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技術的介護に忙殺されるエンジニア

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SIerで働いていると、「介護職」というキーワードが頭に浮かびます。業務内容が、ITについていけなくなった人をただ補助していくような内容が多いです。ITを全く理解する気のないお客さんや、技術をあきらめたマネージャなどのフォローの負荷が、技術力の高い人に集中してしまいます。本来なら高い技術力で何か新しいことをしたかったのが、怠惰な人のフォローで忙殺されるのが残念でなりません。しかも、フォローをしても「当然」と受け取られ、評価に繋がらないケースも多いです。

今の日本のITが抱える問題は、技術者不足というよりも、要技術的介護が必要な人が多いことだと思います。技術にキャッチアップできずに早期にドロップアウトするエンジニアや、会議ばかりでロクに教育を受けていなかったマネージャなど、技術力が足りていないのに仕事をやっている人が多すぎます。また、技術職なのに人間関係や社内政治が優先されると、技術への関心が薄れ、早期ドロップアウトを助長します。

近い未来に、一人の若者が支えていく老人の数が増えて、若者の負担が激増するという話を聞いたことがあります。その近い未来が、まさにITの現場で起きています。技術が分かる人に対して、フォローすべき人の数が増えています。そのフォローすべき人も立場が上だったり権力があったりするので、技術があっても優位に振舞うことはできません。技術がある人ほど、負担やストレスは大きいかと思います。

技術に怠慢な人とどうするかという問題になると、役に立たないからクビを切るという訳にもいきません。むしろ、そういう人に限って「仕事を支えているんだ」とさえ振舞っていて、技術的な介護を受けるのは当然の権利とさえ思い込んでいます。重要なポストを担っているはずの技術者の立場が低いのは、さながら介護職の方の扱いとダブって見えます。本当に社会を支えてくれている人に限って、低く見られがちです。

この問題を回避するには、頑張っている技術者ではなく、要技術介護が必要な方々に自覚して頂くしかありません。思いつく範囲で言うなら、無駄な会議を減らすなり、残業を減らすなりして、技術と向き合う時間と体力を確保することです。時間も体力も有限です。お金は大事にするけれど、時間と体力はとことん無駄に使うのが現代の日本人です。ここを改善しないと、早い段階で成長が止まり、要技術介護になってしまいます。無駄な頑張りの一部でも技術に振り向ければ、大きな改善が望めると思います。

Comment(2)

コメント

山無駄

「技術的介護」とはなかなか面白い言葉ですね。
技術に問題があり、会社生活の支障がある方は技術的ホスピタルに入って
いただき、支障を取り除いていただく。
それでも治る見込みのないかたは、技術的ホスピスに入っていただく…。
そんな時代が来るかもしれません。

のぶりん

一番技術的介護が必要なのは、政府でしょう。今回のコロナの対応を見れば一目瞭然ではないですか。
年代的に、仕方がない部分もあるとは思いますが、あまりにも、ITに対する理解が無さすぎると思います。
どう思われますか?

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