結婚
「デスマーチで嫁(い)き遅れました」――。
元エンジニアX氏によるエンジニアライフ コラム。初めてタイトルを見た瞬間「どきっ!」としたのは秘密です。……なぜ……よりによって彼氏と別れた次の日にっっ!(ただの偶然です)
■今すぐするか、一生しないか、だとしたら?
2009年初コラム。今年もよろしくお願い致します、かわばたです。
田舎出身者の常として(?)、年末年始には大勢の親戚と顔を合わせます。今年から地元で勤務することになった、と告げると皆一様に喜んでくれました。
「良かったわね。故郷で思いきり仕事に打ち込めるわね」
――なんてことは、言われずに。
「良かったわね。せっかくだから、こっちで“お相手”見つけなさいね」
「もう、“いい人”いるの?」
(あれ、もう私の番?)
この手の質問・アドバイス、いとこのお姉ちゃん達が言われているのをぼーっと見ていた覚えはあるのだけれど。
(結婚するなら、30歳くらいが良いなあ)
いままで漠然と、そう考えていました。いわゆる結婚願望は薄いほうだと自覚しています。
そこで究極の選択。結婚、今(23歳で)するか/一生しないか、どちらかしか選べないとしたら?
ことによると後者を選びそうな気もする自分ですが、決して結婚したくないわけではないのです。ちょっと、順番に考えてみることにしました。
■迷わせるのは誰だろう
1人の人間としての自分がいます。1人の女としての自分がいます。あるいは日本人として、ある会社の社員として。あなたも私も一生のうちに――いえ1日のうちにだって、様々な役割に応じ「顔」を変えます。
それぞれの自分には目指すものがあります。女としての自分からは確かに「いつかは妻、母の立場になって、誰かを支える人間になりたい。子育てをしたい」という本音が聞こえます。では、結婚にあまり気が進まない自分は“誰”なのでしょう?
会社員である自分。エンジニアである自分。
この2人です。――やはり、と心のどこかで思いつつ。
■役割を選ぶ
この“2人”が結婚に二の足を踏む理由は何となく分かります。私という器に「妻、母」の役割が加わると、そもそも2人の存在が危うくなってしまう、ということでしょう。エンジニアの就労事情や女性エンジニアを支える制度(が概して整備途中であること)については、他に詳しく解説された情報源がありますので割愛します。
ただ必ずしもこの2人、一蓮托生である必要はない気がするのです。同じくコラムニストのSARAさんもおっしゃるように、会社勤めのエンジニアとして高水準のパフォーマンスを発揮し続けることは難しいかもしれない。
けれどこれから、もう少し時間をかけて、自分がエンジニアという職業を通じて世間に表現したいことをきちんと見つめなおしたとき。会社員という形にこだわる必要がなくなるかもしれない。結果的に「エンジニアであり続けること」だけは可能になるのではないかと思うのです。
あるいは逆に、「エンジニアでなくて良いから、どこかの会社員ではあり続けたい」と、組織での仕事を通じて社会とのつながりを保つことにこだわる自分も出現するかもしれません。
どちらにせよあと少しだけ、考えたり実験的に行動したりする時間が欲しいなというのが本音です。まあ、こんなこと言っていて最終的に結婚できなく(しない、ではなく)なってたら笑えませんけど。うわ、文字にするとやたらリアルで怖いですね。
■働き方を創る
もちろん今の会社にエンジニアとして勤めたまま、妻や母にもなれる、という展開だってあり得るかもしれません。そのための制度が整備されるのを待つばかりではなく、自分から声を上げることもできるでしょうし。会社員でないエンジニア、といえばいわゆるフリーランスな働き方が思い浮かびます。ただ、地元のために何かしたい思いがあることを考えると、同じ志を持った仲間の大勢いる、今の会社にいた方が……。
……こうしたことを考えていると、つくづく自分は恵まれているなと感じます。今のエンジニアという職業に面白味を感じていなければ、そもそもこんなことで悩まなかったでしょうし。子供を生んで育てたいと思えるのも、自分の両親に感謝し、彼らを尊敬している気持ちと無縁ではないはず。
ありがたい、の気持ちを忘れずに、さまざまな役割をひっくるめて「自分らしい」生き方、働き方を探していこうと思います。
もし、見つからなかったら?
――創ろう。
ストレートにそう考えています。
可能か不可能か、難しいかそうでないか、そんなことはどうでも良い。「これは、自分の人生だから」……それだけで 少なくとも私にとっては、チャレンジするのに十分な理由だと思えます。
あなたの中には何人の“自分”がいますか?
大切にしたい役割は、どれですか?(1つに絞る必要はないと、思います)
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