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劣等感・コンプレックスと真剣に向き合ってみた 後編

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 こんにちは。

 仕事でよくPHPを使っていまして、フレームワークも、CakePHPやsymfony等を調べたり使ってみたりしていますが、最近、新しいPHPのフレームワークを知りました。「Yii」という名前のフレームワークです。まず名前が……なぜか家の中でリモコンを振り回したくなるような素敵な名前で(笑)。なのに、大真面目な(失礼)MVCフレームワークで、キャッシュ機能で高速に動作するそうです。試しにローカル環境で使ってみたら確かに速かったです。他のフレームワーク並に普及するといいなあと思いました。関係ないですが、このフレームワークを利用して構築したシステムは「Yii ウェア」と呼ばれたりするのでしょうか。

 そんな話は置いておいて。

 今回は、前回の続きで、自分の中の「運動ができない」という劣等感・コンプレックスについて、ユング心理学やアドラー心理学の内容を踏まえつつ、書いていきたいと思います。

■劣等性(器官劣等性)

 劣等感の前に、まずは劣等性(器官劣等性)という言葉について。これは、体の中で劣等な部分があるという「事実のみ(感情は挟んでいません)」を指しています。劣等な器官があると、他の器官が発達して、劣等な器官の機能を埋め合わせる状況(補償)が現れます。器官劣等性を提唱したアドラー自身、幼少の頃は病気がちで、その経験から器官劣等性という概念を考えたそうです。

■劣等感

 自分が持っている劣等な部分に対して無気力さを感じたり勇気をなくしたりすることで、劣等感が生まれます。ただし、劣等感自体は、「もっと、幸せになりたいんだ!」といったような気持ちになり、人をそれの克服に向かわせるポジティブなものだとアドラーは述べています。ベートーヴェンは20代で難聴になってしまうのに、『第9』などの素晴らしい音楽作品を残している、という事実は有名だと思います。

■劣等コンプレックス

 コンプレックスそのものの意味は「いろいろな思考や感情が混じった複合感情」という意味でして、一般的に使われる「コンプレックス」の言葉の意味は、「劣等コンプレックス(inferiority complex)」であるといわれています。劣等コンプレックスは、劣等感を受け入れられず、無意識にネガティブな感情と結びついているような反応です。「どうせ自分は体が弱いから……」という気持ちになってしまうような。

 劣等感が劣等コンプレックスになるかどうかは、幼少期の環境や経験が深く関わっているそうです。自分の場合も、小学生のときに「お前のせいで負けたんだ」と言われたことが劣等コンプレックスをもつきっかけになったので、すごく納得できました。

■優越コンプレックス

 劣等コンプレックスの埋め合わせ(補償)として、自分が優れていると思う部分を強調し、心の安定を図ろうとする反応は、劣等コンプレックスとは反対に「優越コンプレックス」といわれています。

■自衛反応

 劣等コンプレックスを持つ自分を守ろうとして、または劣等コンプレックスの補償としての優越コンプレックスが原因で、次のような自分を守ろうとする反応(自衛反応)が現れます。

  • 言い訳をいう
  • 他人の劣っている点を見つけて、見下す
  • 相手にとって不必要な協力を自分から申し出る
  • 失敗の原因を誰かのせいにする
  • 障壁を心の中に作る(引きこもる)
  • 自分がされた嫌なことを他の人にも行う
  • コンプレックスと真逆のことをする

 最後の「真逆のことをする」というのは、例えば、運動ができないコンプレックスを持つ自分の場合、「運動音痴の人ばかり集めて、スポーツ大会をやったら楽しそう」と思ったことがありましたが、このように自分が持っているコンプレックスの問題を解決しようとはせず、他の同じ悩みを持つ人の助けになろうとする状態を指します。その上の項目は逆に、親から虐待を受けた人が子どもをもったときに、同じように虐待をしてしまうような状態が一例です。

■劣等コンプレックスの解消

 では、コンプレックスを持ってしまった人は、基本的にどうすれば解消する方向へ向かうかですが、ユングは「コンプレックスと対決していく必要がある」といい、アドラーは「コンプレックスに悩む人は、共同体感覚(社会的関心)が不足している」いっています。

 共同体感覚は、意識を自己ではなく社会へ向け、社会の中にある何らかの共同体のために、他の人と協力して行動をすることを指すようです。

 自分自身、前回書いたとおり、フットサルをはじめてから、フットサルに参加する度に悩みが深くなっていました。必然的に運動ができない劣等コンプレックスと向き合っていたようです。向き合ってはいるものの、コンプレックスの根っこの部分には壁を作って、逃げていた感覚もありました。

