システムを最適な状態に維持するためには
■「今日の最適は、明日の最低」かも
変化の激しいこの時代、今日の最適が明日も最適であり続ける保証はどこにもない。そんな時代に、拡張性のないシステムを導入したりすると致命的だ。拡張性がないということは、つまり現時点での最適解を永続化するようなものだ。周囲の状況が変われば一瞬にして「過去のある時点では最適解だったもの」に変化するだろう。そうなると、それはもう博物館にでも陳列しておくのが相応しいような古ぼけた標本でしかない。単なる負の遺産だ。
■想定しなければ準備はできない
3.11の震災以降、「想定外に備える」というコトバをあちこちで目にすることが多い。しかし、システム構築するにあたって、そのようなことは可能だろうか。
今後のビジネス環境の変化に備えて、現時点で想像もできないようなデータ項目を事前に準備しておく? いやいや、そんなことは不可能だし、そもそも準備を始めた瞬間に、ある一定の状況を想定してしまっている。
その瞬間から、想定外は発生しているのだ。
■「古ぼけた標本化」を避けるためには
市場はさまざまなファクターが複雑に絡み合って変化する。一見すると関係なさそうなもの同士を組み合わせて分析をしてみると、今まで分からなかった新しい事実を発見することも多い。ビジネスを有利に進めるために、そのような発見は非常に価値の高いものだ。
企業情報システムの最適化とは、つまり企業が必要な情報を蓄積し、それを必要なときに適切な形で利用できるようにすることだ。しかし、必要な情報とか適切な形は日々変化している。設計時にすべて想定することは不可能だ。
そこでわれわれは、「想定は必要なときになされる」という前提で考えなければならない。名付けて「オンデマンド想定」だ。
■システムは完結性より協調性
では、「オンデマンド想定」という観点から社内に導入されているシステムをチェックしてみよう。個々のシステムは単体での完結性ではなく、外部とのインターフェース、いわば協調性が重要だ。蓄積されるデータを外部から利用できないシステムは、協調性が低いので避けるべきだといえる。
個別業務に特化した小さなシステムでも、協調性に優れたものであれば、それらのシステムが個別に持つデータをうまく組み合わせることによって、オンデマンドな想定に柔軟に対処できる可能性も高まる。
■エンジニアもシステムの一部だ
もうひとつ、そしておそらくもっとも重要なものは、われわれエンジニア自身のスキルだ。「オンデマンド想定」に対応するシステムにおいては、エンジニアはシステムの一部となる。システムを最適な状態に維持するために、エンジニアは経営層をはじめとする依頼者の意図を正確に理解できる豊富な知識と深い洞察力、そして何よりも迅速に行動できる柔軟性が必要となる。
というと、属人的なスキルを前提とした、ヒトに依存する悪いシステムと取られるかも知れないが、もちろんそんなつもりはない。特定のヒトに依存するのではなく、役割として、そのようなポジションが必要だと考えるのだ。
だからエンジニアはスキルを磨き続けなければならないし、企業はそんなエンジニアを大切にしなければならない。
コメント
仲澤@失業者
「私はあなたについて確実な予言が1つできる。」
「なんでしょう・・・」
「あなたは死ぬ。」
実際のところ、これほど確実でこれほど無視されている「想定」も珍しい
ですね(笑)。この事実が無視される原因は「それを前提にしちゃぁ何にも
できません」というシンプルな気持ちなのでしょう。
いつも気を付けているのは
・自分が望んでいない想定は否定しがち。
・自分の考えていることを人が口にすると同意しがち。
なので、その場面に遭遇すると「自分の考えと真っ逆さまな立場で反論する。」
という遊びをしてます。
だいたい「想定」という言葉はいけないですね。逃げ道のある言葉です。
自分は「予言」と言ってはばかりません。自分の「予言メモ」の1994年版によると
タブレットPCは手のひらサイズになる。という予言がありました。あたってます。
ただし、実現するのは2000年とあります。外れてますね(笑)。
まぁそんなもんです。自分の予言力ってば(vv;)。
onoT
確かに、学生の頃までは、それは確実に無視していましたね。まぁ、歳をとると、その想定(死)を無視できなくなって無性に焦ってしまうんですけどね。。。
そういう意味では、むしろそれをしっかり想定した方が物事は早く進むのかも知れないと思ったりもします。
「予言」ですか。私は自分が大人になる頃には月にリゾートホテルができると確信していたんですけど、まったくハズレでした。仲澤さんの予言力の方が、私よりかなり正確なようですね(笑)