新卒入社の会社は1年持たずに倒産。「流れよう流されよう」がモットーのエンジニア

会社がなくなるとき-師走の思い出-

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 今回のテーマは「会社がなくなるとき」です。

◆年末が来れば思い出す

 この季節になると思い出します。新卒入社の会社の倒産。早いもので、もう10余年前の出来事です。このコラムのタイトルどおり、ぼくは現在5社目なのですが、これだけ会社を移っていると、なくなる会社もあります。というか、今までの4社のうち、今でもきちんと残っているのは1社だけなのですが(2社は倒産、1社は後に吸収されています)。

 今回はその話です。

◆最初の会社の倒産

 それは入社した年の11月。突然の出来事、というわけではなかった。折しも金融危機で親会社の株価は低迷、同業者も月初に倒産ということで、そろそろかな? という雰囲気が漂う中。混乱を避けるためか、土曜に発表するであろうことは経験則で知っていたので、この週末だろうな、と。

 そして土曜の朝刊。早起きするわけでもなく、いつもと変わらず朝刊を取りにいって、「ああやっぱり」と知ることになる。取りあえず実家には電話、この先どうなるのか? と思ったが、ぼく自身は悲観するわけでもなく、もちろんワクワクするわけでもなく淡々としていたのを覚えている。

 週明け、出社するも特に発表もなく。いやあったのかもしれないけれど、印象には残っていない。ざわついた感はあったが、それでも普通の1日が始まる。

 そしてお昼休み。名物常務が、ぼくたちを食事に誘ってくれた。安心させるためかもしれないし、入社早々こうなったことに申し訳なさを感じたのかもしれないけど本当のところは分からない。声が大きくて、笑い声はそれ以上に大きい親分肌の気丈な人だった。結局、昼食は1時間半に及んだ。本当のところは数日後かもしれないけど(翌日に常務がのんびりしているわけないか……)、今でも当時の店を覚えている。

◆そして僕は途方に暮れず

 当然のように業務は縮小、案件は凍結される。とはいえ、1年目のぼくには大きな変化なし。そもそも、そんなに仕事が与えられているわけではない。ただ、「これからどんな仕事が待っているのだろう」みたいな期待感とは程遠いところに行ってしまったのが残念だった。

 だからといって、途方に暮れることもなく、アサインされた案件のメンバーのところに出向いては、いろいろ話を聞いて知識を吸収したり(彼らも暇だったのだろう、相手してくれた)、本棚の雑誌をここぞとばかりむさぼり読んで自学習したりしていた。Windows NT WorldやらVBマガジンやら日経雑誌やら。今思うと、このときの経験もぼくのスタンスを形作っているような気がする。

 そして、会社はどうなるのかと噂が飛び交う中(解散か? どこかに吸収か? etc)、だけど結局決まらぬ状態で年末を迎える。今ならばさっさと自分で求職活動すると思うが、当時は「何とかなるだろう、若いから」と気楽だった。取りあえずはこのまま流されようと、自分では活動せず。

◆最初で最後の納会

 その年の最終勤務日、仕事は午前中のみ、午後からどことなく納会が始まる。おそらく、毎年と違わぬ光景なんだろう。ただ違うのは、この会社最後の納会ということだけ。どう違うのか1年目のぼくには分かるわけもなく、ぼくにとってはこの会社での最初で最後の納会だった。何を話したかはまったく覚えていない。恐らく、身の振り方や進退や吸収先の噂といった、当たり障りのないことなのだろう。

 唯一覚えていることは、「白ワイン」。何だか口当たりが良くって「このワイン、うまいっすね」って言いながらいつの間にかフルボトルを空けていた。普段そんなに飲まないのに、やっぱりこの時期、緊張していたのかもしれないな。

 こんにちは、けいいちっくです。エンジニアライフのコラム始めるに当たって、シリーズもので書きたいネタというのがいくつかあったのですが、今回のがその1つです。これまでで単発モノはいくつか書いたのですがようやく(?)書くことができた今回です。もちろん続きありです。

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