テストエンジニア時代の悲喜こもごもが今のわたしを作った

自分以外の誰かのためのスケジュール管理

»

 こんにちは、第3バイオリンです。

 テストをしていてつくづく思うのは、「テストという仕事は1人だけ、1つの部署だけで成り立つものじゃない」ということです。テストの仕事の向こうにはテスト対象物の開発チームがあり、開発チームの向こうには顧客(うちの会社の場合、ほとんど親会社ですが)の存在があります。

 裏を返せば、彼らの都合に振り回……いえ、彼らの都合によって突然仕事の予定が大幅に変更されることがよくあります。

■開発に翻弄されるテストエンジニアの実態

【事例1】

 配属されたテストチームで、テスト対象物についてのスタディを進めていたときのこと。スタディを順調に進めていたわたしにテストリーダーが言いました。

 「Windows7製品版が出てくるまでプロジェクト凍結だって。だからスタディ中止して」

 これまでスタディにかけた工数は一体……。

【事例2】

 先のプロジェクト凍結により仕事を失い、別の作業をしていたある日。そのときのテストリーダーがわたしに言いました。

 「凍結したプロジェクトだけどさ、やっぱり再開するらしいよ。あ、でも第3バイオリンさんは今別の作業やってるよね。だからいいよ」

 はあ、そうですか……。なんか複雑。

【事例3】

 あるモジュールのリリースチェックをしていたときのこと。1日かけてチェックリストの内容を8割ほど消化し、あともうひと頑張り、と思った瞬間、テストリーダーの内線のベルが鳴りました。内線でしばらく話をしていたテストリーダーは受話器を置くと一言。

 「モジュール差し替えだって。リリースチェックは差し替え版でやり直しね」

 今日1日のわたしの作業は何だったの?

【事例4】

 ある開発チームのプロマネが評価部署のフロアに飛び込んできて言いました。

 「今日の定時後にリリースあるから、明日中に修正確認とリリースチェックお願いできる? 締め切り厳守で頼むよ」

 できますが、ずいぶん急な話ですね、とわたしが尋ねるとプロマネはこう言い放ちました。

 「いや、前から決まってたんだけど、言うの忘れてた。ゴメンゴメン(笑)」

 笑いごとじゃないんですけど……。

■スケジュール管理は自分のためならず

 実をいうと、事例3と事例4は同じ日のできごとでした。その日のうちに、会社にいるときのわたしの時間はわたしだけのものではないことを思い知りました。

 その日からわたしはツールを駆使してスケジュール管理を厳密に行うようになりました。それまではスケジュール管理といってもせいぜい、レビューや会議の2, 3日前に開催場所と時間を付箋に書いてPCのモニタの端に貼っておく、という程度のことしかやっていませんでした。

 しかし、このときの一件で自分が与えることができる時間を「見える化」しないと、仕事を引き受けることもできないことに気が付きました。

 開発側も、好きで無理を言ってくるわけではないはずです。きっと、急な依頼の向こうでは突然の仕様変更やしつこいバグに翻弄されているはずです。だからとりあえず引き受けて「やっぱり時間なくてできなかった、ごめんなさいね」では済まないのです。

 開発チームから信頼され、安心して仕事を任せてもらうためには、技術的なスキルももちろん大切ですが、時間厳守で仕事の成果物を提出できることが最重要スキルではないかと思います。もちろん時間を守っても中身がいい加減ではダメなので、技術的なスキルと一緒に伸ばしていきたいところです。

 ただ、本音を言わせてもらうと、急な依頼に対応するためのリソース調整は結構大変なのです。とくに評価部署全体が忙しいときにはテスター全員のスケジュールを見て、複数人が少しずつ交代するように割り当てるしかないこともあります。そのため開発チームから(特に事例4のような)無茶振りをされるとかなりキツイです。

その一方で、たとえ無茶でもそれに応えるしかないし、できる限りのことはしたいとも思っていますけどね。

Comment(4)

