AVを見よう。
■指先のたどる軌跡の先に広がる禁断のフィールド
「あ、・・・そこ。そう。いや、・・・・ダメ!」
夜のオフィスに上司と2人、妙な緊張感が張り詰める。ほのかに香る香水が無意味に心拍数を上げてくる。普段はきつい口調で隙のない上司が、誰もいなくなった途端に変に無防備になる。そんな無防備さに、ふと「女性」を感じてしまう……。
だといいのだが、実際に隣で一緒にディスプレイを覗きこむ上司はヤニ臭いおっさんだ。どのファイルが最新か分からなくなると、いつもこんな調子だ。フォルダの階層を辿らせて、いちいちセクシーな口調で「あ、・・・そこ。」と指示を出す。違うファイルを消そうとすると、ぼっそり声で「あ・・・、ダメ。」と囁く。
決して悪い人ではないのだが、音声だけ録音して繰り返し聞けば、一週間くらい断食できそうなレベルでキモい想像ができる。そんな上司と踏み入れたのは、間違えてファイルを消すと1カ月分の成果がぶっ飛んでしまう禁断のフィールドだ。
■溜まったらきちんと処理しよう!
おっさんと雁首並べてディスプレイとにらめっこしないためにも、普段からファイルの管理は徹底しておきたい。そこで1つ問いたいことがある。
みんな! 毎日AVみてるか♪
仕事をしているといろいろと溜まるものが溜まる。そういうのを日頃から処理するのは大事だ。そういうものを溜めっぱなしにしてると、いつか抑えきれなくなって暴走するのだ。
■そんなことでAVの話をしよう。
まず、AVとは何か。それは、Active な Version という意味だ。PC上のファイルでも、印刷した書類でも、有効なバージョンというのがある。実際に使われているドキュメントのバージョン、情報として有用性のあるバージョンをActive Version、つまりAVと呼んでいる(厳密に言うと、下ネタ大好きな某編集者のために、そう呼ぶことにしてみた)。
ただここで勘違いしてはいけない。最新版が常にアクティブとは限らない。最新版の中身を検証して、内容が正しいことが証明されて初めてアクティブになる。また、とっておく必要のあるファイルでも、保存場所が適切でなければ情報を見つけることができない。知りたいときに情報が閲覧できなければ、そのドキュメントはアクティブとは言えない。
■情報の有効活用のために
こういうドキュメントの管理に苦労している現場は多いと思う。大概は過去履歴を綿密に保存したり、ファイル名に日付を入れる等の工夫をしている。ただ、これをやってドキュメントが有効活用されているのを見たことがない。
そもそも、このやり方ではドキュメントを管理する基本が抜けている。ドキュメントを管理する上で一番重要なこと。それは、
管理する対象のドキュメントをよく読め。
これに尽きる。
PCの保存容量はこの10年で飛躍的に増えた。とっておこうと思えばいくらでもファイルが保存できる。故に、迷ったらとりあえず保存をしてしまう。しかし、大量に保存されたファイルに、有用な情報が埋もれてしまう。印刷物でも、机に積み重ねていたら同じ現象が起きる。
ドキュメントは何回も読み込もう。今後とっておく価値があるかどうかは、内容を吟味しないと判断がつかないはずだ。ドキュメントを作成するフローと同じくらい、ドキュメントを削除するフローも大事だ。不要なものを見極める判断力と、削除する行動力。これは鍛える余地がまだまだありそうだ。