スキルを伸ばすために常識を疑う
■常識が正しいという誤解
よくよく考えてみよう。一般的に言われるスキルの上げ方を実践してスキルが上がるだろうか。結論から言えば、そんなので簡単にスキルが上がるくらいなら誰も苦労しない。常識通りにやってスキルに長けることができるなら、世の中もっとうまく回っている。
では、常識に反したことをやればOKか。これも答えはNoだ。常識に反するという名目で、単に怠惰な方法を選んだらスキルは伸びない。常識に反したことをやるには、それ相応の理由が必要だ。それが無いなら、単に考えずに一歩踏み出しただけになる。
そもそも、常識というのは大多数の最大公約数だ。これがどういうことかというと、常識というのは浅いのだ。10考える人と50考える人の最大公約数は10だ。ここに、2しか考えられない人が加われば、最大公約数は2になる。
つまり、一般的に通用する常識ほど底が浅いということだ。その常識が正しいか、間違えているかというより、多くの付け足しが必要になる。Yes,Noだけで判断していると、深さという概念に気付けなくなる。そこが、常識に流される人と適切な判断ができる人の差だと思う。
■常識に流されやすい人の成功方法
常識に流されやすい人が失敗するパターンは、常識範囲の内容を理解した段階でマスターしたと思い込むことだ。実際はそこからがスタートだ。常識というのは最大公約数だ。最小公倍数ではない。常識を通用させるには、多くの付け足しが必要になる。
こういう人が成功できないかというと、そうでもない。常識に流されやすい人でも成功する方法が二つある。優れた人の集団に所属するか、優れた個人に思考を合わせていくという方法だ。つまり、所属している集団の最大公約数が高ければ多くを考えられるようになる。もしくは、多くを考えられる個人に思考レベルを合わせていくという方法だ。
こう考えると、どういう人と付き合っていくかというのは重要だ。そして、どういう人を優れていると判断するか、そういうポリシーも重要になってくる。自分がどういう流れに身を委ねていくか、常識に流され易いと思う人ほどよく考えるべきだ。
常識に流されやすい人でも、ある程度のレベルに達することで自分の傾向を超えることができる。そこから先は、いろいろな選択肢が待っている。その時になって考えればいい。どんな人でも、成功できるための手段はある。
■会社の言う通りにやってるとスキルは伸びない
日本のSIerをやってると、本当にスキルが伸びない。スキルの低い人に基準を合わせるからだ。確かに、スキルの低い人でも仕事がこなせれば収益としては上がり易いように思うかもしれない。だが、それを実現するには、桁外れにスキルが高い人が仕組みを管理する必要がある。
先ほどの常識の話に当てはめると、最大公約数が低いということだ。そして、仕事である以上、生活がかかってくるので強制力も強い。しかもプレッシャーもかかってくる。スキルを伸ばしていくには色々と条件が厳しい。
スキルを伸ばすにしても、自分が成長できる環境が必要だ。もしくは、指針となる人物が必要だ。闇雲に努力しても、方針が定まっていなければ力が分散して結果に結びつきにくい。頑張るのも大事だが、頑張る前の準備も必要だということだ。
余程才能があるか、考える習慣が身に付いている人でない限り、自力だけでスキルを伸ばすのは難しい。そこに会社があるから、言うことを聞いていればどうにかなる。というのは現代では通じない。スキルを求めるなら、自分でどうにかしなければならない。
■常識の疑いかた
常識といっても、一般的な常識とエンジニアの常識は違う。また、スキルの低い人の常識と高い人の常識も違う。共通して言えるのは、どんな常識にも前提になる条件があるということだ。ここを押さえないと、矛盾が積み重なって話がまとまらなくなる。
理由も無しに常識を疑っても、ただの独断と偏見にしかならない。常識を疑うということは、前提になる条件をはっきりさせた上で異論を唱えることだ。理由なき反抗がカッコいいのは高校生までだ。大人になったら、裏付けを元に異論を唱えよう。
ただ、常識を疑うより、常識に安住した方が楽だ。回りと話しがぶつかることもないし、限られた環境下でなら安定できる。常識を疑うというのは、今までの安定を捨てることなので、相応にリスクが伴う。故に、誰でも簡単にできるというものでは無いと思う。
スキルの低い人に囲まれて勉強をしても、大してスキルは伸びない。努力も大事だが、今ある常識を壊していかないと、新しい概念を入れる隙間はできない。知識だけ増やしてもスキルは上がらない。新しい概念に納得してこそ、知識が活きたものになる。
スキルを伸ばしたければ常識を疑おう。昨日の自分と同じ考え方していても、見える世界は変わらない。
コメント
yu
いつも楽しく読んでます。
ちなみに10と50の最大公約数は10です。