わたしのTwitter導入記
【Intro】
いまさら感が漂う話ではありますが、先日身近なところで「Twitterのアカウントを企業で取得して活用しよう!」という流れがありましたので、そのときの顛末をフィクションを交えてご紹介します。
すでに、多くの個人や企業がTwitterを活用しており、HowTo本やWebサイトなども大量にある現在、このような記事を書いても誰の得にもならないかもしれませんが、「こんなことがあったんだよ」というご紹介もかねて書いてみようと思いますので、少々おつきあいいただければとおもいます。
【Twitterってなに?】
ある日、わたしが勤めている会社の営業さんから「Twitterってなに? 最近はやってるらしいけど」と話しかけられました。なんでも、新聞やら雑誌やらでやたらと「Twitter」なるものを目にすることが多くなってきたため、興味を持ったとのこと。コンピュータ関連にそこそこ詳しい営業さんだったということもあり、その手の「ホットなワード」が気になったようです。
その質問をされたとき、わたしはすでに個人でTwitterを始めてましたので、自分のアカウントでログインして実際の画面を見せつつ、下記のような内容を説明しました。
- 140文字で書くブログのようなもの
- 基本的にはみんな自分の好き勝手なものを書き込んでいる
- 1つ1つの書き込みのことを、「Tweet(ツイート)」という
- アカウントを作った直後だと、自分のツイートだけが一覧で表示される
- この一覧のことを「TL(タイムライン)」という
- タイムラインは自分専用(アカウントごとに個別のタイムラインがある)
- 他のユーザーで気になる発言をする人がいたら、タイムラインに一緒に表示することができる
- タイムラインに表示するためには、「フォロー」という作業をする必要がある
- フォローした人にメッセージを送ることができる
- メッセージ内容を公開して送るときは「@ユーザ名 {メッセージ}」という形でツイートする、非公開で送るときは「DM(ダイレクトメッセージ)」を使う
不正確な表現もあるかと思いますが、大体の基本的なところは押さえているはずです。実際の画面を見せつつ、操作しながら説明したのもあり、大体どのようなものかは、漠然とではあるものの理解はしてもらえたと思います。
【ブログと何が違うの?】
ここまでざっくりと説明したときに、真っ先に出た質問は「ブログと何が違うの?」というものでした。その営業さん曰く、「普通のブログに140文字で書くのと同じなんでしょ?」とのこと。すでにブログをやっている人だったので、違いがいまいちイメージできていないようでした。
- ブログは必要なら140文字以上もかけるけど、Twitterでは140文字以下しか書けない
- 画像や動画などを貼り付けることはできない(外部サービスを使えば貼り付ける方法がある)
- 自分のタイムラインに人のツイートを一覧で乗せることはブログではできない
正直なところ、想定していなかった質問であったこともあり、大体このようなことを説明したように記憶しています。ついでに「何に使うかしりませんけど、Twitterは万能ではないので、場合によってはブログとかの方が使いやすいですよ」といった内容も合わせて説明しておきました。
【他の企業はどう使ってるの?】
その営業さんの口から飛び出した次なる質問は「けっこう企業でも使ってるらしいけど、どんな感じに使ってるの?」というものでした。「……いや、別にTwitterを研究したり分析したりしてるわけでないから……」と思いつつ、あくまで自分の目に見えている範囲でどのような使われ方をしているかを説明してみました。
大体下記のようなことを説明しました。この記事には明示しませんが、具体的な事例が分かりやすいように、企業アカウントのツイートを見せながら説明してみました。
- キャンペーン情報の告知
- 商品の宣伝
- ユーザーサポート
- その他いろいろ
【ところで何に使おうとしてるの?】
と、ここまで説明して、ふと「いったいこの営業さんは何に使おうとしているのだろうか」という疑問がわいてきました。聞いてみたところ、「自社でやっているWebサービスでうまいこと使えないかな」とのことでした。
ちなみにこの「自社でやっているWebサービス」なのですが、ある商品の検索機能とお問い合わせ機能、そしてブログなどのPR関連の機能がひとまとめにして、ASP形式で販売している……というものでした。今回、Twitterを「PR関連機能」の一部として組み込みたい……という思惑があるようです。
【誰のためのツイート?】
なるほど。どうしたいのかが見えてきました。それと同時に、1つ考えなければいけないことが出てきました。この「自社Webサービスサイト」にツイートを掲載するのはいいのですが、「誰がツイートするのか」という点です。
自社の人間でしょうか。しかし、この「自社Webサービスサイト」はASPで提供しているサイトです。実際のユーザー(=ASPの契約をしているお客様)とは関係ない人間がツイートするのはどうなのでしょう?