コメント

しっぱ

はじめまして。しっぱと申します。

各部署ごとやはりスケジュール感、チェック体制(ToDoリスト、タスクリスト等の)が大事になってきますよね。

管理者次第でPJ進行はガラッと変わってしまうのも事実です。

確かにテストする側も大変だと思いますが、グループとしてもっと言ってしまえば会社としての看板を背負って仕事をしている以上、テストG、開発Gにかかわらず急なクライアント要求に答えざるを得ない部分はあると思います。

さらに考えれば実際に依頼をしてきたクライアントもさらにその上司の言葉に振り回されている可能性も大きいです。

つまり、言いたいのは無理をしているのは自分たちだけではないことをしっかりと考えて行動することがプロとしての仕事につながるのではないかと思いますよ。

「自分だけ特別」なんてものはどこにもないってことですよ^^

でも、テストは大変なのは非常に理解できます・・・・
最後の砦ですからね。
責任重大ですよね。

でも、心穏やかに仕事をこなすことで効率も正確性も上がると個人的には考えています。

第3バイオリン

しっぱさん

はじめまして、コメントありがとうございます。

>つまり、言いたいのは無理をしているのは自分たちだけではないことをしっかりと>考えて行動することがプロとしての仕事につながるのではないかと思いますよ。

ええ、わかっております。
開発の人もまた、上司や顧客から急な変更を言い渡されて翻弄されているんです。
それで、心苦しいと(多分)思いながらもテストエンジニアに無理を言わざるをえない状況なんだと思います

本当に無茶だと思いつつも「もうダメ、いっぱいいっぱい」なんて素振りは見せず、
急な仕事も笑顔で引き受けて、決められた日時までに報告書をピッと出す。
これがプロフェッショナルだと思いますし、私自身がそうありたいです。

(ただ、他のコラムニストの方や読者の方には私以上にプロ意識の高い方が多く、
私ごときが簡単に「プロフェッショナルでありたい」とは言えない気分です)

>でも、心穏やかに仕事をこなすことで効率も正確性も上がると個人的には考えています。

私も同感です。
変に焦るとミスも増えるし、仕事の進め方すらわからなくなってしまいます。
急な仕事の依頼というものは決してなくなるものではないので、普段からの備えを心がけておく必要があると思います。

そのための手段の一つとして、スケジュールで急な仕事を入れても大丈夫な日時と、どうしても譲れない予定が入っているところをはっきりさせることを実践しています。

ビガー

ビガーです。こんにちは。

>急な仕事も笑顔で引き受けて、決められた日時までに報告書をピッと出す。

笑顔というのポイントですね、私にはできません(苦笑)


>そのための手段の一つとして、スケジュールで急な仕事を入れても大丈夫な
>日時と、どうしても譲れない予定が入っているところをはっきりさせることを
>実践しています。

既読なら無視して下さい。一手段として以下が参考になるかもしれません。
表紙のような感じの顔と手しぐさをされたら、その時点で頼めませんけど(笑)
http://www.amazon.co.jp/%E6%96%AD%E3%82%8B%E5%8A%9B-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%8B%9D%E9%96%93-%E5%92%8C%E4%BB%A3/dp/4166606824

第3バイオリン

ビガーさん

>笑顔というのポイントですね、私にはできません(苦笑)

いや、私もそうありたいと思いつつなかなか実践できていませんよ。
ただ、少なくとも嫌そうにしたり、あからさまに余裕がなさそうにするのは控えています。(これはビジネスマンとしての常識ですね)
どうしても無理なときはそう言うようにしています。

>既読なら無視して下さい。一手段として以下が参考になるかもしれません。

勝間和代さんの著書のなかでもおそらく一番人気がある本ですね。
少し前にNHK教育の番組「知る楽・仕事学のすすめ」でも紹介されていました。
今度図書館に行って探してみます。

コメントを投稿する