いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

学生よ、これが勉強だ!

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■何か熱くさせるものがない

 電車の中で学生を見ていて思う。いや、最近の若いものは……とかではない。自分が学生の頃もそうだったと思う。漠然と勉強してる人が多すぎる。日常を面白おかしく過ごすことしか考えていない。

 巷では、やれ何処の学校に行った、偏差値がどうこうとよく聞く。しかし、実際に大学生のキャンパスなんかに行くと、勉強より遊びに夢中な人が多い。青春を謳歌するのを否定はしないが、たるみ過ぎて気が抜ける。受験戦争の反動だろうか。

 もちろん、変な人が目立つというのはあると思う。しかし、そこを差し引いても日本の教育で人は育たない。何も考えずに大学や専門学校に行っても、プライドだけが肥太り、荒ぶるだけの人が野に放たれている。

■あくまで人として

 学校は人を育てるということを考えているのだろうか。ここら辺は、人それぞれ思うことがあると思う。現状を見る限りでは、育てられるような状況ではない。そして、人を育てるという目標は達成できていない。個人的にはそう考えている。

 今の教育に何が抜けているのか。例えば、それは礼儀であったり、困難に直面した時の振る舞い方、あわよくば高い精神性。そういうものを教え、身につけさせないと、本人にも社会にもメリットはない。本人や社会にメリットがなければ、教育自体に価値はない。

 どの教育機関も、本人や社会にメリットうんぬんとスローガンとしては挙げてはいるが、やっているのは教育でなく選別だ。優れている人間を選別しているだけで、人を育てているわけではない。

■学び直せ!

 ありきたりだが、今の教育は間違えている。それが私の結論だ。ただし、何が間違えているのか。そういう話をしたいわけではない。間違えた後にどうするかだ。間違えたなら正しい努力で身につけた力で乗り越えればいい。そして、正しい努力のやりかたを広めていけばそれでいい。

 学ぶことに遅いということはない。社会に出てからでも学び直せばいい。現代の教育では、学ぶことの楽しさを伝えられていない。おいしいものを食べて嬉しい、綺麗な女の子と一緒にいて楽しい、高い服を着て得意になる。そういう楽しさとは次元が違う楽しさを知らない人が多い。

 例えば、誰かの役に立ったり、自分の成長が実感できたり、はっと閃いたり。そういう喜びは、何かしら努力したり、学んだりしなければ得ることが難しい。誰しも独学でそういう喜びを感じる境地に到達できる訳ではない。だから教育が必要なのだ。

■崇高なるマゾヒスト

 学ぶということは時に苦しみを伴う。教える立場といえど、力量が足りなければ精神的にダメージを被ることもある。学ぶ、教えるというどちらにも共通するのは、わざわざ困難の中に突っ込んで行かなくてはいけない。そういう要素がある。

 困難にわざわざぶち当たりに行く。どう見てもただのマゾヒストだ。しかし、困難を乗り越えるというのは、乗り越えた者でしか理解できない快感がある。IT系の業務で、技術的に優れた人を見ていると思う。業務時間外でも、専門書を買いあさったり、勉強会に参加したり。仕事もしんどいうえに、更に頑張ってる。そこまで勉強というのは楽しいものだ。

 最近、うちの会社にも新卒の新人君がいる。ちょろっと本を読んで勉強した気になっている。まだぬるい。学校で何をやってきたんだ。専門書は分かるまで何度も読むものだ。2時間集中して、本に穴が空くくらいの勢いで読め! 何かが一線を越えた時、違う世界が見えてくる。それが勉強の本当の面白さだと思う。

 今の学生、いや、自分たちが学生の頃もだが、そのくらい学ぶことに熱中できただろうか。学生たちはストイックに学ぶことの楽しさを知らない。そんな彼らに伝えたい一言がある。

 「学生よ、これが勉強だ!」

Comment(9)

コメント

アラファイブ

IT系の業務で、困難を乗り越えて得た結果はおうおうにして
自他共に認めるトンチ話になってしまったり、落とし話になって
しまったりしませんか?

困難を乗り越えて建造物を作り上げたとか、収益を得たとか
の様な誇らしさにつながらないのが困った所です。
(IT系でも上の人なら、収支に責任を持つので、クリアされるの
でしょうけど、今回の話題は多分そういう話では無いと思います
ので。)

(実際大変なのは事実なので)
ストイックさを求めるのも必要ですが、結果を“くだらない”と
素人に言わせないケレン味みたいなものも必要なのでしょうね。
(わざに名前を付けるとか、まぁそれはパターンですが。。。)

Anubis

> アラファイブ さん

>IT系の業務で、困難を乗り越えて得た結果はおうおうにして
>自他共に認めるトンチ話になってしまったり、落とし話になって
>しまったりしませんか?

