教える側3倍の法則
新年あけましておめでとうございます。みなさま、年末年始はいかがでしたでしょうか。
わたしは昨年より始めた新年暴走企画を無事終え、新年1発目の社内ネタにしようと思っております。ちなみに一昨年は愛車(安物自転車)で初日の出~初詣と60kmほど走ってまいりました。猪年なので走ったら走れなくなるまで止まれないんです(笑)。
無茶をした分だけ余計なことを忘れられますし、笑いで新メンバーの緊張を取ったりと、なかなかお勧めです。
さて、そろそろ本題に入りたいと思います。
●教える側3倍の法則
はじめに申し上げておきますと、このような言葉はありません。わたしが小学校時代に算数を教え始めてから、現在に至るまでいろいろな方に説明をしてきた結果、たどり着いた言葉です。「教える側は教わる側の最大3倍の労力が必要」といった意味です。
なぜ3倍なのかというと、以下の3つが必要だからです。
(1)内容を理解する
対象の内容がとりあえず分かることであり、作業であれば成果物が出せること。教える側、教わる側共に必要なことです(何も知らずに「ググれ」は教えているとはいえません)。経験上、これだけだと説明が途切れたり、ロジックに穴があったりと理解しづらいものになります。
(2)クロージングする
内容は前回の記事をご覧ください。ここでは、前回分かりづらかった高速化のケースについて補足します。
●単純化 ※比較的早くて分かりやすい
多くの人が直面する作業など、人に教えることが出てくるあろう作業時に重視。できるだけ1つのツールで作業が行えるように工夫します。
●高速化 ※説明はしづらいけど早い
大量のテストデータ作成やコードの作成など、手打ち作業を減らしたい時に重視。自分専用と位置づけ、複数のツールを組み合わせて使い、他者に伝えるには難しいが正確で早い手順を探します。
手順は少ない方が分かりやすい。その分説明もしやすい。説明する際はできるだけこのレベルを心がけています。
(3)相手の状況を知る
過去に何回かこれで苦労したことがあります。どれだけ良いことを言っていても……。
●相手に合わなければ効果はそれほどありません
人によってクセがありますし、好きなツールもあります。自分の方法が100%相手に合うことはまずありません。1つの作業でも複数やり方を知っていると思わぬところで役に立ちます。
●相手が自分の考えの問題点に気づかなければ変わりません
禁止というのは基本的に好きではありません。「相手の行動を変える時は、そのままでは問題がある」時にできるだけ限定するようにしています。相手の方針を変えるには、説明するより実際に失敗させることが一番効果があると思います。失敗させるために時間をかけるわけにも行きませんので、次のような方法をとります。
- 高速化を使い、作業の結果がどのようになるかを実際に見せます
- その後、結果について考えてもらいます
- そして、自分の「案」を提示して納得してもらいます
遠回りではありますが、最終的には近道であることが多いです。結果的に後で覚えている確率も高いです(自分で気づくのがベストなのは言うまでもありません)。
印象に残る教え方をすると効果が非常に高いのです。
●終わりに
正直疲れます。わたしは自分の仕事をしている方が楽ですし、好きです。
しかし、できるだけこのような機会が増えればと思っております。なぜなら、
「新人は開発者の常識がなく、限りなくユーザーに近いから」
決して、けなしているわけではありません。
「『空気が読めてしまうと気づかない欠点』に気づくことができる」
新人の方にしかできないことが少なくとも1つはあるということです。新人を終えてしまった人からすれば貴重な意見です。
良い指導を受けたと思った時は、意見を求められた際に必死に搾り出してみましょう。ちょっとした感想でも意味がありますし、方向性を1つ示すだけで大きく流れが変わることもあります。
コメント
saki1208
あけましておめでとうございます。
saki1208です。
人に教えるのって難しいですよねぇ。
弊社でも1-2年生、3-5年生あたりにどのような教育をするのか? ってのが常に
話題に挙がりますが、なかなか纏まらないですね。
特に3-5年生あたりになってくると自分の考え方を持っているので、教え方も相
手によって変えていかないとダメだと感じます。
# 新人のときからそうである人物もたまにいますが...
はじめはみな興味があってコの業界に入ってきたと思うのですが、いつの頃から
かその気持ちを忘れてしまい、自分では学習しなくなる人が大勢います。
どうしたらそういう人たちの興味を引きつけることができるんでしょうねぇ。
ビガー
ビガーです。コラムでのコメントありがとうございました。
現在、教育の立場にない私が発言するのも、おこがましいのですが、1点だけ。
やっぱり、実際のプロジェクトで仕事をする機会を持たせてもらい、プロジェクトの中で、その人の役割なり責任なりを達成させることが、皆にとってメリットがあると思います。(上司はプロジェクトが成功すれば評価があがる、自分は他の仕事もできてスキルがあがる、新人は自信がつき次のステップに進める)
そういう機会をもらえるように行動してみては、どうでしょうか?
