夢の悪霊
1. 怨念
地球上には、大量の「怨念」が渦巻いている。
――こんな物が、サービスが、あったらいいのになあ。
――なんだかこれ、不便だなあ。
――どこかに楽しいこと、ないかなあ。
もっと世界が、こうだったらいいのに。
人々の無言あるいは無意識の想いが、不満が、行き場のないまま空中をさまよっている。
そうした「怨霊」たちは、なんとか成仏するために――自分が抱える想いを成就させるために、「取り憑く」人間を探している。
「何か楽しいことしたい」「この不便さをどうにかしたい」という想いは、いつの世も絶えない。霊たちはそれぞれのプランに従って、例えば人々に楽しみを与える音楽家や、作家や、問題を解決する弁護士や、SEを生み出す。そうなれそうな人間を見つけだし、取り憑いて、導く。
霊は、長い距離を旅することもある。
飢餓にあえぐ国の「せめて明日を生き抜く食べものがほしい」という切実な叫びから生まれたエネルギーの一部が、例えば日本で心優しい中学生に出会う。取り憑いて、まずは「地理の授業って面白いな」という気持ちなど芽生えさせるのかもしれない。そして徐々に国際ニュースへの関心や問題意識を育て上げ、いろいろな人に出会わせ、世界を変える本当の力を与えながら、ゆっくり成仏していく。
2. 夢って、悪霊みたい
人生にハリを与える夢や目標って、悪霊みたいだと時折思います。
こちらから見付けたり創り出したりするというより、ある日ふと取り憑かれるもの。
自分が取り憑く側だったら、成仏のためにどんな人間を選ぶか?
学生なら、宿題をちゃんとやってる人がいいな。霊の抱えた夢が大きければ大きいほど、コツコツ努力できる人が必要だ。
同じような理由で、思いやりと責任感が仕事ぶりに表れている社会人もいいな。今までの経験と人脈を生かして、若い人より早く成仏させてくれるかも。
あとは、基本的に素直な人が良さそう。子供に取り憑いたら、「地理の授業って面白い」とかいう素朴な感情に気付いて行動してもらえるかどうかが最初の鍵だから。大人でも、世間体ばかり気にして外部のアドバイスや自分の内なる声に耳を貸さない人は、ちょっと無理だ。
3. 師走ですね
年末。慌ただしさの合間にも、来年はどんな年にしようかなーなんて考える時期ですね。
私は根っから「自分で夢や目標を見付ける」タイプだったのですが(関連記事)、ふと今年、「夢や目標に自分を見付けてもらう」という考え方はどうだろう、とやってみたら、予想外の展開が次々に訪れて比較的楽しい1年になりました。
これはこれでアリだなと感じたので、新年に向けてアイデアのおすそわけです。(もちろん自分から目標や計画を立てるのを辞めるわけではなく、頭の半分をこういう意識にしたら楽しかったよーということです。)
できれば今月か来月辺り、具体的にどうしたかを書いてみたいなと思っています。できるかな……(汗)。……ひとまずお先に、暮れのごあいさつ。
皆さま、良いお年を。