言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

上手い返答のしかた

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質問の仕方と対になっているのが返答の仕方です。返答の一番のコツは、こちらが考えないことです。こちらが何等かの意図をもって返答しても、そのあとに相手が勝手に考えます。自分の思考はコントロールできますが、相手の思考はコントロールできません。自分の考えと相手の考えがぶつかったらどうでしょう。質問から始まって、混沌とした議論を延々と繰り広げることになります。相手が考えているなら、そこを尊重して、足並みをそろえて並走してあげるのが返答として適切だと思います。

返答をする時も質問をする時も基本は同じです。いかに相手と多くの「Yes」を共有するかに尽きます。たまに、質問を皮切りに議論したがる人を見かけます。そういうケースでは、相手を上手く論破したとしても、話が終わった時点で頭の中では次のラウンドでの作戦を考えています。共通の認識よりも、相手を論破するために道筋に視点が移っています。こうなると、無制限に時間を消耗してトークバトルを楽しむようになってしまいます。自分の賢さを振り回す快感に酔ってしまう状況です。特に、頭の良い人がやりがちなので気を付けましょう。

とにかく、省エネを意識して返答することは大事です。おおよそ、上手く返答しようとすると、無駄な思考が増えて消耗します。情報を伝えるだけ伝えて、思考は相手に任せましょう。思考を任せるというのは、自分の思考の放棄ではありません。相手の思考の自由を認めてこそできるものです。それが相手を肯定するという大きな「Yes」の返答です。省エネ志向は凄く大事です。自分の事を考えられない人が、人のことを考えて返答とか無理です。

そして、何より大事なのは「嘘つかない」と「ごまかさない」です。この二つが一番、脳みそのリソースを消費します。嘘をつく人に心の平穏は永遠に訪れません。ごまかしは借金と同じです。後々のフォローの労力が、鼠算式に増えていきます。普段から「嘘つかない」と「ごまかさない」は徹底すべきです。質問された時点で、返答できる内容は決まっています。質問される前に、こまめに報告をしたり、考えをまとめたりしておくのは大事です。さらに掘り下げると、報告の手間を減らしたり、無駄に考えを巡らせる手間を省くのに、「嘘つかない」と「ごまかさない」は非常に効果的です。

とにかく、考えれば上手く返答できると考えるのは無知です。むしろ、質の悪い情報を元にフル回転で思考するのは、高速で泥をかき混ぜるようなもので、ただ疲れるだけです。「ロジカルシンキング」を謳う人にそいういうタイプの人が多いので、とりあえずDisっておきます。筋違いなロジカルシンキングは結構迷惑です。そんなものより、「嘘つかない」と「ごまかさない」を徹底する方が、余計な思索を省けるので、段違いに頭がまわるようになります。上手い返答のコツは、省エネです。それを実現するために必要な努力は、「嘘つかない」と「ごまかさない」です。

Comment(1)

コメント

おたみ

「後の先」というやつでしょうか?(少し違うか。。。)


私の周りでは嘘もごまかしもない情報を与えても、
相手が長考してそのまま別の世界へ行っちゃうんですよねぇ。。。orz

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