首藤の完全復活に長谷部は病院送り、長谷部とカナの会社は情報漏洩の原因と
結構な欝エンドですね。
人脈でも技術でも、何かの強みを直接もっている者は、
たとえ逆境に陥っても結局は強いってことですかね。
終わったばかりでなんなのですが、次回作が待ち遠しくてなりません。
早く横浜の町をゾンビから救ってください。
匿名
完結お疲れさまでした。
3章予定の時の結末がどういう想定だったのか気になるところです。
jo
心が抜けてしまってますね。
> 何とか事業を継続していけそうなので配しないでほしい
連載お疲れさまでした。
長谷部とカナにとっては全くかわいそうな結末なのが残念ですが、首藤の方が一枚も二枚も上手だったということですね。
いやはや。
匿名
KDPぜひ出してください!
できれば縦書き希望。
匿名
首藤が爆発四散しなかったのは残念だけど、今後のエピソードで大爆発事故要員となる方向で前向きに期待しています
匿名
イニシアティブエピソードになるのかと思いきや、そんなこともなく。
最後に懐かしい会話が入って思い出しちゃいました。
>3章の予定が5章になり、7章になり
話数がいつのまにか5→7に記載が変わっているのは見間違いではなかった!
いつもどのくらい続くんだろう…と気にしながら読んでいました。
>今後のエピソードで大爆発事故要員
プログラミングなクリスマスで吹き飛ばされたり、ハローサマー、グッドバイ前日譚あたりで…(ゲフンゲフン)
(それでも生き残る首藤ってところかな)
リーベルG
匿名さん、jo さん、ご指摘ありがとうございました。
phecda
>今回も出てきた条件表は、会社が上流工程専門に移行するための設計図だったはずですが、
>それがそのまま、子会社への嫌がらせに使えてしまうこと、本人はどう思っているのでしょう。
>職権を振りかざして嫌がらせをするような人間じゃ、省みることもしないのかな。
首藤なら、
「『嫌がらせ』だと? 違うな、これは『マネージメント』だ。
我々は協力子会社を選定するにあたっては、業務遂行能力を正しく評価し信頼にあたると判断した企業のみを相手にしている。
しかしながら、『絶対』は存在しないのがビジネスだ。
万が一の事があった場合、その万一の事態から復旧し、原因分析や責任の所在の明確化を迅速に行うには、
こういう条件表を用いた『マネージメント』が必要なのだ。
ビジネスの遂行を意図した真摯な思いからの行動を『嫌がらせ』と認識するその姿勢自体が不適切ではないかね?」
くらい、平然と口に出しそうな気がする。
>はっきりとはわからないが、田中がカナを侮辱するような言葉を吐いたのがキッカケだったらしい。
長谷部とカナの関係を踏まえ、微妙に曖昧な伝聞形である事を考えると、
おそらくは田中が下半身絡みの暴言を吐いたんだろうな。
toanna
吐きそうなくらいリアリティのある結末で、なんだか既視感さえ沸きました。すごく面白かった!
