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極私的LTのつくりかた ―OSC京都の場合―

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■OSC京都でLTしてきました。

 7月15日、16日に開催されたオープンソースカンファレンス2011 Kansai@Kyotoに参加してきました。

 そのなかでエンジニアライフのコラムニストとして、セッションでライトニングトークをする機会をいただき、6名のコラムニスト仲間と来場者の前でお話させていただきました。

 当日は廊下に立ち見が出るほどの盛況で、その後の懇親会でも嬉しい感想をたくさんいただき、今回の参加は大成功だったのではないかと思っています。

 そんな中、何名かの人からこんな質問を貰いました。

 「LTのネタって、どうやって作ってるんですか?」

 もちろん、LTのネタづくりの方法は人によって様々ですが、今回はわたしのLTのつくりかたと、上手に話すために気を付けていることを紹介しようと思います。

■タイトル決め

 わたしはまず、一番最初にLTのタイトルを決めます。自分の中ではタイトルさえ決まってしまえば、LTの方向性や完成度が7割は決定づけられるのではないかと考えています。最初にして最も重要な工程です。もちろん、最終的に完成した内容によってタイトルを後から変更することも稀にありますが、そういうパターンは数えるほどしかありません。これは、コラムやブログの記事を書くときにも共通した方法です。わたしはまず、タイトルを先に決めます。

 今回のOSCセッションにおける共通のお題は、「コラムニストとして情報発信するということ」というものでした。このテーマに沿ったおおまかな全体構成を頭の中で考え、それをタイトル化します。

 ボンヤリとイメージをつかんだら、辞書を引いてみたり、古典小説のタイトルを眺めてそれらをモチーフにできないか、いろいろ悩みます。

 今回のOSC出展は、コラムニスト募集ということを一つの目的にして参加していたので、来場者に「コラムニストになってみようかな」と思ってもらえるような話をしようと考えていました。そこで、F.M.バズビーの短編からタイトルをそのまま拝借し、「きみの話をしてくれないか "TELL ME ABOUT YOURSELF"」というタイトルにしました。

 これで、わたしのLTの方向性やゴールが明確になったことになります。

■台本を兼ねてスライド作り

 タイトルが決まった時点で、おおまかな全体構成はなんとなくイメージできているので、それをさっそくスライドに落とし込みます。

 生まれて初めてLTをやったときは、ここで台本を書いたのですが、今はそういうことはしません。

 実際にやってみて分かったことですが、台本を書いても絶対にその通りにはできないんですね。会場やお客さんの雰囲気とか、自分の順番より前の方がお話された内容などによって、台本が役に立たなくなります。それよりも、雰囲気に応じて微妙に間の取り方や話の流れを変えたりしてライブ感を出したほうが上手くいきます。なので、台本を書くよりもおおまかな流れを頭に入れて、それに沿って話したほうが良いです。

 わたしはここで、スライドを高橋メソッド的に作ります。

 とりあえず話の流れに沿って文字を並べていきます。今回は、タイトル「きみの話をしてくれないか」をそのままオチに使おうと考えていたので、その構成にしたがってスライドを作りました。

 できあがった初稿がこれです。

 自己紹介などのテンプレート的なページには画像が貼ってあったり、多少文字のレイアウトをいじったりしてますが、基本的には文字をざっと勢いで並べた感じです。

 ここで、一度このスライドに沿って練習をして、ページを削ったり足したりします。

 ある程度ページ構成が固まったら、このスライドを飾りつけます。

 デジカメで写真を撮ったり、Flickerなどでcreative commonsライセンスの画像を探したりして飾り付けします。

 どうです? いい感じになってきたでしょう?

