Facebookはじめました - Twitterとどう使い分ければいいの? -
創業者であるマーク・ザッカーバーグを主人公とした映画の公開が迫りつつあったことと無縁ではないと思うのだが、去年の秋くらいから、Facebookについて言及している記事や関連話題をよく見かけるようになった。そして今年に入って、いよいよ映画公開というタイミングでますますそれを見聞きする機会が多くなっている。わたしの周囲でも「Facebook始めました」という人が増えてきた。そこでわたしも、長らく放置していたアカウントを積極的に使うようにしてみたのだが、今回はその中で思ったことなどを書いてみようと思う。
■Facebook利用の定義は公式ガイドラインに従ってみる
Facebookは徹底した実名主義であるとよく言われる。Facebookナビという公式のページを見てみると、このように書かれている。
Facebook、間違った使い方をしていませんか?
1.無差別にリクエストしない、受けない
2.会ったことのない人は友達から消そう
3.同姓同名の人と区別がつくように自分だと分かる顔写真を載せよう
要するに、Facebookは実名同士のリアルな人間関係の場である、ということを強調しているわけだ。だからこそ「顔写真を載せよう」と推奨されるのだろう。
わたし個人の意見としては、ツールの使い方など人それぞれだと思う。例えばFacebookにおいて無差別に友人を増やしまくり、Twitter的な使い方をする人がいたとしても特に反対はしない。現にわたしのFacebookアカウントの「友達」にも、一度も会ったことのない人が何人かいる。しかし、今回のコラムではFacebookの特徴と他のツールとの使い分けを考察するために、あえてこの公式ガイドラインに準拠したものが「いわゆるFacebook」であるとあらかじめ定義したうえで話を進めていきたいと思う。
■最初に悩んだのはTwitterとの使い分け
わたしがFacebookを使い始めて最初に悩んだのは、Twitterとの使い分けだった。使い始めた当初は、両者を連動させ、TwitterのPOST内容が自動的にFacebookに流れるようにしていたのだが、どうもしっくりこない。ほどなくして、Facebookの「友達」にリアル知人が増え始めてその違和感に気づいた。
よし、これからFacebookを使うぞ、と決めた当初、特に意識していたわけではないのだが、わたしが送った「友達リクエスト」はリアルに会ったことのある人が中心だった。そのためそれらのリクエストが承認されると、わたしのニュースフィードに流れる情報は必然的にリアル知人の情報ばかりになる。
彼らは自分や友人の写真など、かなり個人的な情報をニュースフィードに流している。そういった情報が表示されている中、ところどころに紛れ込むわたしのTwitterとの連動POST。違和感の正体はこれだ。
Javaなどのプログラム言語において、実装されたメソッドや変数などの参照範囲のことをスコープと呼ぶが、FacebookとTwitterでは、情報公開範囲のスコープについての感覚が異なるのである。Twitterは誰でもアクセス可能なPublicなスコープ。Facebookはその中の人しかアクセスできないPrivateなスコープ。Privateなスコープの情報群に紛れ込むPublicなTwitter連動POSTは、確かにその場にはそぐわないような気がする。
■TwitterとFacebookにおける「この指とまれ」の違い
このスコープの違いをもう少し具体的に考察してみよう。
わたしも何度か経験があるのだが、週末の遊び相手をSNSを使って探すときのパターンを見てみよう。いわゆる「〇〇する人この指止まれ!」と子どもが公園などでやっている事のWeb版である。
Facebookで「誰か週末に一緒に映画観にいきませんか?」とPOSTした際、「いわゆるFacebook」の利用方法に準拠している限り、それに応じてくれるのはリアルな知人だけである。遊び相手を探して友人にメールをばら撒くのとさほど変わらない。これがPrivateなスコープである。
一方、PublicスコープであるTwitterは、その人のIDさえ知っていれば誰でも参照することができる。「誰か週末に映画行きませんか?」と呼びかけたとしたら、今まで何の接点もなかった人が突然手を挙げることもあるかもしれない(実際にそんなことはほとんど起こらないが)。Twitterのみの付き合いだった人が手を挙げたことで、期せずしてオフ会に発展することもあり得るだろう。また、悪意ある人がTwitter上で行われているこうしたやり取りをのぞき見て、ストーカー行為に発展してしまうような危険すらある。
これらのスコープの違いが、Facebookとその他のサービスとを隔てる特徴であり、「実名」と「匿名」のいずれが推奨されるかの違いでもある。
つまり、FacebookはPrivateスコープを推奨することで、「実名」での利用を可能としているのである。
■Facebookはきっとガイドラインに沿った方が面白い
以上のことを踏まえて、わたしのFacebookに対する所感を書いてみたいと思う。
Facebookは、「実名」で「リアル友人との繋がり」に重きを置いた利用方法を維持した方が楽しいと思う。
われわれはTwitterやブログなどに投稿する際、「これを投稿することで何か問題があったりしないだろうか」というフィルター処理を常に行っている。Facebookをガイドライン通りに利用することで、このフィルターのレベルをいくらか下げることができるのだ。要するにあまり深く考えずに自分の写真や行動履歴をPOSTできるということなのだが、これがなかなか快適で楽しい。
これまでなら、友人との月に一度の飲み会で見せ合っていたような旅行の写真がほぼリアルタイムに公開され、それに随時感想が寄せられる。このリアルタイム感が楽しい。そう。Facebookの醍醐味は、知人や友人と飲み会などで語り合っていたような状況を、リアルタイムに「携帯」しているような感覚を得られる部分にある。スマートフォンなどからFacebookを利用すれば、いつでも、どこでも、こうしたコミュニケーションができるのだ。
もちろん、最初に述べたようにツールの使い方は自由だ。Facebookの「友達」をリアル知人に限定しない利用方法も良いと思う。ただ、わたし個人的には、ガイドラインに従った使い方も面白いぞと思うのである。
そういうわたしは、必ずしもガイドラインどおりの使い方はしていないのだけれども……。