独学の初心者はどのようにネットを活用すればいいか

技術動向

» 2017/10/30

今の時代は初心者に恵まれた環境か

ホリエモンは言っていた。「スマホさえあれば、世界のトップレベルの知識にいつでもアクセスできる」と。確かにその通りだ。更に英語が理解できれば、本当に世界中で公開されている最新技術を知ることができる。やろうと思えば、コミュニケーションを取ることもできる。

また、本屋に行ってもいろいろな種類の本が置いてある。何十年か前、私が学生だった頃、中国語やフランス語の本は本屋に置かれていても数冊だった。それが今では一つのコーナーができるくらいの品揃えだ。本の内容も当時と比べると格段にレベルが高い。

ここ十年では、Kindle等の電子書籍も発達した。今では、欲しいと思えばタブレットをポチポチ操作するるだけで、欲しい本がその場で手に入る。しかも本はデータ化されていて、十冊分を持ち歩いてもタブレット一枚の重さしかない。読みたい時にサッと取り出して読むことができる。

一人の人が触れることのできる情報量はものすごく増えた。しかし、情報にアクセスはできても、理解できるかは別問題だ。どんなに質の良い情報があふれていても、使いこなせるのはむしろ、元々スキルのある人だ。初学の人はだいたい情報の海に流されて遭難する。

独学で成果を出すためには

まず、独学をするならネットの情報より本を買うことをお勧めする。コンセプト毎に情報がまとまっているからだ。初心者用の本なら、初心者に合った情報がセットになっている。初級者向けの本には必ず「初心者向け」とラベルが付いているので、最初のステップで間違えることは無い。

「いや、ネットで情報がいくらでも手に入る。本なんて買う必要はない」と考えるかもしれない。しかし逆に問うてみよう。本を買わない理由はあるだろうか。惜しんでいるのは、書籍代の数千円ではないだろうか。それとも書籍という媒体に何かしらのカッコ悪さを感じるのだろうか。

確かにネットでいくらでも情報は手に入る。しかし、手に入った情報を整理できるだろうか？手当たり次第に情報を集めると、収集が付かなくなって情報の海を漂流することになる。ググればググるほど混乱する。それでも根性で解決できないこともないが、かなり効率が悪い。

基本は気に入った書籍を購入して何回か通して読むことだ。書籍を読んで基礎を固めれば、ググった情報を理解することができる。ググった情報はあくまで部品だ。まとまった知識体系がないと、集めた部品を一つの体系にまとめあげるのは難しい。

ネット動画はどうだろう

最近では、動画でITを学習できるサイトもある。ドットインストールあたりが有名だろうか。私も活用したことがあるが、なかなか分かりやすい。三分ごとに動画が区切られているので、自分のペースで学習できるところがお勧めだ。ちょっと覚えたい技術があった時に重宝している。

非常に分かり易くまとまっているが、初心者にお勧めかというと微妙だ。逆に分かりやす過ぎる感がある。本を読むのと違って、ぼーっと見ているだけで情報を耳と目から入れることができる。何も考えずに聞いているだけでも分かった気になれてしまう。これが怖い。

ドットインストールの情報量を書籍に換算すると、一つの講座が音読して30～40分程度だ。動画サイト全般に言えるが、情報量は書籍に比べると少なくなる。基盤が固まっている人が別の技術をつまみ食いしたり、一度覚えた知識の復習に使う方が向いていると思う。

動画サイトは一度見ただけでは技術として身につかない。何度も見て、実際に手を動かすことで理解できるようになる。情報量の少なさは、実際に理解した時に体感的に分かると思う。その時は、別のサイトを調べるなり、書籍を読むなりして欲しい。

独学する上で最も気をつけること

初心者が独学する上で一番気をつけるべきは、先進性を追わないことだ。必ずしんどくなる。確かに、ネットを活用すれば世界の最新技術にでもすぐにアクセスできる。しかしそれは、レベル1でラスボスに挑むようなものだ。アクセスできても自分のものにはできない。

多少もどかしく感じるかもしれないが、ゲームと同じで着実なレベル上げが必要になる。自分に合った内容を確実にこなしてレベルアップしていけば、必ず最先端の技術を自分のものにできる時が来る。これがスキルを上げる上での王道だ。

どういう媒体で学ぶにせよ、最初は体系としてまとめられた媒体を利用するのがベストだ。ネットの断片的な情報を頼るのはお勧めできない。あとは、初学の内からお金を浮かせることは考えない方がいい。本なり機器なり必要な物は購入しておこう。思わぬ遠回りをすることになる。

ネットでは検索する力が無いと欲しい情報が手に入らない。では、どうすれば欲しい情報が手に入るかというと、自分が知ることだ。ネットは分からないことを親切に教えてくれる先生ではない。どちらかと言えばただの辞書だ。初心者は、まずこの辞書の使い方を覚えることが必要なのだ。