役割から見るIT資格の種類
こんにちは。CompTIA日本支局の吉村です。
すっかり秋空な毎日になってきましたね。仕事がひと段落する17時ごろに、真っ暗な窓の外を見ると季節を感じます。ほんの少し前までは、まだまだ明るかったのに……と感傷的になってしまいます。
もうこの時期になると、正月は目の前ですね……。
先週の3連休は、京都に行ってきました。「仏像」好きのわたしとしては、たくさんの仏像に出会えて、とても清らかな気持ちになった気がしました。とはいえ、この旅行で、最もわたしの気をひいたのは、「ひこにゃん」ですが……。
さて、少し前になってしまいましたが、前回のコラムではわたしが所属する「CompTIA」という団体についてご紹介をさせていただきました。
今回のコラムでは、現在12業務分野(2008年10月現在)でCompTIAが提供する「認定資格」に共通して流れる考え方についてご紹介をさせていただきます。
日本国内でも様々なIT関連の認定資格が提供されており、エンジニアライフをご覧の皆様の中にも、これから資格を取るぞ! という方が多くいらっしゃるかと思います。ぜひ今回のコラムが参考になればと思います。
■役割から見るIT資格の種類
さて、IT関連の資格は、「ベンダ資格」「国家資格」「ベンダニュートラル資格」の3種類に大別されているものが多く見られます。それでは、それぞれの3種類の役割について考えてみたいと思います。
●ベンダ資格
コンピュータ、パーソナルコンピュータ、ソフトウェア、ネットワーク機器などのIT製品を製造・販売している企業やメーカーが自社で開発した製品についての操作技術の認定資格(出典:wikipedia)
一般的に、ベンダ資格は「商品」から発想されるものであり、各ベンダ特定の商品知識、活用法、最新技術情報という「技術専門性」を向上させる役割があります。各製品を使う上で必要とされる技術や知識が集約されており、時代や企業ニーズを追い求めるためにも、大きな役割を果たすものです。
●国家資格
情報処理技術者試験は、経済産業省が、情報処理の促進に関する法律(昭和45年法律第90号)第7条の規定に基づき、情報処理に関する業務を行う者の技術の向上に資するため、情報処理に関して必要な知識及び技能について行う国家試験である。(出典:wikipedia)
国家資格は、国が求める情報システム開発・運用やプログラム設計における「知識専門性」を問うものです。
●ベンダニュートラル資格
ある特定の企業やメーカーの技術や製品に依存しない認定資格(出典:wikipedia)
CompTIA認定資格もベンダニュートラル資格の1つとして紹介されることが多いのですが、若干、CompTIA認定資格の持つ定義と違う部分もありますので、細かくご案内させていただきます。
■CompTIA認定資格の考え方
CompTIA認定資格は、市場に肩入れせず、今現在業務で求められているものを忠実に問います。各IT「業務」から発想されるものであり、現在・将来必要とされている各IT業務の「実務能力」を評価する認定資格です。
では、「実務能力」とは何か。実務におけるある環境において、問題を分析し、またベストプラクティスを検討し、必要な技術知識やスキルを取捨選択した上で、活用する能力とCompTIAでは定義しています。
ITを「業務」から発想することで、例えば、お客様のある要望に応えるという点において、必要な知識、技術はもちろんのこと、状況分析、環境評価、問題解決、また情報収集や迅速な解決の導き方、また提案であれば、現状の環境に合う技術の選択など、「業務での考え方」までを網羅することが可能となります。
例えば、あるユーザーのシステムに問題が発生した場合、エラー状況だけではなく、システム及び外的環境、ユーザーの求めているものなどを総合して、最適な解決策のために自らの知識・スキルを当てはめることができる能力を総合して「実務能力」と定義しています。
これらの「実務能力」は、経験を積むことにより習得ができることが多いため、CompTIAが2003年に実施した「日本におけるIT実務能力基盤調査」では、CompTIA認定資格が評価する「実務能力」は、一通りの業務を遂行していれば、35歳前後で身に着けることも可能という調査結果が出ています。
しかしながら、必要なスキルを身につけるために、入社してから10年近く必要とされるのでは、効率的に人材を輩出することができません。
そのために、必要とされる「実務能力」を持つ人材を効率的に育成するため、IT業界内の企業が資金を出し合って作成されたのがCompTIA認定資格なのです。
それでは、次回からは、それぞれのCompTIA認定資格についてご紹介をしていきたいと思います。