いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

“心を鬼にして”のつもりが、正真正銘の鬼になってしまっている件について

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■こんな厳しい世の中だから

 ここのところ、世の中はどんどん厳しくなる。リーマンショックや大地震などの試練がやってくる。もしかしたら、ギリシャのように日本がひっくりかえるくらいの大事件があるかもしれない。生きていくだけでも大変な時代だ。

 こういう厳しい世の中だから、生きていくのに厳しさが必要だ。そう心に決めて、心を鬼にして頑張っている人もいるだろう。しかしどうも、世の中が厳しくなるにつれ、本物の鬼も増えた気がする。そりゃそうです。心を人間の本質だと考えれば、それを鬼にしたら正真正銘の鬼だ。しかも、外面天使で中身は鬼となったらなおさらたちが悪い。

■鬼が増える背景

 厳しさには、人の成長を促す働きがある。同時に、人に恐怖やストレスを与えることもある。厳しさといっても、良さと悪さが表裏一体で存在する。要は裏表の出し方が問題なのだ。間違ったことをしたらどうなるか、そういう恐怖はきちんと伝えるべきだ。人の痛みが分るためには、ある程度のストレスを受けとめる強さが必要になる。なので、私は厳しさ自体を否定はしない。

 問題なのは厳しさの持ち方だ。厳しさを持つなら、同時に、相手の成長もきちんと考えることが必要だ。世の中に正真正銘の鬼が増えるのは、自分が生き残るために厳しさを持つ人が増えたからだ。

■そして気付けば鬼だった

 厳しさを持つのは難しい。自分より弱い人に厳しくするのは簡単だが、強い人に厳しく当たれるか? 現代人の大半はNoと答えるだろう。つまり、厳しさを正しく行使できる基盤がない。そんな人が厳しさを行使すれば、必ず偏る。

 実際はそこまで深く考えずに、人を押しのけるために心を鬼にしてるんじゃないだろうか。子供の頃からの受験しかり、部署内の成績取得しかり、競争中心の世の中なのでそういう要素を無意識のうちに身に付けてしまう。

 さらに、お金が欲しい、地位が欲しいといった誘惑に流されると、競争に拍車がかかる。そうすると、多くの人を押しのけてきたような人の方が称賛されてしまったりもする。芸能界なんかまさにそんな感じだ。

■ま、そんな鬼でも仲良くしようや

 IT業界にデスマーチがあるのは、心を鬼にした正真正銘の鬼みたいな人がたくさんいるからだ。誰もがこういうヤツらを駆除したいと思うだろう。しかし、正真正銘の鬼というだけあって、勢いが乗ってて強い。なかなか駆除できない。

 現代社会にいる以上、わたる世間は鬼ばかりだと思う。ある意味、仕方ない。最も大事なのは、自分が鬼にならないことだ。あわよく弱い人にも強い人にも平等に厳しさを持てる人になることだろう。

 そしてもう1つ。相手が正真正銘の鬼だろうと、地に足がついていれば理不尽な厳しさも自分の糧にできる。そうやって大成してる人だっている。結局、目の前にいるヤツを駆除しようとしたり、押しのけようとすると自分も鬼になるようだ。そこんとこ気を付けていきたい。

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