テストど素人、WACATEに参加した(3):「報告書の意義と目的は何か」
WACATE2010夏のレポート3回目。初回は開始前の様子、2回目は開始直後から自己紹介(ポジションペーパーセッション)までをお伝えしました。今回からは、2010夏のテーマである「報告」について、学んだことなどを書いていきます。
■報告書は○○○○○への××××
グループワークの前に、講義的なセッションがありました。「報告書は○○○○○への××××」というタイトルで、実行委員の近江さんが講義されました。何への何なのかは、講義中に明らかになりました。
■なぜ報告書が必要なのか
そもそも、報告書とは何なのか。なぜ報告書が必要なのか。そういえば、「『報連相』が大事なんだ」と新人時代に教え込まれたものの、なぜ大事なのか、という理由まで深く考えたことはなかったかもしれません。
例えば、先輩から「プロジェクトの進捗報告書を書いておいて」と頼まれたとします。どうしますか? とりあえず、現状を書いておけばいいですかね。書いたら先輩に出せばいいですかね。しかし、このように適当に作ろうとする報告書には、
- 誰が頼まれても同じ報告書になるか
- 誰に伝えるものか
- 何を見せるものか
という観点が抜けているかもしれません。
○○○○○と××××の答えを書くと、「報告書は特定の相手への見える化」となります。つまり、報告書はなぜ必要かという疑問は、報告書はなぜ「見える化」するのか、と言い換えられます。
プロジェクトの進捗報告書の場合、報告書を見るのは先輩かもしれませんし、その上のPM、もしくは上司であるかもしれません。そのような方々からしたら、単に「あれした」「これした」というものだけを見たいわけではありません。進捗報告書を読んで、
- 人員は不足していないか(メンバーを追加すべきかどうか)
- スケジュールに遅れが発生していないか(納期を変更すべきかどうか)
といったことが知りたいはずです。
ここまでをまとめると、
- 報告書は特定の相手への見える化
- 「見える化」には目的がある
つまり、報告書には「相手」と「目的」という視点がなくてはなりません。
■報告書の書き方・出し方
報告書を書く際は、先述のように「相手」と「目的」を知る必要があります。では、報告書には何を書くべきか。
報告書を書くための定量的なデータ(メトリクス)や定性的なデータがあるとして、それらを用いて報告書を書くためには、「相手」と「目的」に合ったデータを考える必要があります。例えば、先述のPMや上司に見せる場合。細かいデータをずらずら書き並べられても「で、結局、人は足りてるの? スケジュールはオンスケなの?」と思われてしまうので「細かすぎる話は要らないな」ということになります。また、「次の工程がスケジュール的に厳しい」と書くと「現工程は正常に終わるのか」ということが気になるはずです。更には、バグの発見・修正状況やチームメンバーのモチベーションも知りたい情報です。
そのような情報を、「相手」と「目的」に合わせて見やすく書かなくてはなりません。箇条書きにしたり、グラフ化してみたり。相手によっては専門用語の方が分かりやすいか否か、という観点もあります。
そして報告書が完成したら、「相手」と「目的」に合ったタイミングを見計らって提出します。相手の都合というのもあるでしょうし、すぐにでも見てもらわないとならない報告というのもあるでしょうし。
まとめると、報告書を書くには「相手」と「目的」が必要で、それらにあったデータ、見やすさ、タイミングで書いて提出しましょう、ということです。
グループワークの前に、このような講義をされるということは、当然「報告書の改善」がテーマとなるグループワークでは「相手」と「目的」を意識しなければいけないよな、と漠然と思っていました。
☆★☆
今回は以上となります。次回はグループワーク(1日目)について書いていく予定です。
☆★☆
次回予告:「GQM法で報告書改善」
コメント
こんにちは、サトマモです。
報告書でも設計書や検討資料でも、常に「誰が」見るのか、その誰に紐付く「知りたいこと」はなにかというのを考えています。
先日も同僚の資料レビューをしたのですが、「そもそも、これは誰が読む資料? それによってレビューの仕方が変わりますが」と切り出すことから始めました。
ドキュメントがコミュニケーションの手段と理解している人がけっこう少ないですよね。言葉よりもうまく伝えられる要素がある反面、より目的と対象を明確にしないと、せっかく作ったのに的外れなものになったりしてしまうような気がします。
書きっぱなしのコメントですが……。
tatanonono
こんにちは、tatanononoと申します。
最近「文書を書く」ということについて研修を受けたり、ある課題を与えられたりして、今まさにもがいているところです。>< その中で少しずつ感じたことをコメント欄をお借りして書いてみます。以下、ツラツラと書いて場所を占有しますがお許しください。。。
・そもそも、報告書・メール等の文書(図やプレゼン等も含みます)の目的は何なのか?なぜ必要なのか?
⇒(例えばプロジェクトの進捗・課題等を)"見える化"することではないか?と考えました。
・では、見える化する目的は?なぜ見える化するのか?
⇒プロジェクト関係者間で"情報共有"することではないか?と考えました。
・では、なぜ情報共有が必要なのか?
⇒「プロジェクト」(というかそもそも「仕事」自体)は一人でやっているものではないから、と考えました。
私の場合「なぜ?」の掘り下げ(動機的原因の追究)はこのあたりで力尽きました^^;
・では、スムーズに情報共有するには?
⇒わかりやすい文書(報告書・メール等)・説明(プレゼン等)で相手に伝えること、と考えました。
・では、「わかりやすい」とは?何がどうなっていれば「わかりやすい」のか?
⇒"読み手にとって重要な情報"が盛り込まれていること。かつ、重要な情報が目立つように表現されていること=見やすい(図・表等による表現)こと&読みやすい(パラグラフの組み立て、主語・述語のつながり等)こと、と考えました。
文書を書き始める前に「読み手にとって重要な情報は何なのか?」という点を理解していればわかりやすくなっていく。理解していなければ何をどうやってもわかりやすくならない、と認識しています。
私も書きっぱなし&既にこのコメントが分かりにくくなっていますが、それは「勉強中」ということで。。。ご容赦くださいませ^^;失礼しました!
あずK
コメントありがとうございます。
ご両人とも、「書きっぱなし」だなんて気になさらなくて構いませんよ^^
サトマモさん>
そもそもの前提条件として「誰のための報告書か」というところから入るんですね。
今までは、報告書を提出すればそれでいいみたいなところはあったかもしれません。
ただ、考えてみれば、昨年までお世話になった上司は、
自身が知りたいこと以外は知ろうとしない(伝わらない)タイプの方で
その上司の性格を知った上で気をつけて、頼まれた調査の結果報告をしていました。
どんな報告書でも、その延長線上で、
「誰が読む報告書か」「その人は何を求めているか」を考えて
報告書を書くべきだよなあ、と、自省しました。
tatanononoさん>
まさに、今回、僕が学んだことと同じですね。
tatanononoさんの思考の流れも、今回の講義の流れとほぼ同じだと感じました。
そもそもの目的は何なのか。
その目的を達成するためにはどうするのか。
改めて、復習というか勉強になりました^^
自分自身、ここまで掘り下げて報告書のことを考えていませんでした。
お恥ずかしい限りです…^^;