「内向的な人こそ強い人」を読んで「僕は内向的なままでいてもいいんだ!」と思った
おめでとう、おめでとう、おめでとう、ありがとう。
いつも本を買おうと本屋さんへ行くときは、既に買う本を決めて行くことが多いのに、珍しく店頭でタイトルを見ただけで惹かれて衝動買いした本が「内向的な人こそ強い人」。
僕の昔のエントリを観ていただければわかるとおり、僕も内向的というか、内気というか。それもあって、興味が生まれて購入しました。洋書の訳書なので、小さい字かつ広くない行間で350ページほどある大ボリュームでしたが、やっと読み終わりまして、感想記事を書こうかなと思った次第です。
■そもそも著者が内向的
著者のローリー・ヘルゴーさんは臨床心理の専門家で、なおかつ自分自身が子供の頃から内向的だったといいます。パーティーをする文化が盛んなアメリカにおいて、大家族の一員として産まれるのですが、みんなでワイワイしているよりも部屋の片隅に一人で静かにしているのを好むタイプで、外向的な人が多い自国の社会に苦痛を感じていたそうです。そんな作者が、心理学者の観点から、同じ内向的な人たちに向けて書いた文章が本書の内容になっています。
この本の良かった点として、内向的な人が外向的な社会の中でどのように振る舞うべきかというノウハウだけでなく、内向的な人たちに対して「内向的であることは悪いことではない!」という勇気づけをしている点が挙げられます。
■内向的な人はマイノリティ?実は違う
外向的な人が目立つ社会を観ていると、つい内向的な性格をもつ人は圧倒的に少数だと思いがちですが、実はそんなことはなく、調査によれば外向的な人と内向的な人の数は、ほぼ半々です。外向的な人が多く見える一因は、本当は内向的な性格なのに、外向的な社会に順応するために自分自身の心を疎外している人が多いからです。その「自己疎外」な内向的な人たちのことを本書では「社会順応タイプ」と呼び、その逆である、自分自身に忠実なために社会から疎外される「社会疎外」な人たちを「影の住人タイプ」と呼んでいます。僕自身も、社会順応タイプにならなければ、と思うところはありますが、なかなかうまく振る舞えなくて悩んでいたひとりです……。
■外向性が尊重される社会のせい
では、なぜ、社会順応タイプが増えるのか。それは当然の話ですが、世の中の社会が「外向性が当たり前だ」という雰囲気を持っているからです。だから内向的な人たちは、人が集まるところへ行かないといけないと思う→仕方なく集まりに参加する→うまく振る舞えない→「来なければよかった」と思う。この繰り返しです。僕もそういうところがあります。「勉強会は、行って勉強して帰るだけじゃなくて、懇親会にまで出て人脈をつくることが大事だ」という風潮がある→懇親会にも参加する→上手に話をすることができない→結局、人脈は増えず、懇親会に参加したことを後悔する。といったように……。
■決して「人と付き合いたくない」と思っているわけではない
内向的な人は、別に「できることなら人と付き合いたくない」と思っているのではありません。内向的な人たちだって豊かな人間関係を築きたいと思っています。それが上手にできない原因のひとつは志向性です。内向的な人と外向的な人の異なる点は、自分の意識が「外」へ向かうか「内」に向かうかの違いです。会話のペースなど、どうしても違いが生じます。そのせいで、内向的な人と外向的な人は、うまく付き合えないケースが多くあるのです。
■テクニックよりも大事なこと「内向的な性格を大切にする!」
そういった「うまく振る舞えないこと」をテクニックで補うことは可能といえば可能です。僕もエンジニアライフの過去のエントリで、経験から学んだ懇親会での振る舞い方を書いたことがありました。また、勉強会初心者を対象にした勉強会を主催したこともありました(いずれ再開したいですが……)。そんなことよりも大事なことを本書で学びました。
それは、内向的な性格のままでいいんだということ。
外向的な社会の中では外向的な性格でいなければならないと思うから、上手に振る舞えずに「あわあわ……」となって、結果「出なきゃよかった」になるわけです。外向的な社会に自分を合わせるのではなく、外向的な社会にいながらも自分を大切にすることが大事なのだと思います。本書では、無理やり外向的な場でやり抜く方法(小手先のテクニック)ではなく、内向的な自分を大事にしながら「パーティーでどう過ごすか」「人と関わる仕事にどうやって携わるか」「外向的な人とどう付き合うか」等のノウハウが書かれています。具体的な内容は”本書を読んで下さい”ということにして、たとえば、パーティーの場であれば「周囲の人や場を傍観する」「一旦抜け出して散歩をしてくる」「ペットや子どもを見つける」「自分と同じ内向的な人を見つける」等です。「途中で帰る」「最初から”行かない”と言う」のだってアリで、これらには「無理やり外向的な人たちと会話しなければならないわけではない」という考えが入っています。
つまり自分らしくしていれば良いのです。
今までの僕は、これがわかっていなかったから、どのような会に出ても、場数を踏んでも、「出なきゃよかった」の後悔ばかりになってしまっていたのかもしれません。人と知り合うことに義務感を感じていたのが間違いで、もっと肩肘張らずに参加して「自分は自分」とマイペースでいれば良かったのです。その上で、人脈を広げるテクニックを身に着けていけば良かったのだと思っています。
■日本の記述には少々の違和感が
ただ、個人的に違和感があったところとして、本書では「内向的な人にやさしい社会」のひとつとして、ここ日本をあげています。日本の文化を大変よく調べあげていると感じる内容ではありますが、やはり「そこまで内向的にやさしいかな」と思うのが、日本で生まれ育った人間としては思うところで。日本の社会や学校だって外向性が重視されている上に、協調性も重視していて「出る杭は打たれる」文化は根強く残っている。つまり、日本文化の悪いところと欧米から入ってきた文化の悪いところがミックスされているのが今の日本というか。内向的な人ほど「ひきこもり」になるのは仕方ないかもしれないというか。(僕が自分で自分のことを内向的だと思うのは物心ついたときからで、僕が小学生だった頃の学校ですらも、学校での生活のしづらさは感じていたので、色々と思うところはありまして。)
■もっと早くに読みたかった
そんな僕だったので、もっと早くに「内向的でいていいんだ!」と背中を押されていたら、学校や社会に出てからの生活が全然違うものになったのかなと思いました。もっと早くに、この本に出会いたかったです。でも、もう学生時代の自分を憂えても仕方ないので、この先の仕事や人生に活かしたいと思います。僕と同じ、「自分は内気だから」という理由で悩む人たちに読んでほしいです。