日曜プログラマです。

近江商人に学ぶ「開発者の責任感」

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 12月23日、マンモスを見ました。

Mammoth
[写真1]マンモス(の化石)。下に写りこんでいるのは私(の頭)。
はしゃいでいます。恐竜とか化石とか、大好きです。

 場所は滋賀県立琵琶湖博物館。滋賀には8月からお世話になっていましたが、今月27日に離れることになりました。現在従事している開発案件を、お陰様で鹿児島へ持ち帰れることになったためです。

 こうして滋賀で過ごせる最後の休日となった23日、常駐先の部長様と課長様がミニツアーを企画してくださったのでした。年末のお忙しい中、貴重なお時間を割いて頂き、本当に感謝しております。

 博物館に続いては近江牛のすき焼き(美味しかった)、クラブハリエのバームクーヘン(松田聖子さん絶賛)、信楽焼き(たぬきさんが有名ですね)などなど、同じく常駐していた上司と共に案内して頂きました。

 中でも本日語らせて頂きますのは、すき焼きとバームクーヘン!

 ……を堪能した観光ポイント、「あきんどの里」についてです。というより、この地方の「あきんど」について。

 滋賀県出身の商人と言えば近江商人。鎌倉時代から戦前まで、国内の行商だけでなく朱印船貿易などでも活躍した、堺・伊勢に並ぶ日本三大商人です。

 彼らが大切にしていたとされる「商いの原則」は、現代でもビジネスに関する書籍やセミナーでよく取り上げられていますね。

●売り手よし、買い手よし……

 近江商人の精神を代表する言葉、「三方よし」。

 売り手よし、買い手よし、世間よし。

 ビジネスですから売り手と買い手がwin-winの関係になるよう尽くすのは当然のこと。

 それに加えて、世間よし。つまり取引の結果、売り手と買い手だけでなく、周りの環境・社会がよりよいものになるように努める心が大切だ、と説いています。CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が叫ばれて久しい昨今ですが、昔から「商売人の心得」とされてきた、基本的なことなのですね。

 企業のCSR戦略においては、「社会」にお客様だけでなく自社の従業員や株主、取引先企業、更には自然環境や地域社会まで含めて「責任」を果たす方向性を考えていきます。近江商人の時代に自然環境の問題は少なかったかもしれませんが。

 自分が儲かって余裕ができたら慈善事業でも始めよう、ではなく、事業の一環として最初からステークホルダーに貢献していこう、という姿勢がCSR、あるいは「三方よし」のポイントなのだと思います。

●ディベロッパよし、ユーザーよし……

 「そっちの方がソフトウェア作りやすいし納品先の人もその仕様でいいって言わはったのかもしれんけど、あたしが実際この機械使う人やったら、この使いにくさは嫌やで」

 QAエンジニアがそう声を上げるとき、それはプロジェクトにおいて「世間よし」が危ぶまれているとき。関西弁に深い意味はありません(もうすぐこの歯切れ良いイントネーションともお別れか……)。

 自然環境への責任においても、具体的な開発・製造・量産プロセスや規格、新技術の形で次々と「やるべきこと」の案が挙がってきています。組み込み業界でいえば家電や自動販売機の低消費電力化、鉛フリー半田でしょうか。私自身いち開発者として、これらの技術を取り入れるよう求められたときは、単に「買い手」の要求だから、ではなく、「世間よし」の観点から捉えられるようになっておきたいと強く感じます。

 自分のソフトウェアで誰かのやりたいことを満たす。そうするとどこで何がどのように、どれだけ変化をするだろう?

 私たちは仕事を通じて、それまで世間になかったモノを作り出してしまうことができます。その影響力に無頓着なまま、作る力を行使していると……例えば限りある資源を食いつぶしていくような……あるいは使い手に人としての倫理を忘れさせてしまうような……そういったモノを世に出してしまうこともあり得るでしょう。それを防ぐ意味でも、また逆に世間へのインパクトという観点から「買い手」へ積極的に提案する力をつける意味でも、常に健全な疑問の姿勢――私のやっていることは、「三方よし」か?――を持ち続けていきたい。そう思います。

 さて、このあたりで引越しの準備に戻ります。

 年が明ければ、いよいよ故郷・鹿児島でのエンジニアライフ。楽しみです。

 あなたもどうぞ、よいお年を。

 感想、ばたばたしていてお返事が出せずすみません。それでも良いよと言って下さるなら、今回もよろしくお願い致します

 ありがとうございました。

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