いつも心は穏やかにと思っている私ですが……

東京スカイツリーでクラウド・コンピューティング

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 昨年、エンジニアライフのコラムを見て多かったキーワードは「クラウド」である。直訳すれば、「雲」なのだが……。

 東京スカイツリーが完成したら、曇天の日にPCやiPadを持って最上階に上り、窓から雲しか見えない状況でコンピュータを使う。これがコンピューティングだ! などと馬鹿げた妄想をしている。

 本記事では、そんな馬鹿げた妄想でなく、日ごとに高さを増していく東京スカイツリーを見ながら思うこと……。

 毎年のように、日本ではどこかで大地震が起こる。関東大震災が起こってからしばらく立つが、もうそろそろ東京直下型地震が起こってもおかしくない。もしかしたら、数秒後に起きるかもしれない。それにもかかわらず、東京スカイツリーの建設を決定したことに、現代の建築技術がいかに優れたものであるかを感じる。

 企業システムにとっては、コンピュータシステムを止めないこと、データの喪失を防ぐことが必須である。その観点からすると、自社ビルよりは耐震構造が優れたデータセンターにサーバを置いた方が望ましい。まして、いつ地震が起こるかもしれない日本においては……。

 しかし、データセンターにサーバを置いたからといって、システム部員が楽になるわけではない。逆に、データセンターに行かなければならないことが多くなれば、仕事は大変になる。

 東京スカイツリーから発想したビジネス形態。それは「都市型データセンター」ともいえるものだ。頑強な耐震構造を持つデータセンターを東京に作る。これなら、大地震が起こっても大丈夫。「本社からも近いから利便性がよい」というのが売り文句だ。

 私自身、仮想サーバを導入して以来、自社のサーバ室に入ることがめっきり少なくなった。従来、OSのインストールはDVDを使って行っていたが、.ISOファイルをアップロードしてOSのインストールもできるので、ハードに触らずしてサーバソフトのインストール・設定ができてしまうのだ。もちろん、サーバ監視なんて、わざわざサーバ室に入る必要がない。サーバ室に入るのは、バックアップテープの交換のときだ。

 最近では、SaaS、クラウドから派生した用語でPaaS、HaaSなんて言葉をよく見る。ホスティングサービスと仮想サーバを使えば、サービス形態はなんでもあり! っていう風潮みたいだ。結局、落ち着くところは、システム運用管理業務の外部委託になりそう。

 私としては、バックアップ作業やディスクやメモリの交換作業を外部委託できれば、データセンターは都市にあっても郊外にあっても構わないと思う。しかし、災害対策として、最新型のビルディングにサーバ機器を置くことは、会社の事業存続という観点から重視されるだろう。これが、東京スカイツリーがもたらすIT業界への影響かもしれない。

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