 先日、フットサルをしている先輩と飲む機会があって、自分のフットサルに対する取り組み方みたいな話になったとき、お酒を飲んでいたこともあって、コンプレックスの根っこの壁が壊れてしまい、思い切り根っこに触れてしまいました。そのことで、自衛反応が出たというか、先輩に対して、非常に攻撃的な態度を取ってしまいました。目上の人に対していうべきではない言葉を連発し、当然、先輩は激怒してしまいました(その後、心の中に溜まっていたものが一気に流れたせいか、自分が号泣しだすものですから、先輩は怒るのをやめ、慰めてくれました(苦笑))。

 ただ、あのときに、自分の中の劣等コンプレックスの問題に触れることができたこともあって、今までさんざん悩んでいたものが軽くなった感覚もありました。

 さらに、前回の記事でいただいたコメントに、再度考えさせられました。

 子供の頃に言われた「お前のせいで負けたんだ」は、言った子は別に深く考えて言っているわけではないのだろうなあ、と。特に小さい頃って表現の仕方に乏しいしストレートにものを言うところがありますから、できない子に対して怒ったら相手がどう思うかまで考えていないのかもしれませんよね。あの頃、そこまで思い悩む必要はなかったのかもしれません。

 それに、チームで目標を達成できたときの達成感や嬉しさは、個人ひとりで目標を達成できたときより何倍も嬉しい気持ちになるのをフットサルから得ました。そのチームの中で自分が出来る役割・スタンスを理解する。スタンスの違う人がいても気にしない。皆で協力して1つの目標を達成する(達成する努力をする)。こういった体験・成功体験を積み重ねれば、自分の中の劣等コンプレックスはなくなっていくような気がしてきました。

 劣等コンプレックスで悩む方の参考になれれば幸いです。すごく悩んでいる方は、心から信頼できる人(友人や先輩、家族など)、もしくはカウンセラーに話を聞いてもらうと良いと思います。自分は、良い先輩方に恵まれたのが幸運でした。誰かに話を聞いてもらうのって、ものすごく大事なことだと思います。

 また、少しだけ話が飛びますが、自分自身だけでなく、一緒に仕事をしている方などでも、例えば理不尽な理由で叱ってくる人とかいるかと思います。そういう方は、何らかの劣等コンプレックスを持っていて、自衛反応でそういう言動をしているのかもしれません(それを当人が意識しているか否かは関係なく)。

 「恐らくこの方は、何らかのコンプレックスを持っているのかもしれない。」そう考えるだけでも、言われたことを真に受けて自分の感情を乱すことが少なくなるのではないでしょうか。

☆★☆

 自分の幼少期を思い返すと、運動以外にも「こういうことがあったから、今の自分ってこういう欠点があるのかな」と思ってしまうようなことも何個かありました。そう考えると、自分の子ども時代って、あまり幸せな時代ではなかったのかもしれません……でも、今この瞬間は、生きてて楽しいし幸せを感じるので、それはそれでもういいやと思いました。ドラクエ楽しいですし(笑)。

Comment(2)

コメント

組長

こんにちは。

自分もコンプレックスがたくさんあるので、「ふむふむ」と、うなずきながら読んでいました。特に精神性の疾患というか、心の状態は悪くないのですが、昔から自分自身を深く知りたいと思って来たので、カウンセリングというものを受けてみたいと思っています。

が、しかし!心療内科は予約がギッシリで、ちょっとビックリしました。本当に心の専門家が必要な方はたくさんおられるんだなぁと、胸が痛みました。

あずK

組長さん>
コメントありがとうございます。

> 自分もコンプレックスがたくさんあるので、「ふむふむ」と、うなずきながら読んでいました。
お役に立てたようで、書いてよかったです^^

> 心療内科は予約がギッシリで、ちょっとビックリしました。
心療系のお医者さんやカウンセリングの予約が埋まっている話は聞いたことがあります。
IT業界に関わらず、うつ等で悩んでいる方って多いのでしょうね…。
本来であれば、語弊があるかもしれませんが、
お医者さんやカウンセラーさんが食べていけなくなるような社会が理想なのでしょうけど…。

あと、心の悩みを聞いてもらいに行くのなら、
心療内科ではなくてカウンセラーさんに診て頂いた方がいいと思います。
心療内科はお医者さんなので、患者さんの話を聞くというより
何らかの精神疾患があるかどうかを判断してお薬を処方してくれる、というお仕事ですから。
対してカウンセラーさんは、話を聞いてくれて、アドバイスを押し付けるのではなくて
本人に「気づき」を与えてくれるのがお仕事なので。

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