技と名がつくと深入りしてしまうスキルマニアのエンジニア

問題をどう扱うかという問題

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 告白する。IT系の資格試験は暗記がすべてだと思っている。

 ORACLE MASTERだけがわたしの保有資格のすべてではない。こうみえてLPICのレベル2も持っている。しかし、資格勉強のために実機を触ったことは一度もない。もちろん、業務や趣味でそれなりに触った経験はあるが、たいしたレベルではなかった。

 暗記が苦手という人も多だろう。わたしもその1人だった。ずっと力まかせで闇雲に覚えていた。ほんとうは、暗記のテクニックがあることを知らなかった。あるとき、暗記が苦手なのは記憶力が悪いのではなく、記憶の方法が悪いということに気付いた。

 それまでのわたしの暗記法は方法といえるものではなく、とにかく「詰め込み」で覚えようとしていた。ひたすらインプットをがんばる。それは、大切な要素であることには変わりはない。しかし、考えてみよう。物事を覚えているというのはどういう状態なのか。

■漏洩できない情報

 覚えているかどうかを判断するのはわたしではなく第三者だ。自分の頭の中にあるだけでは、覚えていることにはならない。電脳化されていないわたしの頭の中は何人たりとも、直に覗くことはできないからだ。

 口に出す。手で書く。キーボードに打ち込む。必要なときにアウトプットできてはじめて、モノを覚えたといえるのではないだろうか。いつでも引き出せる状態にして暗記は完成する。刃は常に研いでおかなければ意味はない。

 覚えたことを思い出す行為を「想起」という。ある説によると、物事は「忘れる」ものではなく「思い出せない」状態にあるだけだという。

 俗にいう、実践を通して覚えるタイプというのは、本番で無意識のうちに物事を「思い出す」練習をしているからである。

■勉強の成果をあげるための情報

 LPICを受ける時に考えた。合格とはどういう状態であるか。Linuxができる。実機をバリバリに操ることができる。ほんとうのゴールはそこかもしれない。しかし、今は「試験に合格する」ことが目標である。

 資格試験を分解すると、たくさんの問題という単位で構成されている。合格点がとれるだけの「試験問題」ができればいい。ここで「現実の問題」は切り捨てる。資格勉強と実践で役にたつ知識とは直接結びつかないのだ。

 最終ゴールは「Linuxをマスターする」ことである。それは、あまりに遠い。ゆえにチャンクダウンしたLPICという中間目標を設定する。目標が定まればそれに特化すればいい。合格することだけに自分のリソースを使いたい。

■繰り返しに関する情報

 問題集には「使いかた」というものがある。

 ポイントは1つ、間違えた問題だけをやり直す。

 最初は、頭から終わりまで順番に解いていく。しかし、2週目は全部解かない。間違えた問題だけを解く。「正しい解答を出力する」ための練習であるからだ。間違えた問題は条件反射で回答がでるぐらいにまでやり込む。答えが丸暗記でもかまわない。

 間違えた問題というものは次回も不正解を選択してしまうものである。過ちは繰り返す。人間の脳とはそういうものだ。

 もちろん、適当に答えた結果が偶然にも正解だったということもあるだろう。しかし、あてずっぽうで正解した問題というのは次も正解しやすいものである。繰り返すのは過ちだけではない。正しい答えもまた繰り返すのだ。

 資格試験は100点満点を目指すものではない。ある研究によると、ヒトは同じ状況で同じ選択をせまられた場合、およそ8割は同じ選択を選んでしまうという。正解したものの精度をあげるより、間違いを正すほうがラクである。

 もちろん、最後の仕上げに、正解も不正解も全部ひっくるめて問題を解くことも忘れない。この時に、問題をちゃんと読んでいなくても答えが出せればベストだ。

■勉強に関する情報

 徒手空拳で闇雲に戦うのは好きではない。わたしは「どうやって勉強するか?」から入るタイプだ。なるべく、ムダな努力は避けたいと思う。

 泳げない人が水の中で、溺れまいと手足をバタバタさせてもがく。大変な努力だと思う。しかし、それは正しい努力だろうか。泳げない人がとるべき正しい行動とは泳ぐ練習をすることじゃないだろうか。

 資格試験は泳ぎ方も練習方法もある。やっていることは受験のテクニックとほぼ同じ。「参考書を理解して問題を解く」。それを正しく実行するだけだ。

 それは、試験というごく限られた範囲で有効な勉強法でしかない。当然、この方法論がどこにでも通用するわけではない。

 速読、記憶法、ノート術……勉強にはいろんな技がある。肝心なのはテクニックをどこで、どのタイミングで使うか。必要に応じて選ぶのだ。新しい技術は試行錯誤する。不要なテクニックは切り捨てる。この繰り返し。

 メタ勉強法。勉強のやり方を勉強する。これこそ、わたしの真の勉強法だ。

 まわり道にみえるかもしれない。基本さえマスターすれば資格試験は応用編にすぎない。試験勉強はメタ勉強法が正しいかどうかの答え合わせなのだ。やり方が間違っていなければ、あとは短気集中でもじゅうぶん勝負ができるのだ。

 どこか遠くからレベルアップを告げるアラート音が鳴り響く……。

【本日のスキル】

  • コラムニストスキル:レベル24
  • LPICスキル:レベル2
  • 秘密保持スキル:レベル3
  • 見切り発車スキル:レベル7
  • 成果主義スキル:レベル9
  • 自己紹介スキル:レベル0
Comment(2)

コメント

組長

こんにちは。

闇雲に暗記するという手法を無意識に採りかけていたので、とても参考になりました!ありがとうございます!LPICレベル1を取ろうと思ってますので頑張ります!

はがね

>組長さん
IT系の資格で初めて取ったのがLPICです。
いろいろと試行錯誤もしましたが、自分にあったやり方というものが必ずあるハズなので見つけたもの勝ちだと思います。

こうやって宣言するのもひとつの手ですね。

「合格しました」の声が聞けるのを楽しみにしています。
がんばってくださいね。

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