おまえはもう、死んでいる
タイトルは、某漫画の主人公の決めぜりふです(一度でいいから、こういうところでいってみたかった)。
ある職場で仕事をしていて、不意にこのせりふが頭をよぎったことがある。
しかし、某漫画のようにかっこいい場面ではなく、もっとリアルで生々しい場面だった。そのときの話をしよう。
■大量のモヒカン出現!
とある現場にわたしが着任したときのことだ。新しい席に座り、パソコンを立ち上げる。ファイルサーバの中をみると、意味不明な資料がわんさか。これはいったい何なんだ!
わたしは打ちひしがれた。直属の上司に話を聞くと、難しい話が続いた。いいたいことがまったく分からん。得意そうに説明する上司だが、説明を受けているというより、捕まって尋問を受けている気分だ。自分に理解力が足りないのか? 卑屈な気持ちがわき上がり、さらに打ちひしがれる。
こうなると、不本意ながら、上司が悪の親玉に見えてしまう。プロジェクトの人数は決して多くはなかったが、悪のモヒカン軍団に囲まれた気分だった。
■そして、俺は荒野に舞い戻る!
毎日、仕事がゆうつつだった。過度の残業が続き、疲労もピークだ。あぁ、この職場に救いはないのか? そんな暗い気持ちで年末の休みを迎えた。
しかし、転機は訪れた。新年が明けて初出勤の日のことだ。1つの閃きが、不安を吹き飛ばし、わたしを奮い立たせた。たった1つのひらめきで、ここまで人間変わるものだろうか? 気分はもう、無敵の拳法家だ! 邪魔する人は、指先1つでダウンできそうなくらいに、強気な自分がそこにいた。
俺は、この荒野(仕事場)に再び舞い戻ったぞ!!
■おまえの経絡秘功をついた!
1つ確信を得ると、人は強くなる。そして、眠っていた能力が目覚めたりする。理解できるんです。あの意味不明な資料の中身が。上司に何をいわれようと、しゅく然と思考はまわり続け、次に何をいうかまでもが読めたりもした。
まさに、プロジェクトの経絡秘功を突いた感覚があった。そして、一通りすべての資料を理解した時に、あのせりふが頭によぎった。
「おまえはもう、死んでいる!」
■しかし、実際死んでいたのはわたしだった
ところで、正月明けにわたしが何にひらめいたのか? そう、“上司のいってることが間違いなんだ!”と気付いたのだ。そのため、技術的に致命的な間違いを犯していた。
このプロジェクトに来た時点で、それはもう、取り返しのつかない状態だった。そう、わたしはもう、死んでいた。
そんなことで結局、体調を崩す兆候が出たので早々にこの現場を去る羽目になった。風の噂ではこのプロジェクト、大炎上したあげくに大赤字を叩き出したそうだ……。
■そして俺は、また立ちあがる!
某漫画のように、悪党をなぎ倒してハッピーエンドで終わるほど、現実は甘くなかった。そしてかっこよくなかった。本当にぼろぞうきんのようなものでした。
しかし、淡々と困難に向かい続けていれば必ず何かを見いだせる。どんな窮地に陥っていても、意外となんとかなったりするものだ。どうもそこだけは漫画と同じようだ。
IT業界に入って以来、毎日がうちひしがれては立ち上がりの繰り返しだ。某漫画の主人公見たいな、どんな障害にも徒手空拳で向かっていける強い精神力が欲しいものだ。今日も淡々とがんばっていこう!