いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

お客さまは神さまです!

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 某有名演歌歌手がいった言葉だったっけ。

 いつのまにやら、客商売してる人に広がっていって、ついには、IT系業務をしていても聞くほどになった。どっかの誰かがいっていたなぁ。これは客ではなく、商売する側のいう言葉だって。今回は、この言葉をいろんな角度から検証してみたい。

■お客さまは死神です!

 お客さまは仕様変更が重なると、神は神でも死神になります。まるで大自然の気まぐれのような意志決定1つで、こちらはたちまちデスマーチに突入します。

 こちらが生かされるも殺されるも、その手にゆだねられている。まさに死神といえるのではないだろうか。こうなると、お客さまは恐怖の対象だ。恐怖の元に信頼は生まれることはない。ただ殺伐とした関係が続くだろう。

■お客さまは紙です

 年配の重役方は会議が好きだ。会議の場には、現場の方が血と汗を流して売り上げた結果が書類にまとまっている。そう、重役方は直接、お客さまと目を合わすことがないのだ。紙に書かれている数字。これが彼らにとっての“お客さま”だ。

 実際には顔も合わせることも、言葉を交わすこともない。まさにお客さまを「紙に書かれたデータ」としてしか認識していないのだ。こうなると、お客さまはゲームのキャラクターだ。そんな扱いで誠意は生まれることはない。かけ引きみたいな関係が続くだろう。

■結局、お客さまは人間です

 お客さまを生物学的に見れば、まちがいなく人間です。動物と取引している人はいない(悪魔と取引してそうな人はたまにいるけど……)。双方がこの認識に立つと、一番自然だろう。子供でも理解できる事実で、間違いがない。

 まさにお客さまを1人の人間として認識するのだ。こうすれば、お客さまは理解できる対象になる。お互いに思いやり、譲り合うことで信頼を生みだせる。お互い利益を生み出せる関係になれるだろう。

■しかし、あえていおう。お客さまは「神さま」です

 ※ここで、「神とは何か」を1から語る気はないので、持論でいかせていただきます。仮に神がいたとして、人に恩恵を与えはしないだろう。神はいたずらに欲望をかなえるのではなく、試練を与えてくれる。こちらも一時的に苦しくはなっても、乗りこえることで成長できる。結果、自力で幸せになれる。

 まさにこのような意味で、お客さまを「神さま」として考えるのだ。よきも悪きも“与えられたもの”。こうすれば、お客さまは自分の成長の糧だ。理不尽なことをいわれても、自分に与えられた試練と受け取って、淡々と乗りこえることができる。自分が成長できる関係になれるだろう。

■何も結果を1つに絞る必要はない

 個人的な見解だが、どうもIT系の人は答えを1つに絞りたがる傾向がある。角度を変えるだけで、いろいろな見方ができる。“お客さまは神さまです”この言葉1つとってみても、これだけの受け取り方ができる。それぞれの立場や条件の数だけ、ものの見方があるのではないでしょうか。

 自分の持つ答えに固執せず、いろいろな方面から見ることで解決できる物事もあるはずです。

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