器を捨てよう
そろそろ本棚があふれそうになってきた。いや、あふれている。収容能力を超えた書籍の群れ。前後、2列に並べているのはデフォルトである。後ろに隠れている本なんてしばらく読んでいない。
整理をしようと右に左にと本を並べ替える。手にとったのは昔読んだ古い本、ページをめくる。当然、脱線。整理整頓は昔から苦手だった。
昔読んだ本は読みやすい。少しは内容も覚えている。新しい刺激もあんまりない。ふと、気づく。もう知っていることしか書いていないなら、この本はいらない。気がつけば、昔ほど読まなくなってきた。
■ビジネス書を卒業するとき
よく言われることだが、ビジネス書というものは、たいてい似たりよったりのことが書かれている。
もちろん、新しい視点が獲得できるものもある。それはごく一部でしかない。このジャンルに手を伸ばしたときは、なるほどと思った。感動もした。しかし、だんだんとわかってくる。古典・名著の焼き直しがいかに多いことか。だから駄本だというつもりはない。さんざん勉強させてもらって貶すというのは趣味が悪い。それぞれの本にはそれぞれの良さがある。きちんと自分の言葉で書かれてある。1つの情報をいろんな角度でみることも必要だ。
たくさん読んで、自分の言葉で語れるようになった時。それが、この手の本を卒業するタイミングなのかもしれない。いつまでも小学校の教科書を読み返したりはしない。必ずしも、学習の過程で必要であったものは学習後に必要であるとはかぎらない。
それでも、わたしの経験の一部である。思い出として残しておきたい気持ちは残っている。しかし、物理スペースはいっぱいなのだ。空き容量を増やさねば新しい知識の置き場がない。
■物理的身体から自由になろう
数年前にHDDレコーダーを購入する。しばらくしてビデオデッキが壊れた。以来、修理にも出さずに放置。ビデオテープも一緒に放置。そういえば、カセットテープも押入れの奥に残っている。もちろん、いまさらカセットデッキを買うこともないだろう。それでも捨てられない。ようするに貧乏症なのだ。
情報に、媒体は無関係だ。いまならデジタルベースで手に入れることができる。音楽は特にそうだ。それでも、物質にはいろんなものが残る。目に見える形で情報があるという安心感も捨てがたい。カセットテープのラベルにある手書きのタイトルリストには思い出も残っている。
しかし、流通しない情報に価値はない。2度と聞くことのない音楽にどれほどの価値があろうか。再生されない音楽もしかり。最近だとUSBカセットデッキという選択肢もある。が、そこまでするほどの情報ではない。大昔にダビングしたテープは全部CDで揃えなおしているじゃないか。アナログノイズのない音源が手の中にある。
予約録画に費やした時間とか、レンタルした手間とか自分の過去の行動が惜しいのかもしれない。しょせん、機械を操作してボタンを押した程度のことだ。そんな葛藤があってテープメディアを捨てた。ふう。
デジタルメディアも例外ではない。勢いにのってCDも整理する。iPod 1つで音楽の聴き方は変化する。ウチに音楽専用CDプレイヤーがなくなって久しい。アルバムジャケットやライナーノーツが名残惜しいが、アルバム情報の本質は音楽そのものだ。メタデータではない。HDに少し余裕がある。DVDもなんとかできるかもしれない。捨てよう。物理媒体はドンドン捨てよう。
■物質だって成長する
で、最後に残ったのが書籍。アナログ情報のデジタル化は難しい。カセットテープやCDは再生装置の寿命というものがある。本は、情報と再生装置が一体である。息の長いメディアなのは当然だ。これからも廃れることはないだろう。しかし、物理空間には限界がある。バーチャルとリアルの区別があるとしたら、情報はヴァーチャルな空間におくべきだと思う。本棚の脇に1つ、ダンボール箱を用意した。読み終えた本を本棚に片付けるまえに考える。この本は本棚に残すべきか。
1つずつ「再生」しているので時間がかかること。ちょっとづつではあるが部屋がすっきりしていく。気持ちいい。残っていく本はそれなりにしっかりした書籍だ。こうやって本棚は成長していくのだろう。
どうしても捨てられないビデオとカセットが数本。バンドをしていた頃にスタジオやライブハウスで録ったもの。これは情報ではなく、純粋な思い出なのだ。
どこか遠くからレベルアップを告げるアラート音が鳴り響く……。
【本日のスキル】
- コラムニストスキル:レベル35
- サイバー化スキル:レベル8
- おかたづけスキル:レベル3
- 廃棄スキル:レベル10
コメント
組長
お久しぶりです。お元気でしたか?
