GIGAZINEの記事に便乗する。ITベンチャーで働く愚行~その効率を考える~
■GIGAZINE記事に便乗してみる
話題のGIGAZINE求人記事に便乗します。
詳細は直接記事(別サイト)を見てもらうこととして。一言でいえば「覚悟を決めた同志を求む」といったところでしょうか?
(お断りしておくと、この記事があるからコラムを書いたわけではありません。書いていた途中のコラムの前と後ろを書き変えただけです)
■ベンチャーで働く効率性を考える
「ITベンチャーって仕事はキツイけど給料はいいんでしょ? 」なんて(勘違いした)質問を受けることがありますが、そんなことはありません。少なくともぼくは違いました。今回は、ITベンチャーで働くことって、効率よいの? 直接いうと儲かるん? という点から述べていきたいと思います。
■ITベンチャーの定義
ここでITベンチャーの定義ですが、上場した企業はITベンチャーには含まないことにします。社員数三けたを超えた企業もしかり。そういう企業は新興企業と呼んでおけばよいのです。例えば、楽天とかヤフー、グリーさんは、雲の上の存在です。アイティメディアさんも。
■給料を時給換算
本題に戻ります。ぼくが働いていた会社(3社目)の当時の給料を時給換算してみましょう。
1回目のコラム(記事に飛びます)で書いたように、当時ぼくは月曜に着替えを持って出社し、週末に洗濯しに帰るという生活でした。仮に、9時から25時まで働くとして、労働時間は16時間/日。食事、風呂などで一応2時間除くと、14時間労働/日。
ならば月曜から金曜までの間に14×5=70時間働いていたのか、というとそうでもなく。これまた1回目のコラムですが、会社の創業メンバーは当初、派遣という名前の日銭出稼ぎに出ていました。
ぼくの場合は、巨大通信業者。この類の会社では労務管理もしっかりされていて、水曜金曜にはノー残業デーというものもあったりしました。
■ひとときの健康的な生活、そして土曜も働くことに
当然、残業も少なく、IT企業にしては早めに(世間でいう普通の時間帯に)帰れます。というわけで人間的、健康的な社会人生活を久しぶりに送っていました。
そんな中社長に呼び出されます。いわく、「君たちは最近たるんでいる。こういうことをするために会社を立ち上げたわけではない! 今週から休みは日曜のみ。土曜はオフィス(マンション)に出社すること!!」
……そうです。確かにそうです。起業しているわけですから、普通の週休二日をしていちゃいけないんです。頭をガツンと殴られた感じです(今考えれば労基法違反も甚だしいですが……)。
ってな訳で、土曜も出社です。といっても当初は仕事をするわけではなく、かといって暇なわけでもなく、社内のドメイン組んだり、IIS上でASPを動かしてみたり、勉強会的なものです。
昼食を皆で食べに行っては2時間くらいかけ、あれをしたい、こういうことをやりたい、と話し合います。
今思うとこの時期が一番楽しかった。旅行と同じです。どこに行こうか? 行ったら何をしようか? そんなことを考えているときが一番楽しいです。いざ計画段階になると、予算の制約、日程調整など面倒臭くなって、そのうち断念します。
こんな土曜の過ごし方が、徐々に変わっていきます。
受託の仕事が出てくると、そのメンバーを手伝い出し、やがて自分もその仕事をするようになりました。土曜は月~金同様、仕事日になります。祝日もしかり。
当時家族ぐるみで付き合っていた彼女の「明日祝日だから泊まっていけば?」につい応えたとき。休み明けの出社で社長の目が冷たかったこと、今でも覚えています。
さすがに土曜だけは終電まで働くということはなく、20時くらいには帰宅していました。
■再び計算
というわけで、土曜はざっくり9時から20時まで10時間労働(食事1時間除く)。合計すると月曜から土曜で14×5+10=80時間/週です。
ひと月30日として月額換算すると80/7日×30日=343時間/月、年間だと×12で4114時間/年です。
計算しやすいように4000時間/年とします(114時間くらい=1週半を差し引くのは理にかなっていると思います。それでないと里帰りすらできません)。
仮に給料を年収500万円とする(残業代込というか単になしというか)と、時給換算で1250円となります。
……これってどうなの? 飲食店の仕事よりはよい?
年収500万のサラリーマンの時給は2500円といわれます。1日8時間労働、稼働日250日として計算すると確かにこうなります。
■時給半分かよ
……ってその半分かよ!? オレは。
生産性向上、ITを使った業務効率性がうんぬん……などと言っている自分たちが一番、効率が悪いです。倍働いてようやく人並です。
年に500万も貰っていたっけ? ということで仮に年収400万とすると、時給換算1000円。学生のアルバイトでも手が届きそうです。泣けてきます。300万とすると……。スマイルなんて無理。
■言い訳
弁護するわけではありませんが、社長が搾取していたわけではありません。オフィスの運営費だってかかるし、先行投資もあったりするわけで。でも一番の理由は「他より安く」請けていたことなんだろうな。世間に搾取されていたということか。
でも、後から「年棒制なのに賞与分が次年度支給」事件が発生したのでやっぱり社長の搾取だったのかもしれません(それはそのうち)。
結婚していて、子供がいて、奥さんが専業主婦で、住宅ローンを抱えていて……なんて人は、貯金を切り崩す生活が待っているかもしれません。
■まとめ
金銭だけ考えると、ベンチャー企業って割にあいません。
いつ食えるか分からない、食えるとも限らないニンジンをぶら下げられながら腹空かせて走っているようなものです。「好き」とか労働を超えた情熱みたいなものがないと、ね。今思えば、20代の独り身時代のことでローンもなく「まだ」よかったと思うというか、そう思わないとやってられません。
そんな若き日の愚行。
■まとめ2
GIGAZINEの記事に戻ります。
繰り返しになりますが、霞を食べて生きていくことはできません。最初は意思でモチベーションを保っていても、がむしゃらに走れば当然おなかがすく。この求人記事を見て入社する方がどうなるのか、他人ごとながらちょっとだけ気になります。
こんにちは。けいいちっくです。「けいいちっく」と名乗っています。
現在30半ばのエンジニア♂です。所帯持ち。PMやらPLやらSEやら、それっぽいことをやっています。いまの会社が5社目。
今回ですが冒頭のGIGAZINEの記事が気になり釣られてみました。