理由は明確だ。だが解せぬ!
■プロジェクトの失敗の理由なんて簡単だ
よくプロジェクトが失敗すると理由云々という話しが出る。Webで情報をあさっていても、プロジェクトの失敗を避ける方法、プロジェクトを効率よく回す方法等のノウハウがよく引っかかる。
ただ、ここまで根詰めなくてもプロジェクトが失敗する理由はもっとシンプルだ。圧倒的時間不足、圧倒的予算不足、圧倒的スキル不足、圧倒的客の理解不足。根本的にすべてが足りていないのだ。うまく行くはずがない。
■できないものはできない
土台が歪んでいるところに高い建物は建てられない。同じように、全てが不足しているプロジェクトで確固たる成果をあげることはできない。早い話しが諦めろということだ。諦めるというと、すごく後ろ向きなイメージがつきまとう。会社で言ったら確実にクビが飛ぶだろう。
ここで言う諦めろとは、圧倒的に全てが足りない状況で自分の望む成果を得ることを諦めろということだ。コレをしないと、今有るものでどれだけの成果を出せるかを検討できない。目標を持つのはいいが、目標が幻想になっていないだろうか。幻想を抱いて仕事をして結果がでるだろうか。出る訳がない。
■現実はビジネス程甘くない
ビジネスにおいて仕事の目的はお金を得ることだ。ここで大半の人が勘違いするのは、お金に対して執着することがビジネスではない。お金に対してプランを立てるのがビジネスだ。
お金に執着し過ぎると感情に振り回されてしまう。これが行過ぎると、現状に見合わない利益を求めるようになる。そんな状態で、すべてが足りていないという現状を受け入れることができるだろうか。心境的に無理だ。心境的に無理なので理論をねじ曲げる。こうなると何を言っても無駄だ。思考がストップするので、自分に都合のいい話ししか聞かなくなってしまう。
■理論の正しさより必要なもの
人間は意外と頭がいい。三歳児でもキチンと筋道立てて説明すると理解する。理解を妨げるのはたいがい感情だ。特に欲望、願望が絡むととたんに思考がストップする。ただ、思考がストップしても本人は気づかない。そこが厄介だ。
プロジェクトのうまくいかない理由は、たいてい自分の解せないところにある。また、筋道立てて話しを進めると実現不能という結論に至ることもある。そこを否定することで現代のビジネスは成り立っている。
だからどうこうするという話しではない。どうこうする前に、自分の感情を制御する術が必要なのだ。理論に長けたエンジニアは多い。しかし、感情の制御に長けたエンジニアは多いだろうか?
理論と感情が一致しないと本当の意味で動けない。感情的に受け入れられるものが少なければ、即、行動の選択肢の幅がせばまる。この危険さを気づいているエンジニアはどのくらいいるのだろうか。感情については、もっと別の角度から検討されてもいい課題だと思う。