エンジニアとはウニと見つけたり。
■皿に盛られし姿に思う
まな板の上にあっても微動だにせぬ様は、正に納期を終えたエンジニアのようだ。(死にたて新鮮)ほのかに黄色味を帯びた一身に、凝縮された旨み。(人の不幸は蜜の味)正にこれぞ海の幸と誉高い逸品だ。(コレが花形産業だと!?)
コンベアーに乗って流れてくるウニを見て、我が身を思う。皿と言う名の企業の上で、社会という名のコンベアーに運ばれているのだなぁと。命を運ぶと書いて運命と読む。なんだか、意味深げでは無いだろうか。正にコンベアーに運ばれている。ただし、寿司になったウニは既に死んでいるが。
■ウニのその生き様に学ぶ
ウニ(海胆)とは、ウニ綱に属する棘皮動物の総称だ。海に胆と書いて海胆だ。Wikipediaによれば、加工された食品になると、「雲丹」になるとのことだ。雲に丹念の丹。今、クラウドが注目される中、丹念にその技術を固めていくエンジニア。技術が確立して、エンジニアが不要になったら(役目として死んだら)、正に「雲丹」(クラウドに丹念だった人)ということか。なんとも意深い。
そんなウニも、生まれた時はプルテウス幼生という小さなプランクトンだ。成長するにしたがい、海を漂う事をやめ、地に足を付けて暮らすようになる。エンジニアも、駆け出しの時はあれやこれやと、面白そうなものを探して彷徨う。そして、コレと言うもの見つけたら、ひたすら掘り下げて行く。正にエンジニアの様な生き様と言わざるを得ない。
■ウニをもってエンジニアを体現する
そして、エンジニアたるもの、ウニの如くあれ。死して「雲丹」と呼ばれるなかれ。ウニの如くあれとはどういう事か。
- 外は固くあれ。いかなる障害にも負けるな。
- 中は柔らかくあれ。思考はいつも柔軟に。
- 針の如く鋭く。いつまでも時代に尖り続けろ!
エンジニアの作るシステムは固くなくてはいけない。曖昧さを排除した理論的な固さ、技術基盤の固さ、障害に対しての固さ、そういう固さを求められる。それを実現するには、柔軟な思考、仕様変更に強い柔軟な構造、そしてなにより、人にやさしいシステムでなくてはいけない。そういう柔らかさが必要だ。
一見矛盾する、固さと柔らかさ。コレを実現するには、常に尖り続ける必要がある。固い物質を薄くして研ぐと、脆くなる。しかし、この矛盾した固さと脆さをを兼ね備えることが、鋭さというものだ。鋭くあることで、物を切ることができる。エンジニアとは、尖り続けることで時代を切り開いて行くべきだ。
■そんなエンジニアを食い物にするな!
ただ、技術や情熱だけで世界は動かない。ウニの柔らかいところを美味しく頂くように、エンジニアの弱いところをついて、お金儲けでウハウハしてる人がいるのも事実だ。世のエンジニアを食い物にして美味しい思いをしているのだ。
エンジニアもやはり、活き活きとしてないと、成果をが落ちる。同様にウニも鮮度が落ちるとその価値も下がる。最近、美味しいからと言ってウニを乱獲したり、自分たちの都合で海を汚している。寿司屋のウニを見ても、安く買い叩かれたしなびた雲丹が出てくる。これではいけない。
海を汚すのも偉い人のエゴ。エンジニアをこき使うのも偉い人のエゴ。人の欲望が絡みあっているので、そんなに簡単に解決はしないだろう。しかし、絡み合った欲望を解きほぐして欲しい。エンジニアが活き活きとできる世の中になって欲しい。
ウニは海に住む。エンジニアは何かを生み出す。偉い人は、膿を出してすっきりして欲しいものだ。