私の買った本(小説)も、とうとう本棚から溢れそうになって来ました。
現在、それらを「組長図書館」と名付け、父や妹や友達が借りに来るように
なりました。給料日前で節約し、いざ給料日になると真っ先に本屋へ行き
「あの本を買おう。この本も欲しい」と、本を衝動買いしてしまいます。
今月は英語関連の本を少々。あぁぁぁぁ、安月給が飛んでいく・・・。
>古典・名著の焼き直し
自分は、「あれ、これって、いっつもおかーさんが言ってたことやん」って
思ってしまって買わないことが多いです。興味は大いにあるんですで、
母の教えを超えるビジネス書があれば読んでみたいです。逆転仕事術さんの
影響で、勝間和代さんに興味津々です。
第3バイオリン
はがねのつるぎさん
お久しぶりです。
しばらくいらっしゃらなかったので、「お忙しいのかな?」と思っていました。
>必ずしも、学習の過程で必要であったものは学習後に必要であるとはかぎらない。
学生時代の教科書を処分したときのことを思い出しました。
社会人になって最初の1~2年は「もしかしたら必要になるかも・・・」と思って置いといたのですが、結局必要にはならないことに気が付き(フーリエ変換なんて私の会社では使いません)
あるとき思い切って後輩に譲ったり古紙回収に出したりして処分しました。
処分したときに、本当の意味で学生時代から一区切りついたような気がします(遅)。
私は図書館大好きっ子なので、本を買うことがあまりないのですが、
オーケストラのスコアだけは増える一方です。
「生きてるうちにあと2回は演奏するかも」と思うと捨てられません(苦笑)。
はがねのつるぎ
>組長さん
ありがとうございます。お久しぶりですね。
>「あの本を買おう。この本も欲しい」と、本を衝動買いしてしまいます。
>今月は英語関連の本を少々。あぁぁぁぁ、安月給が飛んでいく・・・。
本屋、CDショップ、amazonは危険地帯。
なるべく近づかないようにしています(^^)
ですが、わかっているけど今日も吸い寄せられて……
>母の教えを超えるビジネス書があれば読んでみたいです。逆転仕事術さんの
>影響で、勝間和代さんに興味津々です。
勝間さんの影響でフォトリーディングの講習を受けてしまうぐらいのカツマーぶりです。
結果、ビックリするぐらい本を読むのが早くなりました。本棚があふれた最大の原因ですけどね。
著書の中でいい本をたくさん紹介していて、一冊づつ、ちゃんと押さえていったら、楽しい読書体験かもです。
はがねのつるぎ
>第3バイオリンさん
お久しぶりです。はがねのつるぎ@夏休み中です。
>処分したときに、本当の意味で学生時代から一区切りついたような気がします(遅)。
『ナントカ入門』とか、『よくわかるホゲホゲ』という類の本を片付けたときに、もうこれで一人前だ。と思いました(^^)
と思っていたら、講師の仕事が入ってきて、教科書選びのためにあわてて買いなおしましたけど。
>私は図書館大好きっ子なので、本を買うことがあまりないのですが、
わたしも、図書館大好き野郎です(^^)
>オーケストラのスコアだけは増える一方です。
>「生きてるうちにあと2回は演奏するかも」と思うと捨てられません(苦笑)。
耳で音が取れるようになってからは、なるべく楽譜を買わないようにしています。
オーケストラはスコア必須ですね。
組長
こんにちは。
>勝間さんの影響でフォトリーディングの講習を受けてしまうぐらいのカツマーぶりです。
おぉ!どういう感じですか?フォトリーディングの練習って!!前からフォトリーディングにすごく興味があって、出来れば習得したいなぁと思ってるんですが。もし差支えなかったら、コラムのネタとして是非!
>結果、ビックリするぐらい本を読むのが早くなりました。
おぉぉ!!やっぱりチャレンジしてみようかな。勉強するにも読みたい本が多すぎて、でも、私が調べたフォトリーディングの習得講座って、合宿講座だと10万円ぐらいするし、独習タイプでも5万円ぐらいするので、ワーキングプアな私は尻込みしてたんですよね・・・。やっぱ、上を目指すなら(?)自己投資が必要ですよね・・・。
はがねのつるぎ
>組長さん
>私が調べたフォトリーディングの習得講座って、合宿講座だと10万円ぐらいするし、独習タイプでも5万円ぐらいするので、ワーキングプアな私は尻込みしてたんですよね・・・。
合宿講座を受けました。
単純に速読というだけでなく、勉強法、記憶法のあたりまで踏み込んでいてとてもよかったです。おかげで、資格取るのがラクになりました。
本当に早く読めるようになったと感じたのは、講座を受けてから3ヶ月ぐらいすぎてからですね。フィジカルなスキルなので、それなりに継続する必要があるみたいです。