抽象的な単語は使わないほうに倒そう
最初にお知らせ
最初のお題の完結編ですが、その前にひとつお知らせがあります。1月27日の超高速開発コミュニティ Wagby分科会にて登壇発表します。
http://wagby.com/users/index.html
タイトルは、、「超高速開発で全部できると本気で思ってますか? ~ ポストSI時代のエンタープライズ開発の現実解を見定める」です。特にユーザ企業の方で次の開発をどうするか考える立場の方は聴講いただけるとよいと思います。
初心者向けです
お題の解説に入る前に、もうひとつ。大切なことを書き忘れていました。
この連載は、文章を書くのが不得意な人を対象にしています。具体的には、報告や提案が書いても書いても上司に真っ赤にされてしまう技術者の皆さん、あるいは、そういう部下にどう指摘すればよいのかで頭を抱えている上司の皆さんです。
文章を書くのが得意な人にとっては、びっくりするような変な例が題材になっていますが、それはそのためです。ただ、実際に社会人になって5年以上経験のあるの技術系の人達の書いたものがベースになっています。
あまり直しすぎない
さて、お題の文章を私ならどう書き直すかですが、私の基本的なスタンスは、もともとの文章の流れをできるだけ変えず、意味が通るような最小限の修正にとどめることにしています。あまりに差が激しいと、どこが悪いのかが、赤入れされる側がピンとこなくなってしまうからです。
難しい単語は使わない方に倒す
まず、大原則として、抽象的な単語は使わないほうに倒すことが大切です。それを意識するだけで、ずっと読みやすいものになります。
- 「文化」と単語はそもそも不要です。処理が紙の帳票で行われているという事実が伝わればそれで十分です。
- 「特性上」という言い回しは、事実間の関係を曖昧にしてしまいます。原因や理由を表しているので、「~によって」、「~のために」などより簡単な文のつなぎ方に変更します。
意味のブレる単語も使わない
抽象的な単語以外にも意味がぶれたり違ったり、自分で勝手な意味付けをした単語も使わないようにします。
- 「機械的」というのは、単語の使い方が間違っています。機械的なチェックとは、決まった手順のチェックのことなので、人間によって行うこともできます。ここでは文脈からシステムによる自動処理によるチェックの話をしていると考えられます。
このような勘違いが含まれている場合は、書いた当人に意図を確認をしない限り、本当にそうなのかどうかわかりません。この例では、実際に確認しています。
- 紙の帳票が使われているからといって、必ずデータが処理できないというわけではありません。そこでシステムで処理できる形式になっていないという説明を加えることにします。
理由付けが十分かどうかは、実際に読む人の感覚で変わるので妥当性は想定によります。ここは十分ではないという想定で加筆することにします。
こうした観点で修正したものが次になります。難しい単語を使わずに丁寧に書いているので長くなっています。
難しい単語を使ってもカッコよくはない
学生のころを振り返ると、難しい単語を使ったほうが、知的で教養があるように感じていたような記憶があります。
ときどき私の文章は格調がなく饒舌と言われることがあります。ですが、使い慣れない難しい単語を使ったところで、元々ない教養をカバーできるわけもなく、気にしないことにしています。
別に難しい単語を使っても誰も褒めてはくれません。まずは誰にも伝わる普通の単語で分かりやすく書くことを心がけましょう。
コメント
abekkan
こんにちは。お久しぶりです。
あまり直しすぎないのは大切だと思います。
他人に文章をガラッと直されてしまうとヤル気が失せてしまいますよね。
だったらあんたが全部書けばいいじゃん、って。
子どもの作文を直すときにも気をつけたいと思っています。(^^)
h
修正案の
>帳票上に記入されたデータはシステムで処理できる形式では入力されないため
は蛇足ではないでしょうか?
「紙の帳票を使って行われているため、自動処理による~」
ではダメなのでしょうか。
理由としては「システムで処理できる形式では入力されない」という事自体があいまいなため理由が明確に伝わっていないと考えるからです。
・帳票は白紙に各自が定規で好きに罫線を引いて作成している
・箇条書き、文章形式、金額のみ羅列等々のフォーマットが決まっていない
・帳票サイズがバラバラ
色々理由はあると思いますが、明確になっていない以上「紙で行う特性上」とどう違うのかがわかりません。
ko1hayashi
hさん、鋭い指摘ですね。
>「紙の帳票を使って行われているため、自動処理による~」
> ではダメなのでしょうか。
その判断はアリだと思います。
私も最初そちらにしていたのですが、少し悩んでから記述を追加しました。
この説明はちょっと長くなるので、またコラム本文で補足しようと思います。
ko1hayashi
abekkanさん、
お久しぶりです。
子どもの作文とか見ると、ほんとにどうしようかとか悩みますよね。
私は一番大切なことだけひとつ指摘するくらいにしていました。