進捗管理が失敗する理由
そもそも、進捗なんて管理できるようなものではありません。必要なのは、進捗の管理ではなく進捗の整理です。日本で見られる一般的なITのプロジェクトでは、基礎的なスキルも無いのにノーミスで最速を狙います。それを実現するために進捗管理が持ち出されます。そもそも、技量不足は進捗管理では補えません。普通にやってできないのに計画を立ててベターな結果を目指しても、負担が倍増するだけで成功率も低いです。
進捗管理とは言っても、コントロール下に置いて言うことを聞かせるのが目的になっています。お金をもらっていたとしても、むやみに行動が制約される上に義務だけを負わされる訳です。快く働ける状況ではありません。うまく人をコントロールすればプロジェクトが成功すると勘違いしていないでしょうか。そういうことをしていると、モチベーションが下がって人がどんどん離れていきます。むしろ、コントロールしようとするからプロジェクトは失敗します。
人をコントロールできれば進捗もコントロールできるようなものではありません。これはITに限らず、日本の企業でよくある勘違いです。理屈だけで考えれば可能かもしれません。実際にそう考えている人も多いと思います。ただし、人をコントロールするには多くのリソースが必要です。また、コントロールを強めるほど自主的な行動が制限されて、イノベーションが起きなくなります。進捗管理が失敗する理由というより、日本企業が失敗している原因かもしれません。
話を進捗管理に戻します。では、進捗をコントロールするのがダメなら何をすればいいのでしょうか。答えは、進捗の整理と調整です。進捗に関する情報を集めて現実と照らし合わせて、現実との乖離があれば期限や要件を見直します。できないものをできるようにするのが進捗管理ではありません。できないものはどうやってもできません。プロジェクトの成功は「計画どおり」ではなく、実質的な成果です。計画とコントロールに異様な執着をすることでプロジェクトは崩壊します。
実際のところ、方眼紙で書いたガントチャート一枚で進捗管理をやっているプロジェクトがほとんどです。日程だけ適当にラインを引いて、あとはでたらめです。日程を決めた根拠はだいたい「何時までにやって欲しい」という希望を鵜呑みにして残日数を均等割です。こういうシステムならどのくらいの期間でできるというデータがエンジニアから出せるくらいでないと、計画なんて立てられないのではないでしょうか。それが本当の時間管理かと思います。