本籍って何だ
先日、日本に出張のため、1週間ほど帰国しました。今回は東京に用事があったのですが、用事が早く終ったので、ついでに大阪に帰省してきました。さらにそのついでに、ちょうど免許の更新の時期が近づいていたこともあり、実際の更新時期より少し早いのですが、自動車運転免許試験場で更新してきました。
実は、海外に住む日本人がいつも困るのが、この「日本の免許更新」なんです。海外に住んでいる期間中、ちょうどタイミングよく、免許の更新の期間(5年に一度来る、誕生日の前後1カ月)に帰国できれば、通常どおりに更新できて一番都合がいいのでしょうが、普通はそうはうまくいきません。結局、いろいろと例外的な方法で更新処理を行うことになります。
過去に長く海外に住んだ経験のあるわたしがいまままでやっていた方法は、「海外に住んでいる間は日本の免許のことはまったく気にせず、失効するに任せる」というやり方でした。それで普通は問題ないのです。というのは、海外に住んでいた期間に免許を失効させた人は、特例として認められる失効免許に関する特別な更新手続きがあるからです。
ところが、前回の更新時はそれで苦労しました。当時、海外居住期間が5年と長かったので、「失効期間が3年を超えた免許の更新」をすることになってしまいました。失効の期間が長いと、やはり簡単には免許を更新させてもらえないのです。結局、学科試験を受けないと免許を取り戻せないことになってしまいました。
そしてその学科の試験、一度目の学科試験で落ち、もう一度勉強しなおして受けた二度目の学科試験で何とか合格する、というありさまでした。ちなみにこれは神奈川県の話です。ほかの都道府県では、わたしみたいな人を救済してくれる別の仕組みがあるのかもしれません。
上記のような経験をしたわたしは、二度とそういう苦労をしないようにと、今回は更新期間前の更新を行うことにしました。更新は実にあっけなくできたので良かったのですが、そのときに思ったことを少し書いてみたいと思います。
今回、新しく作ってもらった免許証上の記載で、「本籍」欄が空欄になっていました。何でも、免許証がICカード化されて、免許証内に埋め込まれたICチップ内に本籍などの情報が記録されているので、個人情報上いろいろと問題が多い本籍を表示させておく必要がなくなったということのようです。そこで思ったのが、「住所は個人情報じゃないの?」「生年月日は?」。個人情報上の問題があるなら、これらもすべて消し去って、例えば写真と名前だけを表示するとかでもいいのではないでしょうか?
多分、過去にいろいろと問題があったので、本籍は隠すということなのでしょう。しかし、実はわたしの本籍は、わたしが生まれた家、つまり実家とはまったく違うところにあります。結婚して最初に住んだ神奈川県の伊勢原市に本籍を置いているのですが、そこには2年ぐらいしか住んでいないので、いまでは自分の本籍を思い出せなくなっているぐらいです。
海外に住んでいると時々、本籍地を書く必要があります。例えば、海外の日本大使館で可能なパスポートの更新時などです。いままでは、日本の免許証に書かれている本籍地が頼りだったのですが、それがなくなってしまって困ったことになりました。
そこで考えたのですが、この戸籍。いったい何のためにあるのでしょう。インターネットで調べると、どうも日本の住所であれば、どこにしてもいいそうです。実際、皇居の住所などに設定しても法的に問題はないそうです。昔はたぶん、大いに意味があったものなのでしょう。しかし、現在はほぼその存在意味をなくした「個人情報」ということみたいです。
結婚までは両親の戸籍に属し、結婚して自分で独立した戸籍を持つようになったとします。新しい戸籍には、両親の戸籍へのリンク情報があるようですので、調べれば個人の出生地を突き止められるという意味で、立派な日本国民のための出生データベースなのでしょう。特に、戸籍の管理は市や区に任されているので、現代的にいえば、立派な分散データベースなのかもしれません。
しかし、コンピュータがここまで発達し、生活の隅々まで浸透した現代。いつまで昔に作られたシステムを維持していく必要があるのでしょう。米国のSocial Security NumberやシンガポールのNRIC(National Registration Identity Card)などのように、国民1人ひとりにユニークな番号を割り当て、行政サービスを受けるときは、その番号を使うような仕組みを作れないのでしょうか? 実現できれば、「消えた年金」問題などがなくなるうえ、銀行口座の名寄せ処理などが不要になって脱税の検出能率がアップなど、はかりしれないメリットがあると思うのです。
