BUG029 - 新入社員の君へ。
ごぶさたしてます。@elcaminoreal255、エル氏です。
さてそろそろ7月も終わりです。4月の入社式から4ヶ月です。新入社員の皆さんはそろそろ、それぞれの現場に配属された頃でしょうか。職場や先輩には慣れましたか?もうバリバリ仕事してる頃でしょうか?
思い起こせば20数年前、私もそんな時がありました。その頃は、90年台前半ですが(笑)、世の中に圧倒的にITエンジニアが足りていなかった、というかそもそもコンピュータに触れたことがある人間なんていうのがごく限られていたので、素質があるとみなされればハイ!即採用、という時代でした。とにかく人数を揃えて、あとは研修と現場で一人前のエンジニアに育てていく、そういう時代でした。そうやってコツコツと無知な私を育ててくれた先輩には今でも感謝の念にたえません。
当時は、実際、入社する前からコードをバリバリ書けるような人はほとんどいなくて、新入社員全員が研修を通して全員で課題をこなしながら「学んでいく」という雰囲気でした。中には理系の大学の研究室でFORTRANやC言語をいじった人もいましたが、そういう人はもちろん即戦力で、「Javaだったらさぁー」なんて言おうものならそれは一線を超えた「天才」扱い、そういう時代でした。
当時は何事もネットで体系的に学べるという時代ではなかったので、何か新しいことを学ぼうと思えば、まず大型書店にいって本を立ち読みする、そして誰かが本を買ってきて職場で勉強会を開く、それが普通でした。私もそうやってスキルアップしてきました。
それが今はどうでしょう。どんな言語だろうとフレームワークだろうと、ネット上に親切丁寧に教えてくれるサイトから、解説動画から、お互いに質問できるコミュニティからなんでもそろっています。しかもタダです。勉強したければスタバでもどこでも24時間、やり放題です。
「今の若いモンは恵まれてるよ」、なんて言われそうですが、本当にそうでしょうか。いや私には逆に気の毒に思います。
無料の教材に動画、親切なコミュニティ、これらは誰でも簡単に平等にアクセスできるのですから、むしろスタートラインが上がったということです。それを知らなかったということは、マラソン大会に出てみたら自分だけ裸足で他の選手はハイテクシューズを履いていたようなものです。
現場に配属されていきなり仕事を与えられ、ちょっとでもまごつこうものなら、「なんだよー、〇〇大学出てるのにそんなことも知らねーのかよ、ネットで勉強しろよ―」とか怒鳴られそうなものです。そりゃググれば分かるかもしれませんが、毎日、職場で何百回もググってばかりいては仕事になりません。
IT業界は日進月歩、毎日次々と新しい技術や手法が浮かんでは消え、変化の連続です。しかしです。バブルの頃も今も、20歳そこそこの人間は同じ人間です。脳ミソの大きさはたいして変わってないのです。人間が20年で学べる知識と経験の量には自ずと限界があります。今時、Javaが書けたくらいで天才扱いしてくれる職場はどこにもないのに、CにC++にJavaにPythonもRubyも何でも知ってます書けますって、そんなの無理です。
新入社員のあなたが「スタックとヒープの違いも知らねーのかよ、100バイトもリークしてんじゃねーか!」と怒鳴られても、そのバグ探しに費やすのと同じ時間をかけて広い知識を学んで、システム全体としていい仕事できるなら、「メモリなんか腐るほどあるんだから100バイトくらいリークしたっていいだろ、ケチケチすんじゃねぇーよ」って言うのもありなのかと思います。
新入社員の皆さん。あなたたちは今、目の前にいるどの先輩よりもこれから長い年数を働かなければいけないのです。昨日まで職場の先輩たちが正しいと思ってゴリ押ししてきた価値観は実は今日からはもう世間では通用しないかも知れません。細かいことは気にせずに自分の信じた道を生き抜いてください。
おっと今日はプレミアムフライデーですね。それではそろそろ午後3時なので今日はこのへんで。良い週末を。