実際のユーザー(=ASPの契約をしているお客様)でしょうか。しかしながら、「パソコンに詳しくなくても使えるサイト」という売り文句を掲げているこのサイト、Twitterのようなサイトを皆様が使えるとは限りません。
あるいは、エンドユーザー(=サイトにアクセスしてくださる第三者の皆様)でしょうか。この場合、特定のキーワードを含んだツイートを好き勝手につぶやいてもらい、それを何らかの形でサイト上に表示するという形式になるでしょう。その場合、良くも悪くもコントロールできない内容が表示されることになりますので、それをよしとするかという課題が残ります。
さすがにすぐには結論が出ない……ということで、いったん持ち帰って検討してもらうことになりました。検討材料の1つとして「プライベートでTwitterを使ってみてはどうか」と提案してみました。アカウント自体はすぐに作れますので、その場で作成し、わたしの非公開(テスト用)アカウントをフォローしてもらい、一通りいじってみてもらう……という提案です。ついでに、その営業さんはiPhoneをお持ちだったので、いくつかメジャーどころのクライアントアプリを紹介して、それらで使ってみてはどうかという提案もしてみました。
【何をツイートすればいいの?】
数日後、その営業さんがやってきました。どうやら方針が決まったようです。
- 基本的には、各ユーザー(=ASPの契約をしているお客様)のアカウントを設定する
- アカウントをお持ちでなかったり、掲載したくないユーザーのサイトは自社のアカウントを設定する
といった内容でした。ある意味予想できてはいましたが、それを告げたあと営業さんの口から「で、どんなことをツイートすればいいのかな?」との質問が飛び出しました。他の担当者や上司を交えてミーティングを重ねた結果、下記のような運用でいこうとの結論が出ました。
- ユーザーのアカウントの場合は、何をツイートしようが完全に自由とする(当社は関知しない)
- 自社アカウントでは当該ASPサービスについてや業界動向など、当たり障りのない(一般的な)内容をツイートする
【誰がツイートする?】
その会議の場で、体制の話がでました。わたしが勤めている会社は大きな会社ではないので、専任の担当者を用意することはできません。基本的には、誰かが片手間でやることになります。
最初は「小さい会社なんだし、みんなに公開して手の空いた人がやってもらおうか」などという話が出ていたのですが、後述の理由で却下されました。
- なんらかのリアクションがあったり、トラブルが発生したときに対応できないのではないか
- 副数人いたところでツイートできるネタがそんなにないため、複数人が同じようなツイートを流してしまうのではないか
- 「誰かがやる」という意識になり、結果的に誰もツイートしないのではないか
そんなこんなですったもんだしたあげく、「何をツイートするか」(話のネタ)を洗い出し、それぞれに担当者をアサインすることにしました。原則としてその担当者が責任をもってツイートすることとし、それができない場合はその担当者が代わりの担当者を手配する……という形に落ち着きました。
同時に1日あたりのツイートの頻度として各ネタごとに多くても2~3回程度とし、会社全体でも1日あたり10回程度となるようにしよう……という決定を行いました。また、アカウント作成時に指定するメールアドレスは、ツイート担当者以外も含めた全社員が参加しているメーリングリストに設定し、各種通知メール(フォローされたときやダイレクトメッセージなどをもらったときに届くメール)だけは全社員で共有しようということになりました。
【嬉し恥ずかし運用テスト】
さっそくアカウントを取得したのはいいのですが、「背景画像やアイコンなんかはオリジナリティあふれるものにしたいよね」というごもっともな意見が出てきました。言うのは簡単なのですが、デザインを作るのにも時間がかかりますし、Webサイト上に掲載するのも準備が必要です。よって、「実際に組み込む前に使ってみて、みんなに慣れてもらおう」ということになりました。