首藤が長谷部を恨んだ結末は当然として、飛田は邪魔だったけど恨んでなかったのかもしれないなーと感じました。もしかしたら首藤自身も従順だった長谷部を利用しつつも疎ましく、いや同類こそが将来敵になると鋭い嗅覚で感じていたのかもしれませんね。徹底的に潰しにかかる様が素晴らしい。
長谷部・・長谷部は首藤を追い出したい、カナを幸せにしたい、金持ちになりたい、上に立ちたい(飛田を使いこなしたい)と、欲張りすぎたところが敗因ではなかったかと考えています。せめて1つか2つだけを目指していたら、幸せな人生を歩めたかもしれないのに。
この結末となった状態で物語に迷い込めるとしたら、長谷部になって首藤と対決してみたい。死ぬまで何度でも対決してみたい相手ですね。飛田は前向きなPGがやっていることと変わらないからまあいいや。
匿名
長谷部さんの鬱描写が真に迫ってるなー。
傍から見ると怠けてるのか?って思われるけど、
メンタルブロックが働いてどうしても動けなくなっちゃうんだよね。
カナがここら辺すぐに対応したのは偉いけど、結局インシデントおこしちゃったし、この先どうなるのかな。
資本金返すに返せない状況だし、首藤は上から気に入られているせいでロングキャニオンの実験を握り続けるだろうし…。
test
ストーリー上では情報漏洩にしろ不正アクセスにしろ企業間上では問題になってないです。
この流れからすると本当に技術は必要なのか疑問に思います。
IT系の仕事だと技術は現場作業者に対するサービスであってお金が発生するという印象は無いですが、そのままが本作に色濃く現れています。
営業力やコネでお金が動いていると割りという人が多いですが、日本だと技術は売らない方が良いのかなとか思ってしまいます。
通りすがり
完結おめでとうございます。
長谷部とカナの会社に、首藤の手下の田中が見回りに来るのなら、プロテクティッドエリア化して技術社員と会わせないって手も有るんだけどなー。
若い2人にそこまで知恵も回らなかったか。
後、外注契約に出したら誰がやってもいい話なので、シグマが個人情報得るのは実際はNGだと思います。
抱え込みで、シグマへの派遣なら仕方ないけど。
匿名
やはり、飛田はH&Gに入社した当初は、周りのメンバーを見下していたのですね。
それでも、箕輪さんに対して敬意を表しているところは、とても微笑ましいです。
リーベルGさんのキャラで飛田、星野を基準にすると能力レベルはこんな感じかな?
ランク
SSS 東海林(サードアイ)
SS 平良(Kシステム)
S 飛田(H&G)
星野(フリー)
みどり(五堂)
A 箕輪(H&G)
川嶋(サードアイ)
B 日比野(モリシタ)
マサル(H&G)
3バカ(H&G)
C クミ(H&G)
E 亀井(元モリシタ)
H 橋本(元エース)
K 城之内(五堂)
どうでしょうかリーベルGさん?
匿名
S+~SS ナルミン
ランク外 モリシタの脱走した2人
匿名
D カスミ(元H&G)
A+~SS? 五十嵐(イニシアティブ)
五十嵐は純粋なプログラマとしての能力を推し量る描写が不足してるから、
ちょっと確定させるのは難しいかな。
営業力やコミュニケーション能力、政治力などのソフトスキルも合算した総合ランキングなら
かなりの高確率で SSS に食い込めるだろうけど。
匿名
システム込みならナルミン最強でしょ!
プログラマとして夢の能力です。
匿名
ムツミ、マモルもBかな
AとBとの差が結構ある気がするな
匿名
Z 三浦/staticおじさん(K自動車)
……さすがに Z はやり過ぎかな。
匿名
タカミスさんや谷少尉はどうでしょう?
匿名
タカミス→SSS+
谷少尉→ナルミンを見抜いたのでS以上は確定かな
匿名
ランキング議論が出るとは、pressenterも長いシリーズになったねぇ
匿名
カードゲーム化も夢ではないね。
リバースカードオープン!仕様変更!みたいな?
匿名
2017/03/29 01:30 で出てきたランキングに、今まで出てきたキャラクターの評価を加えて増補改訂してみた。
ランク
SSS+ タカミス
SSS 東海林(サードアイ)
SS 平良(Kシステム)
S+~SS ナルミン
S~ 谷少尉
S 飛田(H&G)
星野(フリー)
みどり(五堂)
A+~SS? 五十嵐(イニシアティブ)
A 箕輪(H&G)
川嶋(サードアイ)
B 日比野(モリシタ)
マサル(H&G)
3バカ(H&G)
ムツミ
マモル
C クミ(H&G)
D カスミ(元H&G)
E 亀井(元モリシタ)
H 橋本(元エース)
K 城之内(五堂)
Z 三浦/staticおじさん(K自動車)
ランク外 モリシタの脱走した2人
※ランク評価に幅のあるキャラクターは、最も低いランク評価を基準に整列
これを見ていると、こんな風な壁が見えてくる気がする。
SSS
/* チート性能の壁 */
SS
S
A
/* 優秀なプログラマの壁 */
B
C
D
/* 職業プログラマの壁 */
E
F
G
H
/* プログラミング以前の問題の壁 */
G
:
Z
2日遅れのエイプリルフール企画
>カードゲーム化も夢ではないね。
エンジニアライフで話題沸騰中のコラムニスト、
リーベル G 先生の放つ "Press Enter■" シリーズ。
その世界に、君もこのカードゲームで飛び込もう!
