変な人、絶賛募集中
総務省が「変な人」を募集しているのは、もうすでにみなさんご承知のことと思う。
ここでいう「変な人」とは、もちろん肯定的な意味での変な人だ。しかし「変な人、募集してまーす!」という声に率先して手を上げる自称「変な人」は、一般的に否定的な意味での変な人である確率が高い。つまり、痛い人、ウザい人、めんどくさい人、勘違いしてる人、などなど。まぁ、そんなところだ。そして本物の「変な人」は、自分が変だとは気づいていないことが多いのだ。
■変な人はどこにいる?
実際のところ、「変な人」を欲しがっているのは総務省ばかりではない。以前勤めていた会社では、わたしも自分の部署のために、何度も面接をしたものだ。わたしはそこで、本物の「変な人」を発掘することに全力を注いでいた。自称「変な人」をばっさばっさとなぎ倒し、有象無象をかき分けて、埋れている本物を見つけだす。
しかし、残念ながら発掘はいつも難航した。埋もれていないのだ。派遣として紹介される外国人エンジニアの中に逸材を見つけることはあったが、日本人エンジニア(変な)は、そもそも一般の転職市場には出て来ない。
類は友を呼ぶように、スタンド使いは引かれ合うように、変な人は変な人同士で呼び合い引かれ合い、市場の外で移動を繰り返していることが多いのだ。
■変な人の見つけ方
だからといって、市場から人を確保するしかすべのない企業も諦めてはいけない。まだメジャーデビューしていない、インディーズの変な人だっているのだ。
では、そういったインディーズたちをどうやって発掘すればいいだろうか。市場から人を確保するなら、やはり入り口は面接だ。面接で「変な人」を見つける方法を考えてみよう。
例えば、「最近注目しているテクノロジーはなんですか?」とか、「今はどんな勉強していますか?」といった軽い雑談にもまともに答えられないような人間には用はない。もちろん文系新卒に対してそんな質問はしない。その人のバックボーンに合わせた話題を振るのは当然のことだ。しかし新卒といえども、自分の専門分野のホットな話題について熱く語れないようではこの先も期待できない。
自分が愛する言語、テクノロジー、OSへの忠誠心を聴き、憎悪するものへの敵対心を聴く。これまでの自分の仕事の最高傑作はなにかを聴く。愛用する設計ツールや統合環境、UMLの作法、テストのやり方、コメントの書き方、ソースのインデント、エトセトラ、エトセトラ。
業務経歴書に沿って話を進めるより、こういう話をした方がよっぽどその人の全体像を把握することができる。人柄も嗜好もスキルも。単なる「自称」なのか、本物なのか、すべてひっくるめて。そこまで分かれば、あとは自分のチームに合うか合わないかを判断するだけだ。
しかしまぁ、今回の総務省の募集にも、ひょっとしたら本物の変な人が手を上げて、とてつもない成果を上げるかも知れない。なんせ、私のような凡人の想像の斜め上を行くのが、本物の本物たるゆえんなのだから。
コメント
たかたかハリコフ
> 軽い雑談にもまともに答えられないような人間には用はない
変な人というのが、通常の人よりも高度(変態的)な能力の持ち主という意味なら、この基準は疑問を感じます。
特定の分野では極めて能力は高いけど、コミュニケーション能力が低くて雑談もまともに出来ない人というのは現実に存在します。
なんでも器用にこなす上に、特定の分野に強いというスーパーマンを変な人というならわかるのですが...
onoT
たかたかハリコフさん、コメントありがとうございます。
言葉が足りませんでしたね。「雑談」と言ったのは、一般的な面接から考えると雑談に思えるような、変態的な話題です。
コミュニケーション能力が低くて一般的な雑談をマトモにできない人がいるのは把握しています。(というか、実は私もそうです。私の場合は「変な人」ではなくて、単に「つまらない人」なんですけどね。。。)
でも、そういう一般的な雑談力のない変な人でも、自分が興味を持っている変態的な話題になると目を輝かせることが多いように思います。決して流暢に話すわけではないですけど、そのとき熱は確実に伝わってきます。
そういうところを私は面接時にチェックしていました。
もちろん、そういう話題にもノって来ないけど、ある分野では変態的なチカラを持っている人も存在するでしょう。でも、それは残念ながら私のチカラの及ぶところではありません。そこが凡人の凡人たるゆえんなのでしょう。