いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

独断でITエンジニアを他の業種と比較する

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▪︎ITエンジニアの難易度

 ITエンジニアと言っても幅は広い。だが、あえて全部ひっくるめて考えてみる。ここでは、ITエンジニアとは、ITの技術が必要とされるエンジニアとしておく。まず、ITエンジニアになるためには、ITの技術を習得できるだけの知能が必要だ。

 では、ITの技術を習得できるだけの知能とはどの程度だろうか。世間一般には、パソコンの苦手な年配の方が多いので、比較的難しい部類のスキルとされている。実態は、難しいというより使いこなしてる人が少ないという方が合っていると思う。

 なので、実質的なスキルがかなり低くても、それを理解するだけの能力を持つ人が少ないのでプロを名乗ることはできる。名乗るのは簡単だが、まともに取り組むと高い能力が求められる。そういう業種だと思う。

▪︎いろいろな業種と比べる(独断で)

 個人的な意見だが、本当にスキルのあるエンジニアであれば、一般的なデスクワークなら問題なくこなせるはずだ。デスクワークの基本はデータ処理だ。これを効率よく行う為にソリューションを提供する。元の処理を理解できずにまともなソリューションを提供できるはずが無い。

 次に、現場は現場でも、工事現場の人と比べてみる。工事現場といってもかなりピンキリがある。確かに、末端の作業者であれば何も考える必要は無い。だが、親方レベルになると、問題解決能力、リーダーシップ、段取りの手際等、人をまとめる力など、高度なスキルが求められる。

 ITエンジニアといえば、世間一般では頭の良い人のやる業種と思われがちだ。だが、基礎的なデスクワークがこなせるスキルがなければ、見掛け倒しの仕事しかできない。また、世間一般には肉体労働と言われている業種でも、頭の良い人はたくさんいる。ITエンジニアだからといって、必ずしも優位な訳でもない。

▪︎自然を相手にする業種に勝てる気がしない

 日本のITエンジニアに決定的に欠ける要素。それは想像力だと思う。会社やお客さんから言われた通りに仕事をこなすので、自分で考える力が落ちている。計画不足でピンチになったら人海戦術。足りない部分は大人の事情でつじつま合わせ。これがIT業界の定石だ。

 会社や客の言う通りにやっていればお金がもらえる。そういう仕事なら、自分で考えずに仕事ができてしまう。仕事の内容に無茶は多いが、考えずに済む。結果として、思考力や観察力が退化してしまうのかもしれない。

 これが農業や漁業などの自然を相手にする業種では通じない。自分の目で観察して、自分の判断で問題を解決していくしかない。方法を間違えれば、ダイレクトに成果が減る。言われるままにやってればなんとかなるIT業界に比べ、相当シビアな世界だと思う。

 農業をやってる知り合いがいるが、そこいらのエンジニアより知的な話ができる。農業とはいっても、ものの見方が科学的だ。観察力、想像力、問題解決能力でITエンジニアに引けを取らない。なにより、彼らの判断力と行動力はすごい。これはIT系エンジニアでは太刀打ちできない。

◾︎比べる事の意味

 ITエンジニアといろいろな業種を比べてみたが、的を得ていない部分は多いと思う。コメント欄のツッコッミが楽しみだ。だが、比較する本当の意味は優劣を決めることではない。対象から学ぶべき要素を見出すためだ。

 優劣は収入にも直結するので、大いに関心があると思う。だが、視点を変えればそんなものはいくらでも覆る。優位に立てば慢心に浸る、劣れば卑屈になる。そんな事は無意味だ。比べることで自分が向かい合う課題を見つけよう。

 優位に立つために頑張る。それはそれで構わないが、目の前の問題が解決できなければ意味が無い。ITエンジニアは優劣を競う無益な競争に奔走しすぎだ。もっと他の業界の人と関わって多くを学ぶべきじゃないだろうか。

Comment(3)

コメント

仲澤@失業者

「タイトルにいちゃもんをつけてみる実験」

プログラマで大半の収入を得ていますが、釣りレポータの方も仕事(プロ)です。
実家の山は放ってありますが畑は手伝います。近々のイベントは茶摘みですね。
やむをえず日常的にいろんな仕事をしてます。

さて、職業に貴賤は無いと言いますが、肩書や所属はともかく、
実は賎ではないかという人はいますね。賎とは奴婢つまり奴隷のことです。

さて、本題。内容も、そんな感じに読めますし、このコラムの題名としては、
いつものように
「仕事に貴賤をつけてみる」
とかなんとかの方が良かったかもしれません(笑)。

ksiroi

>> ツッコッミ

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J (・v・Oh...

さておき。
哲学な話で、「何をもって比較とするか」の定義次第で習得できるものの意義が
変わってくる気もします。
富か、名声か。
量か、質か。
幸か、不幸か。
善か、独善か。

氏の仰るエンジニア大枠で比較するなら、
技術力か、思考力か。
言い換えるなら、「経験か、ひらめきか」って感じ。
他に比べるべく要素はない(エンジニア的には価値がない)気がする

そんなことよりヒモになりたい(物理的な意味で)

Anubis

> 仲澤 様

では、いちゃもんに対応する実技を始めますw

実のところ、職業で貴賎をつけているようでつけていない。
ただ、自然相手の仕事をしている人には敵わないと思う。

> 「仕事に貴賤をつけてみる」

実は最初はこれでいこうかと思っていた。私も丸くなったのかもしれないw

> ksiroi さん

> 定義次第で習得できるものの意義が変わってくる気もします。

正にそれなんですよね。統計を基に優劣をつけて並べても、
基準が変われば並べ替えが変わってしまいます。

>そんなことよりヒモになりたい(物理的な意味で)

許さん。己の望むものはその手で掴め。

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