"Press Enter■: The Card Game" !
君は "Press Enter■" 世界の、とあるシステム会社に所属するプロジェクトマネージャーだ。
君は「営業」アクションを通じて、ゲームのフィールドに公開された{案件}カードを取得する。
続けて、「人事」アクションを通じて、{エンジニア}カードを手に入れる。
そうしたら、自分の持っている{案件}カードに、{エンジニア}カードを付けることで、
{エンジニア}カードを{案件}カードに「アサイン」することができるぞ。
誰よりも早く、良質な{案件}カードと{エンジニア}カードをゲットすることが、勝利への近道だ。
{案件}カードには「所要工数」という数字が書かれている。
それに対して、{エンジニア}カードには「開発力」という数字が書かれている。
君のターンの開始時、{案件}カードに{エンジニア}カードがアサインされていたら、
{案件}カードの「所要工数」は、{エンジニア}カードに書かれた「開発力」ぶん減少する。
もし{案件}カードの「所要工数」が 0 以下に減れば、その案件は「検収」となる。
{案件}カードの「評価値」に等しいだけの評価値を手に入れることができるぞ。
ゲームの 1 ターンは 1 ヶ月に相当する。 12 ターン…… 1 年が経過した時点でゲームは終了。
その時、最も多くの「評価値」を得ていたプレイヤーが、最優秀プロジェクトマネージャー……つまりゲームの勝者となる!
けれども、案件を進めるときは、突然のハプニングやライバルからの妨害に気を付けろ!
{エンジニア}カードの中には、他の{エンジニア}カードの「開発力」を下げてしまうカードや、
何らかのペナルティが発生する{ハプニング}カードを強制的に引かせてしまうものもある。
更には{社内政治}カードを使われることで、他のライバルに評価値を奪われたり、
無能な{エンジニア}カードを押し付けられる危険もあるだろう。
何なら、そうなってしまう前に、君が先に{社内政治}カードを使って、ライバルを蹴落とすのも一つの手かも知れない。
純粋に技術力の高いエンジニアを集めるもよし。
権謀術数の限りを尽くして会社内の出世合戦をのし上がるもよし。
君がプロジェクトマネージャーとして成功する方法は多種多様だ。
この会社内の勝負を、君だけのエンジニアチームと、君だけの戦略で勝ち上がろう!
"Press Enter■: The Card Game" ――制作進行中。乞うご期待!
お得なお知らせ!:
"Press Enter■: The Card Game" の先行予約者限定で、
本ゲームにスペシャルホログラフィック加工の{エンジニア}カード、「高村ミスズ(プロモーションカード仕様)」と「東海林(プロモーションカード仕様)」を同封。
公式大会では使用禁止のチート性能を、心行くまで堪能しよう!
匿名
脱走したふたりは、モリシタじゃなくてホライゾンだった...( ;´・ω・`)
夢乃
星野さんのプログラミングなクリスマスで、あっちと繋がったことだし、ランキングを作るなら是非カサンドラさ・・・ぅぁ、なにす☆% ゃめ※★*たすけ・・・
匿名
あの手の話って、いくつか読んだだけだけど。
行方不明になった人物が残した手記、って
体裁を取ってる割には、話の終わりが、
よくもまあ見つからないで、
こんなこと書き連ねてたな、
って感じの終わり方なんですよね。
弟
飛田押しなので、長谷部とカナの不幸終わりにすっとした。
振り回すのいくない。
首藤は激しくどうでもいい。。。
連載お疲れ様でした、リーベルGさんありがとうございました。