 これでスライドはほぼ完成です。

■ひたすら練習

 スライドが仕上がったら練習です。

 ストップウォッチを片手に、5分という時間に対してできるだけ過不足がないように意識して話します。

 台本も無く、前述したようにライブ感を大事にしたいので、話の流れは毎回意図的に変えます。とはいえ、スライドがベースになるのでエピソードの順番などは変わらないですが。ここで気をつけるのは時間配分です。5分に収めるために、だいたいスライドの何ページ目に何分くらいの時に到達していれば良いかをチェックします。このチェックポイントさえ、本番で遵守できれば途中でドラを鳴らされることはまずありません。

 今回は、この練習の工程で、何度やっても4分くらいにしかならないという事態になりました。

 そこで、単純にこれはエピソードが足りないのだと判断し、スライドに付け加えることにしました。逆に時間をオーバーする場合はスライドを削ります。

 ちょうど練習の中で、内容が少し堅苦しく、ちょっぴり笑いの要素が欲しいなと思っていました。そこで、自分がコラムニストとして会社バレした、というエピソードを追加しました。この部分は計算通り、本番でも一番笑いがとれたポイントになりました。

 実はこの最終工程は、OSC初日を終えた日の夜。つまり、本番前日にやっていたので、せっかくですから初日のOSC会場で撮影した写真を最後のページに足すことにしました。

 こうしてできあがった最終版が、こちらのスライドです。

 今度は練習でも5分程度で収まるようになりました。

 これでわたしのLTの仕込みが完了です!!

■本番は録画して次へのステップに

 あとは本番で話すだけです。

 わたしは、極力ゆっくり話すように気をつけます。緊張しないというのは人間として不可能ですから、早口で話すと緊張が表に出やすいように思います。なので、落ち着いている雰囲気を出すために、意図的にゆっくり話します。

 ここで自信を持ってきちんと話をできるかどうかは、例外なく練習量に比例します。練習の回数が多ければ多いほど、本番で失敗する確率は下がります。わたしの場合は3回連続して、きっちり5分弱で終われるようになるまで練習しています。

 もう一つ気をつけたいのは、自分の話すときの「癖」を抑えること。

 分かりやすい例でいえば、エピソードの途中で、「あー」とか「えー」とかなにかしらの声を発して場をつなげたりするのはダメです。聞いている方からすれば、少しイライラしてしまいます。

 わたしの場合は、お客さんの方を見ずに、ついつい後ろを振り返って映写されているスライドを見てしまう癖を治したいと思っています。これは今回のLTでも何度かやってしまいました。

 こういう「治したい癖」を見つけるためには、自分のLTを録画して後から見返す以外に方法はありません。

 自分が話している映像を自分で見るというのは、凄く恥ずかしくて、わたしも最初は抵抗がありました。しかし、自分の話している映像を見ると、もの凄くいろいろな事に気づくことができます。

 「あー」とか「えー」とか、イライラする話し方してるなぁ、とか、スライドをいちいち振り返って、もう少しお客さんを見て話したほうがいいぞ、とか。

 そうして改善点を見つけなければいつまでたっても上達しませんから、恥ずかしさは我慢して録画をきちんと見ましょう。

 最初は自分の録画を見るのは恥ずかしかったですが、今ではすっかり慣れてしまってむしろ楽しみになっています。なぜなら、前回から上達していることが、目に見えてわかるからです。

 可能なかぎり、録画して見返すようにしましょう。

 以上が、わたしの「LTのつくりかた」です。参考になりましたでしょうか。

 皆さんのLTライフが、良きものでありますように。

Comment(4)

コメント

OSC京都は、初日しか参加できなかったので、残念ながらLTは、拝聴できませんでした。
しかし、このコラムでの資料の作り方や、練習方法などは、「なるほど」と関心させられました。
(やっぱり、練習が重要なんだなって・・・いまさらですが)

これからも、色々と勉強させてもらいたいと思います。

Buzzsaw

OSC京都にお邪魔しました。
小ネタ満載(?)なスライドを自由自在に操りながら流暢に話される姿が
記憶に残っております。

凄く緊張されていた方や時間切れの方もいらっしゃいましたが、
そこにいたるまでのプロセスを想像しながら見ておりますと
どなたのLTも見ごたえがありました。

「自分も会社でやってみようかな?」というような、背中を押された
気分になりました。

Buzzsawさん>

おお!来場くださったのですね! ありがとうございます!!

たとえば勉強会などで40分のセッションを話そうと思えば、準備からいろいろ大変ですが、ライトニングトークなら5分ですから、大変手軽です。
しかし5分間という限られた時間の中でテーマを語るのは大変奥が深く、面白いです。

一度やれば病みつきになる遊びですから、是非、チャレンジしてみてください!!

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