ところで今回、免許証がICカード化したということで、パスワードの設定を求められました。ここでも思ったのが、なぜパスワードなのかということ。頻繁に使う銀行のATMカードのPIN Numberやインターネット上の何かのサービスに使うパスワードの類なら、頻繁に入力を求められるだけに、覚えておくこともできるでしょう。しかし、免許証のパスワード。パスワードが必要なときに、どれだけの人が思い出せるのか、非常に疑問です。
ちなみに、わたしがいま持っているシンガポールのPR(永住権)のカードはバイオ認証です。つまり、指紋で本人確認をする仕組みになっています。ハイテク日本ですから、同じことをできないわけは絶対ないわけで、本当にによく分かりません。
コメント
山田修一
自分では何も調べず「本籍って何だ」でこの内容はオソマツすぎる。
持論でも結論を出さず書きたい事を書くような幼稚なものは、このようなコラムに記述すべではない。
ググる程度の調査ぐらいして書きなさい。(2ちゃんならggks扱いの内容です)
・運転免許証の本籍欄について
空欄なのは出身地によって部落差別への配慮で、
形式変更中のため本籍欄が空欄で、将来本籍欄事体も無くなる予定らしいです。
・指紋認証について
数本の指紋を登録するのでしょうが、怪我・やけどによって認証できなくなる事を考えてませんね。シンガポールのように近代化が進んでいて小さな国土なら新しい技術を取り入れ新しいシステムに移行できるでしょうが、日本では新しいシステムに移行するにはそれなりの経費が必要です。また、指紋捺印のようで反対意見もあるかも知れません。
上記のような事を考えず。自分周辺がこうだから同様にすべきという狭義の見解しか持たない内容がコラムとしてふさわしいですか?
この内容を採用したスタッフも問題があるようですね。
木下誠
「本籍って何だ」ってなんだ?と言いたくなります。
要するに、「面倒臭いから本籍に関するシステムや法律を変えろ」としか捉える事ができません。
こんな、くだらないお粗末なコラムを読んだのは初めてです。
編集部様へ
「※このコラムはコラムニストにより投稿されたものです。
@IT自分戦略研究所 編集部の見解・意向を示すものではありません。」とはいえ、もっとしっかり内容の事前チェックをお願いします。
山本
山田さん。私の意見のどこがおそまつなのでしょうか。私は専門家ではありません。専門家でない普通の人が意見を言うことを、否定していたら。民主主義はなりたちません。私は、調べた結果、今では本籍が実質的に意味のないものだと知り。こういう『素朴』な意見を書きました。さらに、部落差別云々はもちろん分かってます。編集部が、私の原文に手をいれて、その表現を省いて、やわらかい表現に修正したようです。なお、パスワードによる認証の意味は本当に意味不明です。こういう無駄な(『無駄』ではありません)ことに、国民の税金を使うことに、国民はもっと声を上げるべきです。指紋押捺を犯罪者と結びつける考えが日本人にあるから、しかたなくあきらめたのだろうということも推定しますが、それだからパスワードというのはあまりに安易です。なお、たぶん、指紋認証のシステムにするも、パスワードにするも、それほど費用に差はなかったものと推定します。
ところで、山田さんと木下さんは、パスワードを使うシステムを作った、ベンダーで、そのおかげで、おいしい思いをした人かと、思ったりします。間違ってたら、すいません。
最後に、『面倒くさいから』、どこがいけないのでしょうか?面倒くさいことを、なくすためにITがあることを忘れないでください。我々はそれでユーザから感謝され、お金をいただいているのです。
山本
読み直して、書き足らないことがあったので。少し追加します。
具体的に反論します。
本籍で部落差別云々については、今では本籍自体を自分で勝手に変更することができること。および、仮に、差別があるなら、それは免許証を見てではなく、入社書類を見るか、戸籍謄本を取り寄せるなどして行われるでしょう。
指紋認証が『怪我やけど』出来なくなる。ということに対して。パスワードを忘れるほうが、はるかに頻度が多いと、思います。
mola
> 国民1人ひとりにユニークな番号を割り当て、行政サービスを受けるときは、その番号を使うような仕組みを作れないのでしょうか?
しばしニュースにも登場するキーワード「国民総背番号制」で検索すると分かりますが、1960年代から議論されつつ実現しない理由は技術的な問題ではありません。
あと本籍は変更できますが、出生から現在までの履歴は残りますのでトレースは可能です。自分の親を亡くした際にはこのトレース作業が必要となりますので、経験のある方はご存じでしょう。