プログラマ、テスター、SE、PMなど、いろいろやってるオヤジです。

忘年会という都合のよいシステム

»

 「若いころにやっておけばよかったことって何ですか?」

と聞かれた。あなただったら何と答えるだろうか?

■やってよかったこと

 成功者のサクセスストーリーでは、「やってよかったこと」が語られる。

 学生のころは落ちこぼれだったけど、劣等感をバネにしてがんばった。大失敗したけどその経験があとで役に立った。といったように、失敗だと思ったけど今考えるとやっておいてよかったことが語られる。

■やっておけばよかったこと

 学生のころにもっと猛勉強して東大に入っていればもっと年収があったのに。若いころにもっとコーディングの経験を積んで入れば優秀なエンジニアになれたのに。これまでに海外赴任を避けてこなければグローバルなビジネスマンになれたのに。

 いずれにしても、今の自分は成功していないということが前提となる。「やっておけばよかった」ことを語ることは現在の自己を否定することだ。これをいくつも挙げると、「俺は失敗ばかりじゃないか(-_-;)」とめげてくる。しまいには「生まれてこなければよかった」と思い詰めてしまうかもしれない。

 やってよかったことを語るのと、やっておけばよかったことを語るのは、似ているようでもずいぶん違う。

 ■今年の反省

 もう12月になった。年末に今年1年を振り返って新年の目標を立てる人も多いだろう。不思議なことに、多くの場合、年末に反省するのはこの1年の行動に限られる。去年の年末に反省していない人であっても。反省すべき行動はどういうわけか年末で時効となるのである。  

■忘年会という都合のよいシステム

 忘年会とは、「年内の苦労を忘れるために行われる宴会」という定義だそうだ。そして忘れてしまうのは苦労だけではない。1年間を振り返って反省もするのだけれど、忘年会をもって忘れてしまうこともが多い。年末をもって借金とともに反省も清算し、翌年に持ち越さない。だから翌年も同じ失敗を繰り返すのだ。

 でももし年末に自己の一生を振り返っていたらどうだろうか。一部の成功者以外は、若いころにあれとこれをやっておくべきだった、と過去の失敗を思い出す。そこで反省して翌年に挽回できそうならいいけれども、これまでできなかったのだからそうかんたんには挽回でないだろう。すると自己否定モードになって落ち込んでしまう。「やっておけばよかったこと」を挙げたときと同じように。

 年末にみんなが落ち込んでしまうと、クリスマス商戦の時期なのに景気が悪くなってしまう。それは困る。だから1年以上前のことを思い出させないために、1年の苦労とともに反省も忘れてしまう忘年会というシステムが作られたに違いない(?!)。忘年会というシステムは偉大だ。さあ、飲みに行こう。今年の失敗を忘れるために!

 忘年会の幹事のみなさま。このコラムを忘年会の参加勧誘にお役立てください(?!)。

 abekkanでした。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する