※私のコラムのコメントに似たような話を書いたので、暇があったら見てみて下さい。
forseti
sakiさん、ビガーさんありがとうございます。
> はじめはみな興味があってコの業界に入ってきたと思うのですが、
この前提も最近は怪しいかもしれませんよ?
私の年齢が年齢だからかもしれませんが、SEになりたいと言って入ってきた意識の高い人は半分くらいですかね・・・。
残り半分は当然意識が低く、スキルも低いので、存在自体がリスクになりかねません。
> どうしたらそういう人たちの興味を引きつけることができるんでしょうねぇ
この人たちの中には、
・失敗続きでやる気を喪失した
・目に見えた失敗が無いので安心している
・何をしたら良いか行き詰っている
の3パターンがあるのではと思います。失敗続きは正直難しいと思いますが、それ以外は私がそうなのですが、適度に失敗させるか出来る人と一緒に仕事させると良い刺激になると思います。
ビガーさん
コメントレス拝見いたしました。基本同じで安心しました^^
ただ、要所でサポートして失敗が災害にならないようには気を配ります。
正直私も通じない人にはどうしようもありません・・・。
今のご時世、仕事その物が無いので、仕事で意識の高い新人さんが居たら何とかしたいなと思ってしまいます。
やる気の無い人を落とすのは選別でしょうが、
やる気のある人を機会を与えずに落としたら災害になってしまいますから・・・。
しっぱ
こんにちは。しっぱと申します。
コーチングは茨の道ですね。
一概に教えると言っても
・1対1
・1対多
では手法も変わってくると思います。
私も社内で講師をやったりしていますが、毎回が自らの勉強の連続です。
自分の教え方に対する反応や、人を見ての質問等やってみて初めて分かることがたくさんありましたし、現在もやるたびに自分のアラが見えます。
まして、長いスパンでの教育であればもっと難しいですよね。
自分の教え方がうまくなければ相手は育たず、間違って教えてしまえば間違ったモノを正としてその人の知識の下地になってしまう。
「責任」という言葉が常に離れない大仕事ですね。。。。
その中でも
>●相手に合わなければ効果はそれほどありません
これは特に重要ですね。
私が少数の相手に対して研修を行う際はその人のバックグラウンドを雑談の中で軽く聞いてから話すようにしています。
相手の状況に応じて抽象的な言い回し(相手の知識レベルが低い場合)と具体的的な言い回し(相手の知識レベルがある程度高い場合)を使い分けるようにしています。
あとは絶対最後に興味を持ってもらう様、多少の謎を残しておくようにしていますね。
あと一歩調べれば分かることを目の前に置いておくと高確率で思い通りに調べてくれます。
まさに鉄は熱いうちにってやつですね!
なんかforsetiさんのお話と多少ずれてしまいました・・・・
大変失礼いたしました。
forseti
しっぱさん、ありがとうございます。
1対多や長期スパンでの教育は大変そうですね・・・。
相手に合わせたり、興味を引くにも多人数相手では合わない事がどうしても出てしまいますからね・・・。
> 自分の教え方がうまくなければ相手は育たず、
> 間違って教えてしまえば間違ったモノを正としてその人の知識の下地になってしまう。
自信の無い物に付いては必ず参考として伝えたり、自身のある物は必要に応じて裏付け情報を足したりしています。
裏を調べて返す事で相手も参加している自信が付いて更に聞きやすくなりますので、出来るだけ答える努力をしています。
最後は自分なりの答えとして理解してもらう事を目標とし、
相手が必要に応じて裏を取るクセを付けば理想ですね。
(間違っていたら自分を正してもらえる副次的効果も非常に有難い)
> あと一歩調べれば分かることを目の前に置いておくと高確率で思い通りに調べてくれます
次回コラムはこれに近い題材の予定ですw
宜しければご期待下さいませ。