自分がエンジニアに向いていないと思っている人への提案
私個人としては、技術に興味が持てないなら、さっさとエンジニアを辞めた方が幸せになれると思っています。ただし、技術が大好きな人でも、何かのきっかけで技術についていけなくなることもあります。また、家族がいるから仕事を辞めることができない、技術は嫌いだが自分の会社には居たい等、技術には興味が無くても仕事をし続ける理由がある人はたくさんいます。気軽に居場所を移れる世の中であれば、エンジニア以外という選択肢も簡単に取れますが、現代社会でそれはなかなか難しいです。
なので、エンジニアを辞めた方がいいと思っても、そのまま相手に伝えることはあまりありません。相手の事情も考えず、正論を叩きつけても何の問題も解決しません。私の考えるエンジニアの基準を押し付けるよりも、一つの提案をしておきたいです。技術にキャッチアップができないのであれば、技術とは別のものでキャッチアップすればどうでしょうか。個人的な知見から判断して、データを読み解く力と言葉を整理する力の二つを挙げます。このどちらかでもいいですし、片方でもいいです。このどちらかでもあれば、腕の立つエンジニアとも肩を並べて仕事ができます。
まずはデータを読み解く力です。ただ、何十万件ものデータを技術を駆使して読み解くことではありません。他のエンジニアが出したデータを辿っていく力です。何十万件ものデータを処理するのは誰にでもできることではありません。ただ、処理された結果のデータを読み解くだけであれば、それよりも遙かに難易度が下がります。データを読んでその意味を理解できるようになれば、判断を間違えにくくなります。また、一流のエンジニアとの意思疎通も円滑にできるようになります。データを読み解く力だけでも鍛えておけば、優秀なサポート役として活躍できることでしょう。
次に、言葉を整理する力とは何でしょうか。これは、条件と結果を結び付けたり、事実と言葉を擦り合わせていく力です。エンジニアの扱う技術というのは、誰でも聞いて分かるような単純なものではありません。その技術を理解するのに必要なのが、言葉を整理する力です。この力は侮れません。技術が無かったとしても、こじれた要件や課題を整理することができます。整理できるというのは、物事の難易度を下げることができます。これができると、技術が一流でなくても一流の仕事をこなすことができるはずです。
ただ、これらの力を身に付けたければ、まず自分の力で考えることが必要になります。それができないなら、ただ状況に流されるしか道はありません。エンジニアとして力量が及ばなかったとしても、自分で考えた経験や努力は無駄になりません。形を変えて、色々なことに活かすことができます。また、仕事に活かせるのは高度な最新技術だけとは限りません。簡単で地味な技術でも、自分の価値を大きく高めてくれるものはたくさんあります。自分にできなかったから「無能」ではありません。そこからがスタートです。考え抜けば、必ず自分の特性に合った手段が見えてくるはずです。積み重ねた努力は形を変えて報われることも多いです。諦めずに、自分に何ができるかを考えてみましょう。