BUG013 - シリコンバレーでは英語ができなくても問題にならないというか、絶対に問題にしてはいけない理由
そうか、求められるITスキルなんてたいしたことないのか、だったらイケるかな?でもやっぱり英語が・・・。と思ったあなた!TOEICで言えば500点で十分、400点でも問題ない、いやいやそうじゃなくって、「問題」にするとヤバイことになりますよ!というお話です。お時間ない方はいますぐ一番最後の4へGo!。
1.下手な英語より正しいコード
当たり前の話ですが、ITエンジニア、特にプログラマにとって何より最も大事なことはコードの読み書きができるかどうか、ということに尽きます。言語やライブラリの仕様をしっかり理解してコードがきちんと読み書きできればコミュニケーションが半分できたも同然です。そのために前回お話したように採用の面接にはコードの読み書き演習が必ずあります。
2.コミュニケーションは読み書きが基本
これも当たり前ですが、同僚との日常のコミュニケーションは、メールやチャットが主流です。一般に日本人は英語を聞く話すのが苦手でも読み書きは比較的ましと言われてますし、メールやチャットしてる限りはLとRの違いがどうのと心配する必要はありません。確かに電話会議は鬼門なのですが、それこそ技術的内容をよく理解して臨みましょう。実は当たり前のことを延々と議論してるだけだったりします。
3.職場の英語はスポーツ中継よりずっとわかりやすい
これもご存知のように、シリコンバレーエンジニアの多数を占めるのはインド系、中国系、そしてその他アジア系の人々です。これらの人々の英語、特にエンジニアの職場で使われる英語はいわゆるアメリカ生まれの人々の話す英語と違って難しい言い回しをしないので、ずいぶん分かりやすいものです。普通に中学、高校で英語を勉強していれば十分理解できる英語です。その反面、TVのスポーツ中継の英語は早口かつ普段聞かない単語の連発で相当の慣れが必要です。
4.もはや英語力を話題にすることすら許されないコンプライアンス地獄
そして、これが最も重要なのですが、現代のアメリカ企業においては社員個人の英語の能力についてあからさまにとりあげることはもはやタブーになってしまった、ということです。職場はおろか人事でもアウトです。
例えばですが、一人のエンジニアを採用するのに二人の応募があり、二人がまったく同じエンジニアスキルだったが一方は英語が少し下手だったので他方を採用した。そのときの不採用の決定理由に「英語が・・・」なんてどこかに書いてあったことが後でばれようものなら訴訟にもなりかねません。
つまり本来、ある言語を使えるということは、生まれながらにその言語を使う環境、文化に生まれ育てば当然備えられる「こと」です。他のことに例えて言えば、自転車に乗れるとか、箸が使えるかどうか、そういった「こと」と本質的には違いありません。世界の人々によっては箸なんて見たことも聞いたこともない文化で生まれ育った人もいますし、知ってはいるけど使う必要ない、そんなもの使いたくないから使わない、フォークとナイフで十分という人もいます。そんな箸を使えない、もとい「使わない」人々に職場のルールだと言って箸をマナー正しく使うことを強要したり、箸が使えないからといって何か差別することはその人の生まれ育った文化を否定している、と繋がりかねません。
現代のアメリカ企業、特に世界に展開する多国籍企業は人種差別はもちろん、セクハラ、パワハラ、モラハラ、あらゆる差別に異常なまでに神経質です。会社側は些細なことが企業存立を揺るがす重大な事態になるのを未然に防ぐために、社員に何度も何度も研修ビデオを見せて許容されるされないライン、あれもこれもコンプライアンスと称して徹底的に叩き込みます。そしてその社員が年を経てまた新たに採用する社員に叩き込む、そういった循環がどの企業でもやばそうなことは無難に無難に、という風土を築いてしまったといえます。
いかがでしたか。最近の日本では英語を社内公用語にするとか、TOEICで点を取らないと課長に昇進できないとかあるそうですが、そのために英会話学校へタダで行かせてくれるのはいいのですが、社員への強要が度を越えるとやばいことにならないかと思います。
それではこちらも暑いので今日はこんなところで。また次回をお楽しみに。