Twitterでは、ツイートを非公開にできるのでそのように設定し、とりあえず「本番相当のツイート」をみんなに流してもらい、不適切であったり、問題となりそうなツイートを見つけたときは、ツイート担当者を集めてミーティングを行うなどして、意識のすりあわせを行っていきました。そのようなツイートでも、(その善し悪しは別として)後で削除することが可能ですので、そのようなツイートを削除しつつ、本番公開時に掲載されていてもおかしくないツイートを蓄積していきました。こうすることで、サイト公開時にツイートがあまりない……という状況を回避することができました。
余談ですが、「運用テスト」の裏でWebページへの組み込みやデザインのテストなども行っています。Webページの組み込みでは、Twitter社が提供しているウィジェットを使う形にしたのでさほど手間はかかりませんでしたが、背景画像の作成などは大変だったようです。
すべての用意ができたタイミングで、晴れて本番公開の日を迎えることとなりました。
【実際に使ってみて分かること】
本番公開自体は問題なく行えましたが、実際に使い始めてからいろいろな疑問や要望が出てきました。具体的には下記のような内容です。
- 画像は掲載できないのか?
- URLを掲載しようとすると140文字をオーバーしてしまうけど、どうすればいいか?
- フォローしてくださる人がいたが、お礼の返事は返すべきか?
- 何度かメッセージを送りあった人から、英語のDM(URL付き)を受け取ったがどうすればよいか?
☆画像は掲載できないのか?
外部サービスを使えばいけるが、掲載しない(ツイートの内容に画像が必須ではなかったため)。
☆URLを掲載しようとすると140文字をオーバーしてしまうけど、どうすればいいか?
とりいそぎ、外部の短縮URLサービスを使用する。ただし、短縮URLだと最終的なアクセス先が見えなくなる(=どのサイトにアクセスするかが分かりにくくなる)ため、短縮不要な場合は原則としてそのままのURLを掲載する。
☆フォローしてくださる人がいたが、お礼の返事は返すべきか?
基本的にはお礼のメッセージは送らない。ただし、ある程度親しい方やメッセージを別途いただいているなど、返事を返すのが妥当だと判断される場合はこの限りではない。
☆何度かメッセージを送りあった人から、英語のDM(URL付き)を受け取ったがどうすればよいか?
SPAMの可能性があるため、メッセージ中にURLなどが記載されている場合はアクセスしない。各URLについては、セキュリティ担当者が個別にチェックし、問題ない場合のみ周知する(それ以外の場合、注意喚起を行う)。
【Outro】
とりいそぎ、手探りながらもこのような感じでTwitterを使い始めることができましたが、あまり詳しくない人にとってはTwitter自体やTwitter独自の用語や概念を理解するまでが大変なようでした。
あくまでわたしの身の回りという狭い範囲でのお話ですが、実際に使ってもらうことで初めて理解してもらえた部分も多々あるような気がします。場合によって、書籍やWebサイト、各種セミナーなどを活用して、早くなれてもらうのが成功の近道なのかなぁと漠然と考えております。
なお、この記事は諸事情により一部フィクションです(どこがフィクションかはご想像にお任せします)。整合性がとれていなかったり、詳細をぼかして記載している部分がありますことを、あらかじめ申し添えておきます。
いまさらながら、このような記事を書いてみましたが、何かのお役に立てれば幸いです。
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