アイデアや発想に限界はない
こんにちは、手塚規雄です。
先週あった世界コンピュータ将棋選手権。http://sizer.main.jp/wcsc27/
そこで色々と勉強させてもらいました。
これ以上、強くするネタがあるとは思わなかった
今年優勝した「elmo」、決勝リーグでどのチームとも互角に戦っていた「HonerWaffle」、ハードの不利をものともしなかった「読み太」は今年で2回目のソフト。それぞれが公開されているライブラリを元に作成して、元のライブラリより強くなったソフト(通称「子」)です。今まではライブラリの元となったソフトより強くすることはできても、ライブラリ作成者がさらに強化した親となっているソフト(通称「親」)、「Apery」や「やねうら王」を超えることができませんでした。しかし今回はライブラリのソフトを超える結果を出しました。
「子」が「親」を超えるには無理なんじゃないのか?と個人的には思っていました。他の開発者はそう思っていなかったようですが、私は厳しいと思っていた。
・「親」がその使用について一番理解している。だからこそ「子」を作成する際にはどうしてもその部分について遅れをとってしまう。
・「親」は多くの失敗をしている経験があるが、「子」は開発中に「親」と同じ失敗することが多い。その経験の差が大きい。
この2点から開発スピードに差がついてしまうため、「子」の「親」倒しが相当難しいと考えていたためです。でも実際にはその差をひっくり返す努力があり、アイデアが眠っていたことがわかりました。
「アイデア」や「考え」は諦めた瞬間にそれ以上でてこない
私自身、コラムで自分の考えだけに閉じ籠もらない事を話していました。でもやっぱりそんな考え方をしている時もあります。その代表例がコンピュータ将棋では明確に出てしまっていました。そこについて反省しているし、世の中にはもっと可能性がいっぱいある事を知らされました。
最初から諦めながらやっていると、やっぱりダラダラと考えて時間を浪費、または無駄な実験を繰り返してしまう。もちろんメンタルがすべてとは言いませんが、そのような姿勢だと結果もそんな結果しか出てきませんね。特に「アイデア」が勝負の起点になる今回の大会のようなものだとそれが顕著に出ました。
またコンピュータ将棋開発者は本業がITエンジニア以外のかたが多数います。スタート時点ではITエンジニアのほうが有利なのに、大会までにその差が詰められ抜かれてしまう。その理由の大きな原因はそれにかける「熱意」の量ですね。「熱意」があると大変な状況でも時間をひねり出して、勉強したり、実験したり、開発する。その時間の量と真摯さに大きく差がついてしまっています。それだけで負けるのは恥ずかしいと感じる方もいますが、上位陣のやる気とその努力を見ると私はそう思いません。
その一方で初心者に優しい一次予選
一次予選になると不具合があったりして、反則負けや時間切れになってしまうソフトもちょいちょいあります。本人は悔しい事だし、相手には申し訳ない気持ちがありますが、それは恥じゃないです。特にライブラリ未使用の完全オリジナルの場合、駒を動かすのも意外と大変。開発者の方々はその苦労を知っているので、受け入れてくれます。だからこそ、恐れずにもっと色んな人が参加してほしいと願っている大会です。来年も同じ場所で開催されるようなので、興味があるITエンジニアなら是非とも参加してください。
次回はもうちょっと真面目に私も開発していきます。今回はちょっとひどかったので、そこについても反省しております。
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