今回のコラムはIT系の業務の話ではありません。勉強についての話です。
質問の意味が全く読めません。

申し訳ございませんが、コメントの内容もよく分かりません。

アラファイブ

Anubisさん、すいません。
自分は「勉強」とか聞くと、「業務中に自分や後輩がやる」もの
だと短絡してますので、ついそう言ってしまいました。

勉強の話です。

さて、自分の振りは自分では判りませんが、後輩とかが(業務中に(くどい!))
判らない事を本やWebやらで勉強している時のを瞥見するに、なにが一番ひっかかり、
何で数年で止めてしまうかというと、自分のやった事、周りの年寄りのやった事、
***何もかもくだらない***としてしまうせいだと思います。

もちろんくだらなく無さを見つけた人は止めないですが、それは、たとえば、
“次世代の新技術がもしあった場合、それを主導する権利を得た”時とか、
“他人に指示を出せる立場になった”時とか、
(本当に言う)勉強とはかけ離れた物を得た時に限られてしまう気がするのです。

残念ですが。

で、勉強の話ですが、
古株の人間なら心臓に毛が生えているかも知れないですが、初心者が自分がやって
居る事がくだらないとなったら、やる気が確実に失せます。

しかしながら、確かにIT系の努力の結果は、見栄えのするものでは有りません。
なので、勉強の尊さを説くのは大切でしょうけど、IT系で、その勉強の結果に
なにが有るのか(金銭、名誉以外で)については、すこし高をくくってもらう
(あまり期待しないでもらう)のも大切かと思った次第です。

心の底から、IT系の勉強をしてくれる人が増える事を、自分も願っています。

アラファイブ

Anubisさん、すいません。
もう1つ言わせて下さい。

現在、国とかにお金が無くて、学術の振興どころでは無いのに、
イノベーションは死活的に必要とされていると思います。

その結果どうなるかというと、100人の村で10人行方不明になるので
は無く、10000人の村で9999人行方不明になるような
(アニメやゲームでたとえるなら、ホロやぬしさまの時代の学生や、
ナギ節を志して放浪の旅にでるNPCとか)勉強とは本当に一発当てる
か死すかを考えないと済まなくなる時代になるのではと思っています。

しては欲しいですが、結果も考えて欲しいというのはそこにも
理由が有ります。

Anubis

>アラファイブ さん

コメントありがとうございます。読ませていただいたところ、

・業務における勉強
・勉強に対する成果

これらについて意見を聞きたい。という趣旨だと大まかにとりました。

このコラムの趣旨に合う形で返答させていただきます。

まず、勉強する上で「これをしたら~が得られる」という発想では、当然モチベーションは持たないと思います。何かを追求すること、それ自体の楽しさを実感すべきだと思います。

個人的には、別にITの勉強じゃなくてもいいと思ってます。やりたいものを学べばいい。学ぶことの楽しささえ理解できていれば、ITの必要性を感じたときに全力で勉強するでしょう。

詳細を語れば一本コラムが書きあがります。
このテーマについては、違う角度からまた書いてみたいと思います。

気まぐれ添削

最後(タイトル)の、

>「学生よ、これが勉強だ!」

がとても伝わりにくい内容でした。
おそらく「これ」は「何かが一線を越えた時、違う世界が見えてくる。」を指しているのですよね?
そうなると、


>それが勉強の本当の面白さだと思う。
> 今の学生、いや、自分たちが学生の頃もだが、そのくらい学ぶことに熱中できただろうか。学生たちはストイックに学ぶことの楽しさを知らない。そんな彼らに伝えたい一言がある。

あたりが不要です。
タイトルをラストに持ってきてカッコつけたいのは分かりますが、
もう少し推敲しましょう。



内容自体は支持します。
ただ、私の中では「勉強」というより「学問」を指してる気がしました。
勉強は「強いられて勉める」程度のもので、このコラムで言われる勉強は「学び、問う」以上のことを言ってますよねw

Anubis

>気まぐれ添削 さん

Yes。大いにカッコつけてます!むしろそこも追及しています。

細かい言葉については、人により受け取り方は違います。
勉強の件についてはご指摘の内容を理解した上で使用してます。

"マゾヒスト"、つまり、強いられてなお楽しめる、ネガティブさを覆すというのがポイントです。学問という言葉は、言葉としては的確だが、ネガティブな印象が表現できないと判断したので、あえて”勉強”という言葉を使いました。

…ただし、表現として成功したか失敗したか。そこは何とも言えません。


コラムは論文ではなく、作詞のスタンスで書いています。これは作風なのでご理解願います。

PDP-11

「スキ」なもののためなら、英文マニュアル31冊読破できました(2年かかりましたが)。
自由自在に操れるようになる=繋ぐためには英会話必須でしたが、元々Rock-Ageなので英会話も楽しかった(さらに4年)!

ですが、回りからは「遊んでる」ようにしか見られない感じでした。

「勉強」という感覚に対してネガティブなのは本人。
だけど会社員って「楽しそう」だと「勉強」とは見てくれないんですよね・・・

今は「博士達」と勉強を楽しんでおります。
ウンを掴むためにというより、トモダチを沢山作ってください。
そうして生まれたインターネットだと思います。

Anubis

>PDP-11 さん

確かに。本当に努力してる人でも、それっぽく見えないことは多いですね。

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