進化するWebやスマートフォンの楽しい未来を技術視点で考えます

スマートでないスマートフォン市場でWindows Phoneはどうなる?

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 みなさんこんにちわ。佐藤環(サトウ タマキ)です。

 今日はスマホでもいまいち存在感のないWindows Phoneについてです。

 2015年度には2000万台を突破し、携帯市場で50%を超えると予測されているスマートフォン市場。

 iPhone、Android、BlackBerry、Windows Phone、NOKIAなど、さまざまなメーカーが参入し、スマートフォンならではのWebサービスとの連係も加わり、ユーザーも便利になる一方、どのメーカー(OS)のデバイスを購入すればいいか迷うところでしょう。

 現状の国内市場は、iPhone or Androidがほとんどで各メーカー、ソフトハウスも他社との差別化を図り、早くもフィーチャーフォンと同じくガラパゴス化が懸念されております。

 まずはOS別に現在の市場シェアを確認します。
Smartphone_gartner_20110519

(調査:Gartner 2011年5月19日)

 上記の通り、Androidを除き世界ではフィーチャーフォンの流れを引き継ぎまだまだSymbianOSが多くのシェアを持っています(先日の発表で第3四半期決算を発表し、売上高は89億8000万ユーロで前年同期比13%減少、純損失は6800万ユーロ、希薄化後の1株当たり損失は0.02ユーロとかなり落としてましたが)。

 しかしながら、米国のIT調査会社であるIDCが2011年6月9日に発表した予測によると2015年のスマートフォンOS市場は、Androidが43.8%のシェアで首位を占め、Windows Phoneが20.3%、iOSが16.9%で続くと予想しています。

 現状の国内ではほぼAndroidかiPhone、加えて若干のBlackBerry、WindowsMobileユーザーになっています。

 そんな中でエンジニアはどのような戦略をもって技術習得への道筋を立てていくか。

 そもそも技術は、目的のための手段が前提です。

 ということを踏まえると、各OSを搭載した端末が今後どのように成長し、買われていくかが重要になってきますが、iOS、Androidについて扱っている記事は多いのでWindows Phoneについて考えてみたいと思います。

 ちょっと前に、Windows Phone 7の最新バージョン「Windows Phone 7.5 Mango」を搭載した、日本初の日本初Windows Phone 7搭載のau向けスマートフォン「Windows Phone IS12T」も発表されました。

 特徴として、Xbox LIVEやFacebookとの連係や、タイルと呼ばれる特徴的なUI、「ハブ」による利用シーンごとのカテゴライズ、Office製品との連係などがあります。

 そしてスマートフォン市場として注目されるのがアプリです。「アプリ市場を制したプレーヤーが業界の覇者」のような見解もありますが、現在iPhoneアプリは約30万、Androidは15万となっており「iPhone vs Android」と言われていました。

 対するWindows Phoneはというと、約2万のアプリがあるとのこと。

 数では単純に負けていますが、アプリ市場はユーザーもそうですが開発者からみていかに魅力的に映るかが重要です(もちろんユーザーがいない端末に開発者はこないが)。

 それぞれの特徴は以下になります。

・iPhone

 仕様が明確な分開発者もユーザーも安心して開発、購入ができるが、審査基準が不明確なため、開発者が躊躇するケースがあります。

・Android

 審査基準は明確、かつOSSなため自由なカスタマイズができるが、引きかえに各メーカーの独自仕様により開発が困難なことはもちろん、ユーザーが安心して購入ができない欠点があります。

・Windows Phone

 仕様は明確、審査も明確なので、ユーザーも開発者も安心できます。

 とはいうものの、Microsoft製品に対するブランドイメージは芳しくなくwantでなくneedで利用しているユーザーが多い中、Windows Phone IS12Tの売れ行き、後続製品に注目が集まるところです。

 さて、前置きが長くなりましたが、結論を申しますと、Windows Phoneは普及する。と考えています。

 理由は以下のとおりです。

1. ビジネスユーザーの選択肢

 ビジネスシーンではまだまだWindowsが多数を占める現在では、iPhoneは制約が多くOffice製品との互換が悪い。またAndroidは自由すぎてセキュリティ面で懸念が残ります。またアプリのうち1割にウイルスが仕込まれているとの話しもネックに。となりWindows Phoneという選択肢は多分にあるのではないかと考えます。

2. ソーシャルメディアとの連携

 iPhone、Androidはプラットフォーム上で全てをアプリとして扱うよう設計されているため、ソーシャルメディアもアプリとして利用されますが、Windows PhoneではFacebookやTwitterも標準で組み込まれており、UIも使いやすいように工夫がされており、よりスマートに利用できるためメリットのひとつになるのではないでしょうか。

3. 技術の汎用性

 先にも述べたとおり、市場ではまだまだWindows製品が多いなかで、Windows Phoneの開発環境は、Visual Studio 2010 Express for Windows Phone、もしくはVisual Studio 2010 Professionalを利用します。

 対してiPhoneアプリ開発で利用するObjective-Cその他の開発で使い周りが効きにくく、iPhoneがなくなれば利用機会は大幅に減少します。Androidアプリ開発で利用するJavaとは比較できませんが、先の述べた通りWindowsは市場Windowsアプリで使われる.NET技術者は市場にも多く、また他のWindowsアプリ、システムにも転用できるため技術者のリスクが低いことが特徴です。

 もちろん、市場に他のプレーヤーがでてこないとも限りませんし、個人的にはBlack Berryにも注目しています。

 また、ソーシャルメディアがどのプレーヤーと連係を図るか、もしくはすべてに対応するかなど、今日ではモバイルとWebは切り離せない関係になっておりますので、ソーシャルメディア界隈の動向からも目が離せません。

 IT業界は秒進分歩で進化しており、業界を区切る壁は日々、下がっています。

 1つの業界でなく俯瞰的な視野で物事を見極めていただければ見えてるくるものがあるのかなと思います。

Comment(4)

コメント

とおりすがり

いくつか気になった点があります。

・グラフ中の誤字
シェアを表しているパイグラフですが、BlackBerryのメーカーは"LIM"ではなく"RIM"だと思います(Research In Motion Limited)。

・Windows Phone 7.5は既にTwitter連携に対応済みです
『ちなみに今後Twitterとの連係も噂されています。』とありますが、7.5からはOS標準でTwitterのアカウントと連携するようになっています。

・無償環境でもVB.NETで開発可能です
『(無料ですが、VB.NETで開発するためにはProfessional(有償)のものが必要です)』とありますが、現在では無償版の「Visual Studio 2010 Express for Windows Phone」でも、Visual Basicで開発できるようになっています。

佐藤 環

> とおりすがり様
ご指摘ありがとうございます。
> ・グラフ中の誤字
RIMに関しては完全に誤字でございます。

> ・Windows Phone 7.5は既にTwitter連携に対応済みです
> ・無償環境でもVB.NETで開発可能です
そのようですね。確認不足の情報を伝えてしまい失礼致しました。
修正致します。

また、通りすがって頂けた際には有用なコラムをご提供できるよう精進致しますのでよろしくお願いします。

WPユーザー

グラフのOS上位2位が両方Androidになっているようですが、間違いではないですか?

佐藤 環

WPユーザー様
ご指摘ありがとうございます。
グラフの誤字を修正する際に、間違えてしまいました。
修正させて頂きます。

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