万能なエンジニアに見せるには -チームの成果は俺の成果!
なぜ私に書けと?
先日、Tさんという人から記事を書いてくれないかと依頼を受けた。記事の依頼が来るのは嬉しいものだ。Tさんとは一度だけ会ったことがあるもののその後親しくしていたわけでもないので依頼が来たのは意外だった。なぜ私に?
その理由は私がIT系のエンジニアだったからとのこと。Tさんは主に法律関係の記事を書く仕事をしるが、ITに関わる記事をいくつか書くことになり技術的に難しいところもあったので私に振ってきたのだった。しかし話をよく聞いてみると私が分かる分野ではない。これを書くのは厳しそうだ。ITエンジニアなら何でも知っていると思われたようだ。
エンジニアは万能か?
そこで私は以前のAnubisさんのコラム「エンジニアにどこまで何を求めるんだ」を思い出した。エンジニアは万能であることを求められている。コーディングもサーバの保守もできて、お客さんとの信頼も厚く、自分で仕事を取ってこれるようなスキルが求められているがそんな人はいないと書かれていた。
さらには「これがエンジニアでなく女性だったら簡単に分かると思う。美人で優しくて、料理が上手くて上品。スタイルが良くて、程よく甘えてくれて、話していて話題が豊富で楽しい。・・・そんな女性、世界にどれだけいるんだよ。私の知るところで、エンジニアライフの編集者さんくらいだ」と。
Anubis氏の知るところの女性が何千人いるかは知らないが、たしかにエンジニアは万能であることが求められるし、実際はそんな人は滅多にいないのも事実だろう。
万能なエンジニアに見せるには
私がIT業界に転職したばかりのころ、ある大きなネットワークシステムの開発と保守の仕事をした。そのときは今は亡き大手コンピューターメーカーのD社と共同で開発をしていた。D社からは何人かのエンジニアが交代で開発現場に来ていた。ネットワークが専門のN氏、アプリケーションが専門のA氏、データベースの専門家のO氏など。
あるときシステムの障害が発生した。D社の担当分野に異常があるようだ。その日に現場にいたN氏がログを調べる。ネットワークは異常なし。データベースで異常が起きているようだった。N氏はログを見ながら自社にいるデータベースの専門家のO氏に電話。状況を説明する。
O氏から「このSQLコマンドを打って応答を見て。ログを取って送って」のようなアドバイスを受けてN氏は対応する。それを何度か繰り返すと、原因が判明してシステムは復帰した。N氏はクライアントに障害の状況を説明した。さも自分一人で全て対応したかのような言い方で!
個人が万能でなくてもチームが万能ならOK
D社は個人では万能ではないがチームとしては万能だったのだ。個人は何でも知っている必要はない。現場でログを取って状況を正確に伝えることができればいいのだ。詳しいことは専門家に聞く。代わりに自分の専門分野については他のメンバーを助ける。エンジニアは万能ではないけれど、チームとしては万能であり、それに対する信頼がD社のブランドだったのだ。なるほど。IT業界はいろいろな技術が必要だけど、こうやって仕事をしていくものなのか、と当時の私は思ったのだった。
エンジニア個人は万能でなくてもいい。チームでカバーして万能であれば。「チームの成果は俺の成果」。さも自分が万能であるかのように振る舞うことで、(ズル)賢いエンジニアになれるのだ!
Excel VBAマスターへの道、の続きが書ききれなかったので来週に延ばして違うネタで取り繕ったあべっかんでした(笑)。
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